女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

不安しかないです

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 とりあえず上(国)に私のことを報告する旨を告げられて、ようやく解放された。時間的にそろそろ夕食ということもあって、寮に戻らないといけなくなったのも多分ある。
 寮付き、ということもあってこの学園は広い。王都にあるとはいえ、立地は外れ、郊外と言われるような場所にあるのもあって、村一個分あるのではと思うくらい広い。最初の数日間、新入生には地理を把握するための授業が用意されているくらいに。
 その寮暮らし、実をいうと心配事がある。一日二食付なのは良い。門限はあるけど申請書を出せば外泊もでき、全寮制でないのにその居心地の良さから実質的に全寮となっているくらい評判が良いのも、これから暮らす者として嬉しい限りだ。
 じゃあ何が問題なのかというと、寮の制度だ。男女で分けられてはいるものの、それは系統ごとである。つまり、攻撃系統は男性寮のみで、私の居場所がない。こんなこと自体、想定していなかったからだろう。
 この事についても、理事長に謝られた。本当なら他系統の女子寮に入れるべきなのは分かっているが、毎年満室状態の寮に新たな人物を入れる余裕がないという。半年ほどで新しい寮が完成するので、それまで待ってほしいと。
 ため息を吐きながら昨日入居した寮へ戻ると、やっぱりというか、好奇の目に晒される。一晩で私のことは広まったのか、何故女がここに、のような展開がないだけマシだろう。
 夕飯を食べてから部屋に戻ろうかと思ったけど、まだ少し時間がある。一度部屋に戻って着替える事にした。
 幸い、というか私としては当たり前なのだけど、部屋は一人用でシャワー付。欲を言えば浴槽もほしいけど、お湯に浸かるという文化がそもそもないので一般的に広まってない。温泉や大浴場に行くしかないのが辛いところである。しかもこれがまた、お金がとてもかかる贅沢な娯楽ときた。
 ちなみに実家だと水浴びが通常状態だったから、シャワーの設備があるのも贅沢な部類だ。
 着替えながらそんなことを思いつつ、今日のご飯はなんだろうと考えながら寮の食堂へ向かう。近づくにつれいい匂いがして、胃が刺激されてきた。
 それは良い。むしろ嬉しい。料理の香りは幸福の証だと考えてる私にとって、割と幸せ。でも、だ。
 出された料理を見つめてしまう。昨日も今朝も感じたけど、改めて感じる。
 塩ベースのスープ。主食であるパン。野菜の蒸し物と、メインのお肉。どれもこれも、とにかく多い。お肉なんて何グラムあるの? この半分で良いと思うくらいドンっ! と主張してる。
 だからって残すのも忍びない。運動しないと太ると思いながら食べようとすると、荒々しく目の前に座る人物がきた。
 どうしてわざわざ目の前? と顔を確認して理解した。昨日私にテンプレな文句を言って、これまたテンプレで負けて、現状私の平和を作ってくれたテンプレさん(仮称)だった。大方、私の姿を見て悔しさを思い出してここにきたのだろう。
 私としては喧嘩を売られなければ特に気にしないので、気にせずご飯を食べようとしたところ、ぼそりと言われた。

「それ全部食うと、太るぞ」

……つくづく、この男は私の琴線にふれることを言ってくれる。

「知ってるけど、残すのは嫌なのよ」
「……半分食ってやる」
「は?」

 何で、知りもしない貴方に? 食べてくれるだけありがたいけど。

「忘れたのかよ、昨日俺が負けたら何か言うこと聞くって。お前あん時明日言うって言ったじゃねえか」

 そうだっけと思い返しても思い出せない。よっぽど興味がないんだな、この人に。というか着いた時間が夕方で、その時も手続きに不備云々があって、今の状態に落ち着くまでまた時間かかったから早く寝たいと思ってたっけ。そんな時に喧嘩じみた事けしかけられたから苛々して、最終的に殴って気絶させたんだっけ。
 うん、私悪くないよね。
 何にせよ、半分食べてくれるなら丁度良い。押しつけよ。
 でも結局、これは一時しのぎ。明日の朝からご飯は量を少なめにしてもらわないと。
……少なめって言って少なくなかったらどうしよう。
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