女剣士の道は険しい?

星野 夜空

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本編

国人でお願いします

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 脱力。安堵。不安。そんな気持ちがごちゃっと混ざるけど、とりあえず。

「終わった……テスト……疲れた……」

 机に倒れこむようにうなだれる。今期は実技試験もあったからその練習もしないといけなかったし、苦手な陣は案の定な結果になりそうだし、この成績によっては留年や退学の危機もあるというのに内容は高度になっていくから日々勉強だったし、一番危ない陣はやらかした気しかしないし、本当にもう疲れた。しばらく魔法陣関係についての話は聞きたくないくらいだよ、うん。
 おまけに何が凄いって、テストを数日間かけて行うのに採点は最終日翌日に全部行うことよ。実技なんかその場で合否いわれて、悪い結果だった場合補習範囲なのか退学範囲なのかのとこまでいわれる。有能な先生しかいないんかこの学園は。それとも他もこんな感じなのか。いずれにせよ天国か地獄かがすぐ分かるのは怖い反面ありがたいけど。

「その様子だと自信がないようにみえますが……」
「案外、できているかもしれないじゃないか」

 いつの間にか席に来ていた二人の慰めがいたいです、はい。聞かなくても二人は無事に進級できる成績を保ってることは察してるからね。ふてくされたいよ。
……まあ、終わったことを気にしても仕方ないか。やるだけやったんだし、ね。仮にテストが合格できなくても、補習範囲であるなら進級できる可能性はあるんだ。何事も考え方次第、ってね。
 ようやく顔をあげることができた、その時。

「ラナ、ちょっといいか?」

 担任から呼び声がかかった。これが波乱の幕開け、というわけもなく単純に来年のことについてだった。
 なっがい話を要約すると、加護があるから無理に国人にならなくても良くなった。チームメイトになるマリとアランも同様の権利があるとか。そんな話、大分前にしたなぁ三人で。

「で、お前本人はどうしていきたいのかと思ってな」
「んー……特に考えてなかったんですけど、このままで良いですよ」

 冒険者って憧れるけど、やっぱり系統とか色々考えるとやっかみをあしらうのって大変だからね。冒険者の剣術と国人の剣術とじゃ、微妙に違うって聞くし。
 要するに面倒だから断ったんだけど、なんでか先生はホッとした顔になった。……色々あるんだろうな、先生も。お疲れ様です。
 何はともあれ、明日のテスト結果が怖い。
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