女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

女子寮できました

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 季節はそろそろ変わり目、もうすぐ夏がくる。
 そう、夏がくるんだ! 念願の季節だ!
 あの気まずい寮からやっと、やっと女子寮へ行けるんだー!
 おっとついテンションが上がってしまった。周りの目が痛い。でもしょうがないよね。この寮から抜け出すの、心待ちにしてたから。
 流石に皆良識あって問題になるようなこともなかったし、させなかったし、もっと言うとしようとしてきた奴は周りから袋叩きに遭ってた上に翌日先生からこってりしっかりがっつり叱ってもらってた。自業自得だから甘んじて皆受けてたね。
 それに、手を出したら神様から天罰がくるんじゃないかってお祭り以後は平穏そのものだった。
 何かと身辺が守られていたのは嬉しいけど、それだって皆半年も経たない期間だけのものだって分かってた。期間が分かってれば我慢できるものね。私も、肩身狭い気持ちも夏までだって思ってたからここにいるって決めたわけだし。
 だから無事に完成したと通知が来た時、諸手をあげて喜ばれると思ってたのに。何だこの通夜のような雰囲気は。

「あぁ、癒しが、癒しが消えるー……」
「止めろ言うな。悲しくなるだろ……」
「ラナ、お願いだからいてくれ……!」

 夕飯食べにきただけなのにどうして皆からこんな風に言われないといけないのか。というか、当初の気まずさやら最近の無関心さはどこに消えた。
 変わり身の差が大きすぎて何が何だか分からず、翌日いつもの二人へ説明すると生温い目が向けられた。何でよ理不尽!

「それはおそらく、高嶺の花ではないのですか?」
「だと思うよ。男子寮に女一人で何もないならそれしか考えつかない」
「いやいやないない。そういうのはマリみたいに可愛い女の子がなるものだよ」
「そういうことではなく……」

 分からないまま首を捻っていることに気づいたのか、どう説明したものかと二人も悩み始めてきた。それもすぐ、アランがこう話したら分かるかなと言ってきて終わったようだけど。

「例えばなんだけど。自分以上に剣の扱いが上手で尊敬するって思う人とラナは付き合える?」
「無理」
「自分と同じ力量の人がその人と目の前で付き合おうとしたり襲おうとしたりしたら? やきもちしない?」
「する」
「つまりはそういうことなんだよ」

 少し過激なのはいただけないけどね。肩をすくめながらご飯を食べるその様子に思わず呆けてしまった。待って、私ってそんなんなの? ないない、攻撃の中でも下の方に位置するのに何で?
 眉間に皺が寄り、その顔のままご飯を食べていたらマリに怖いと言われた。ごめん。
 そんな騒ぎもあったけど、寮の移動自体はスムーズに終わった。攻撃女子寮は私一人だから寂しいなあ……と思っていたけど、もうすぐある休暇期間を終えたら、寮待ちの子達が入居してくるとのこと。
 何でも、ここは混合女子寮にするらしい。私は体験入寮してもらう形で一足先に入ったというわけだ。
 一人のために造るよりそっちの方が確かに良いもんね。コスト的にも建造的にも。
 何はともあれ、これで寮関係は解決した。良かった良かった。
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