24 / 81
本編
女子寮できました
しおりを挟む
季節はそろそろ変わり目、もうすぐ夏がくる。
そう、夏がくるんだ! 念願の季節だ!
あの気まずい寮からやっと、やっと女子寮へ行けるんだー!
おっとついテンションが上がってしまった。周りの目が痛い。でもしょうがないよね。この寮から抜け出すの、心待ちにしてたから。
流石に皆良識あって問題になるようなこともなかったし、させなかったし、もっと言うとしようとしてきた奴は周りから袋叩きに遭ってた上に翌日先生からこってりしっかりがっつり叱ってもらってた。自業自得だから甘んじて皆受けてたね。
それに、手を出したら神様から天罰がくるんじゃないかってお祭り以後は平穏そのものだった。
何かと身辺が守られていたのは嬉しいけど、それだって皆半年も経たない期間だけのものだって分かってた。期間が分かってれば我慢できるものね。私も、肩身狭い気持ちも夏までだって思ってたからここにいるって決めたわけだし。
だから無事に完成したと通知が来た時、諸手をあげて喜ばれると思ってたのに。何だこの通夜のような雰囲気は。
「あぁ、癒しが、癒しが消えるー……」
「止めろ言うな。悲しくなるだろ……」
「ラナ、お願いだからいてくれ……!」
夕飯食べにきただけなのにどうして皆からこんな風に言われないといけないのか。というか、当初の気まずさやら最近の無関心さはどこに消えた。
変わり身の差が大きすぎて何が何だか分からず、翌日いつもの二人へ説明すると生温い目が向けられた。何でよ理不尽!
「それはおそらく、高嶺の花ではないのですか?」
「だと思うよ。男子寮に女一人で何もないならそれしか考えつかない」
「いやいやないない。そういうのはマリみたいに可愛い女の子がなるものだよ」
「そういうことではなく……」
分からないまま首を捻っていることに気づいたのか、どう説明したものかと二人も悩み始めてきた。それもすぐ、アランがこう話したら分かるかなと言ってきて終わったようだけど。
「例えばなんだけど。自分以上に剣の扱いが上手で尊敬するって思う人とラナは付き合える?」
「無理」
「自分と同じ力量の人がその人と目の前で付き合おうとしたり襲おうとしたりしたら? やきもちしない?」
「する」
「つまりはそういうことなんだよ」
少し過激なのはいただけないけどね。肩をすくめながらご飯を食べるその様子に思わず呆けてしまった。待って、私ってそんなんなの? ないない、攻撃の中でも下の方に位置するのに何で?
眉間に皺が寄り、その顔のままご飯を食べていたらマリに怖いと言われた。ごめん。
そんな騒ぎもあったけど、寮の移動自体はスムーズに終わった。攻撃女子寮は私一人だから寂しいなあ……と思っていたけど、もうすぐある休暇期間を終えたら、寮待ちの子達が入居してくるとのこと。
何でも、ここは混合女子寮にするらしい。私は体験入寮してもらう形で一足先に入ったというわけだ。
一人のために造るよりそっちの方が確かに良いもんね。コスト的にも建造的にも。
何はともあれ、これで寮関係は解決した。良かった良かった。
そう、夏がくるんだ! 念願の季節だ!
あの気まずい寮からやっと、やっと女子寮へ行けるんだー!
おっとついテンションが上がってしまった。周りの目が痛い。でもしょうがないよね。この寮から抜け出すの、心待ちにしてたから。
流石に皆良識あって問題になるようなこともなかったし、させなかったし、もっと言うとしようとしてきた奴は周りから袋叩きに遭ってた上に翌日先生からこってりしっかりがっつり叱ってもらってた。自業自得だから甘んじて皆受けてたね。
それに、手を出したら神様から天罰がくるんじゃないかってお祭り以後は平穏そのものだった。
何かと身辺が守られていたのは嬉しいけど、それだって皆半年も経たない期間だけのものだって分かってた。期間が分かってれば我慢できるものね。私も、肩身狭い気持ちも夏までだって思ってたからここにいるって決めたわけだし。
だから無事に完成したと通知が来た時、諸手をあげて喜ばれると思ってたのに。何だこの通夜のような雰囲気は。
「あぁ、癒しが、癒しが消えるー……」
「止めろ言うな。悲しくなるだろ……」
「ラナ、お願いだからいてくれ……!」
夕飯食べにきただけなのにどうして皆からこんな風に言われないといけないのか。というか、当初の気まずさやら最近の無関心さはどこに消えた。
変わり身の差が大きすぎて何が何だか分からず、翌日いつもの二人へ説明すると生温い目が向けられた。何でよ理不尽!
「それはおそらく、高嶺の花ではないのですか?」
「だと思うよ。男子寮に女一人で何もないならそれしか考えつかない」
「いやいやないない。そういうのはマリみたいに可愛い女の子がなるものだよ」
「そういうことではなく……」
分からないまま首を捻っていることに気づいたのか、どう説明したものかと二人も悩み始めてきた。それもすぐ、アランがこう話したら分かるかなと言ってきて終わったようだけど。
「例えばなんだけど。自分以上に剣の扱いが上手で尊敬するって思う人とラナは付き合える?」
「無理」
「自分と同じ力量の人がその人と目の前で付き合おうとしたり襲おうとしたりしたら? やきもちしない?」
「する」
「つまりはそういうことなんだよ」
少し過激なのはいただけないけどね。肩をすくめながらご飯を食べるその様子に思わず呆けてしまった。待って、私ってそんなんなの? ないない、攻撃の中でも下の方に位置するのに何で?
眉間に皺が寄り、その顔のままご飯を食べていたらマリに怖いと言われた。ごめん。
そんな騒ぎもあったけど、寮の移動自体はスムーズに終わった。攻撃女子寮は私一人だから寂しいなあ……と思っていたけど、もうすぐある休暇期間を終えたら、寮待ちの子達が入居してくるとのこと。
何でも、ここは混合女子寮にするらしい。私は体験入寮してもらう形で一足先に入ったというわけだ。
一人のために造るよりそっちの方が確かに良いもんね。コスト的にも建造的にも。
何はともあれ、これで寮関係は解決した。良かった良かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる