女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

休みの前には何がある?

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 明後日から休暇期間、夏休みが始まるから浮かれる?
 そんな空気なんぞありません。何でか? それは勿論、テストがあるから。
 私含め、ここ図書館の周りは殺気立ってるというのに目の前の二人はのほほんと、ある意味花を飛ばしてるんじゃ? というくらいゆっくり勉強してる。
 これで成績が悪くないんだから世の中不公平よね。

「あ、ラナ。その陣は従魔召喚です。従魔物召喚ではありません」
「ぐう……その二つの違いが分からない……」
「外側のここで見分けたら良いかと」

 指をさしてくれたのは嬉しいけど、先生にもそう言われたけど全く同じに見えるの! と思わず言いそうになる。他の陣は何とか覚えられたけど、この二つだけは本当に覚えられない。
 何より、明日のテストで何をするか知らされないから、今までのこと全部覚えないといけない。前の世界で範囲指定されることのありがたみを改めて感じるよ。

「あのさ、ラナは前の先生に魔法文字も習ったんだよね?」
「へ? うん、そうだけど」
「そしたらここ、読める?」

 えーと、何々?
 あ。これ、有名な一節じゃん。神父様がよく言ってた口癖だ。

「『魔法の威力を忘れるべからず。忘れた瞬間、貴方を蝕む悪魔とならん』だよ」
「ああ、あれか。魔法文字だとこう書くんだ」
「魔法文字は覚えるまでが大変だよね」

 その中でも発展文字は独特だけど、文法が過去の世界でいう英語に似てたから四苦八苦しつつ何とかマスターした記憶があるなー。普通そこまで覚えないって言われた時はびっくりしたけど。

「でも、まさかアランから勉強会をしようと言うなんて思いませんでした」
「そうね。てっきりマリからお誘いがくると思ってたのに」
「ああ、それは」

 何か言いかけたその言葉は、後ろから目隠しされたことで遮られた。と同時に、マリと顔を合わせてそういうことか、とお互い頷きあう。
 アランの目を塞いだ彼女はファー。最近アランに対して好意的なアピールをしてる女の子だ。ことごとく失敗してるけど。

「アラン、私との勉強会を断っといてどうしてチームの方々と? 一人で勉強したいと言うから了解したのに」
「チームの人と先に約束をしてたからだよ。それに言い出しっぺが止めようなんて言えないものさ」
「あら、それなら私達のチームと合同でやったら良いんじゃない? 苦手なものをカバーし合えるでしょ」
「君のチームメンバーが了承してくれるとは思えないよ。僕は彼らに嫌われてるみたいだからね」
「私が一言言えば何とでもなるわよ」

 とまあ、こんな感じに。嫌われてるというより、目の敵にされてるよね。ファーのことあの二人は好いてるみたいだし。
 それにしてもアランってモテる。前にもお昼食べてる時別の女の子からアプローチされてたような。可愛い子だったけど断ってたの、勿体ないって思ったから覚えてる。
 ああでも、隣にいるマリの方が可愛いかな? 言っちゃ悪いけど皆、薬草使う授業にすら化粧や香水の匂いがしてることもあるのよね。反面、マリは普段から薄化粧、香りが邪とされる時は一切してきてない。
 その時も可愛いと思うということは、つまりはそういうことよね。
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