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本編
剣舞祭のお話
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私はマリーナ・トラクル。マリと申します。突然ですが、私のチームメイトはとてもかっこ良いです。
一人はアラン・ロストン。腐れ縁ともいえるような昔馴染みの彼は、見た目こそ優男のように綺麗で、また物腰柔らかく接することも多いので騙される方も多いです。その本性はとてもとても黒くて怖いですが、味方である場合は反面、心強く感じます。
もう一人はラナ。この学園で知り合った、この国初めてであろう攻撃系統を持つ女の子です。出会いが入学式に助けてくださったこともあって、同じクラスどころか、チームになれたことは最早神様の思し召しなのではないかと思ってしまいました。
その彼女は今、この日のために作られた会場で剣舞を披露しております。その姿は可憐にして苛烈、不思議と目を惹くものでした。昨日の出来事を微塵も感じさせない、綺麗な踊りです。
一人舞の時は心を穏やかにするような微笑みを浮かべ、切り結びの舞では一変して目が、顔が刃物のように鋭い表情を作り出し、祈りの舞ではまた変わって厳かなものへ変化しました。
はたから見て、それは何とも美しいものだと思わざるをえないほど真剣でした。
思わず熱い吐息を漏らしていると、隣から肩を引き寄せられました。見上げればアランが、何でしょう、笑みを浮かべているのに怖いです。
「つくづく、彼女が女で良かったと思うよ。君を取られなくて済む」
あら、それは嫉妬ですか? 確かにラナは大好きですけど。
頭を撫でてくれてほんわかしていると、その時は突然きました。
今日に限らず、剣舞祭の日はいつも天気が良くありません。ですから今日一日変わらないものと思っていた雲が割れ、会場を中心に光が差し込まれました。
まるで創立者が舞った時のように。数十年前、その再来だと言われた方々が祈った時のように。
奇跡。天啓。祝福。様々な言葉がありますが、一様にして言えることは。
「神様が、認めた……者達……」
誰かが言った言葉は心へ沁み渡りました。
今、踊っている方々は神様がその舞に感謝を持ったということ。その舞に敬意を示したということ。それはこの国で、いえ、世界中で特別な意味を持ちます。
彼らと、彼らと共にいるチームは「冒険者」の資格を得たということです。
冒険者は誰でもなれるノーマルランクから、任務や依頼などをこなして最終的にはゴールドランクまでなれますが、その先にあるプラチナランクは神様から祝福を得られなければなることはできません。一般の方が祝福を得ることがごく稀なこととなった今では、元聖職者や王族の証代わりにもなっているらしいです。そもそも、ゴールドランクまでなること自体大変なことなのですが。
そしてあの中には私達のチームメイトがいるわけで、必然私達もその資格を手にする者、正確には候補者へなりました。アランもその事実に目を丸くしています。私も同じ気持ちなので、とても分かります。
この学園に入学したからには、国が行っている役所や軍にいくものだと思っていましたから。新たな選択肢がうまれたことに戸惑いがないはずがありません。
ああ、でももし冒険者になることができるならとても素晴らしいですね。3人ずっと一緒にいることも叶うのですから。
しかし、このことをラナは知っているのでしょうか? 無事に舞い終わり、会場を去る後ろ姿を見ながらふと思いました。
これは後で聞かなければなりませんね。
一人はアラン・ロストン。腐れ縁ともいえるような昔馴染みの彼は、見た目こそ優男のように綺麗で、また物腰柔らかく接することも多いので騙される方も多いです。その本性はとてもとても黒くて怖いですが、味方である場合は反面、心強く感じます。
もう一人はラナ。この学園で知り合った、この国初めてであろう攻撃系統を持つ女の子です。出会いが入学式に助けてくださったこともあって、同じクラスどころか、チームになれたことは最早神様の思し召しなのではないかと思ってしまいました。
その彼女は今、この日のために作られた会場で剣舞を披露しております。その姿は可憐にして苛烈、不思議と目を惹くものでした。昨日の出来事を微塵も感じさせない、綺麗な踊りです。
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はたから見て、それは何とも美しいものだと思わざるをえないほど真剣でした。
思わず熱い吐息を漏らしていると、隣から肩を引き寄せられました。見上げればアランが、何でしょう、笑みを浮かべているのに怖いです。
「つくづく、彼女が女で良かったと思うよ。君を取られなくて済む」
あら、それは嫉妬ですか? 確かにラナは大好きですけど。
頭を撫でてくれてほんわかしていると、その時は突然きました。
今日に限らず、剣舞祭の日はいつも天気が良くありません。ですから今日一日変わらないものと思っていた雲が割れ、会場を中心に光が差し込まれました。
まるで創立者が舞った時のように。数十年前、その再来だと言われた方々が祈った時のように。
奇跡。天啓。祝福。様々な言葉がありますが、一様にして言えることは。
「神様が、認めた……者達……」
誰かが言った言葉は心へ沁み渡りました。
今、踊っている方々は神様がその舞に感謝を持ったということ。その舞に敬意を示したということ。それはこの国で、いえ、世界中で特別な意味を持ちます。
彼らと、彼らと共にいるチームは「冒険者」の資格を得たということです。
冒険者は誰でもなれるノーマルランクから、任務や依頼などをこなして最終的にはゴールドランクまでなれますが、その先にあるプラチナランクは神様から祝福を得られなければなることはできません。一般の方が祝福を得ることがごく稀なこととなった今では、元聖職者や王族の証代わりにもなっているらしいです。そもそも、ゴールドランクまでなること自体大変なことなのですが。
そしてあの中には私達のチームメイトがいるわけで、必然私達もその資格を手にする者、正確には候補者へなりました。アランもその事実に目を丸くしています。私も同じ気持ちなので、とても分かります。
この学園に入学したからには、国が行っている役所や軍にいくものだと思っていましたから。新たな選択肢がうまれたことに戸惑いがないはずがありません。
ああ、でももし冒険者になることができるならとても素晴らしいですね。3人ずっと一緒にいることも叶うのですから。
しかし、このことをラナは知っているのでしょうか? 無事に舞い終わり、会場を去る後ろ姿を見ながらふと思いました。
これは後で聞かなければなりませんね。
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