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本編
伝統vs新鋭.1
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各自持ち場について準備が整った、と感じた瞬間、笛の音が聞こえ始める。それに合わせて全員動き、ステップを踏みながら仕事をしている雰囲気を醸し出す。と、父親役と母親役が出てくると周りの人々はゆっくり開き、娘役──ドラグさんが出てくると全体が動き始めた。
ここまでは私達と同じだ。おそらくここから変化して、ストーリーが分かっていくものなのだろう。
それにしてもドラグさん、男の人なのに私以上に衣装が似合ってる。女として負けた気分になるのは何でだ……。
閑話休題。ドラグさんを始めとして、確かに一つ一つの動きが手足の先までしっかり出来てるし、短期間で練習したにしては完成度は高い。なのになんでか、綺麗だとか美しいとか、そう感じることができない。
どうしてか不思議で、食い入るように見ていてやっと気づいた。表情が皆堅苦しくて、華やかなはずのものが華やかになってない。
『観客は良くも悪くも見ているんだ。君らはプロでないから表情一つ残らず、完璧にやれとは言わない。だから、心の底から楽しむことを第一にしなさい』
今回口酸っぱく言われた内容。その意味がようやく理解できた。
それは周りも同じみたいで、得心がいったように頷いている。ここまで完成度高いと逆に見てる方も厳しくなるかもなー……。
この演目は、応援合戦だとかダンスとか、余興ではあるけど何気に盛り上がるやつに分類されるから。元々の知名度もあって注目されがちだし。
ようするに思った以上に観客側は見ているってことだ。それは剣舞祭の時も感じた。あの時は祭典だからって分かってたから真面目に取り組んでた人も多かったろうけど、体育祭の、それも運動嫌いの学生からすればこの演目すらイヤイヤやってる人だっていなくもない。魔法だって得手不得手あるわけで、正直私達みたいに攻撃特化した人なんかその傾向だってある。そんな人達にとって、伝統だなんだと言われても知ったこっちゃない、なのかも。
楽しくやれないなら意味がないとは言わないけど、そういった種目すら楽しくないなら、体育祭なんて辛い行事になるだけよね。なるほど確かに、伝統が悪いわけではないが、という意味も頷ける。
なんてことを考えている合間に、向こうの演目はクライマックス。来世で共に、と誓い合った二人が心中して話は終わった。
さあ、次は私達の番だ。
ここまでは私達と同じだ。おそらくここから変化して、ストーリーが分かっていくものなのだろう。
それにしてもドラグさん、男の人なのに私以上に衣装が似合ってる。女として負けた気分になるのは何でだ……。
閑話休題。ドラグさんを始めとして、確かに一つ一つの動きが手足の先までしっかり出来てるし、短期間で練習したにしては完成度は高い。なのになんでか、綺麗だとか美しいとか、そう感じることができない。
どうしてか不思議で、食い入るように見ていてやっと気づいた。表情が皆堅苦しくて、華やかなはずのものが華やかになってない。
『観客は良くも悪くも見ているんだ。君らはプロでないから表情一つ残らず、完璧にやれとは言わない。だから、心の底から楽しむことを第一にしなさい』
今回口酸っぱく言われた内容。その意味がようやく理解できた。
それは周りも同じみたいで、得心がいったように頷いている。ここまで完成度高いと逆に見てる方も厳しくなるかもなー……。
この演目は、応援合戦だとかダンスとか、余興ではあるけど何気に盛り上がるやつに分類されるから。元々の知名度もあって注目されがちだし。
ようするに思った以上に観客側は見ているってことだ。それは剣舞祭の時も感じた。あの時は祭典だからって分かってたから真面目に取り組んでた人も多かったろうけど、体育祭の、それも運動嫌いの学生からすればこの演目すらイヤイヤやってる人だっていなくもない。魔法だって得手不得手あるわけで、正直私達みたいに攻撃特化した人なんかその傾向だってある。そんな人達にとって、伝統だなんだと言われても知ったこっちゃない、なのかも。
楽しくやれないなら意味がないとは言わないけど、そういった種目すら楽しくないなら、体育祭なんて辛い行事になるだけよね。なるほど確かに、伝統が悪いわけではないが、という意味も頷ける。
なんてことを考えている合間に、向こうの演目はクライマックス。来世で共に、と誓い合った二人が心中して話は終わった。
さあ、次は私達の番だ。
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