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「……それは出来ない相談です。彼等は門番ではなくなりました。よって、特権である逮捕の禁止がなくなりましたので、地界の住民を怪我した罪に対して裁かれなくてはなりません」
「それはこちらが上位天使剥奪という処分をすればいいことです」
「……その程度で済む問題なのでしょうか。少なくとも彼等が暴れた地界において、上位天使のイメージはこの件で崩れ、以後こちらの門番を決める際に重大な影響を与えるものとなりました。
……また、怪我をさせられた者の家族は彼等に治療代を求めてもおります。罰にしては、余りにも不十分かと。
……更に言えばこの件の根本的ともいえる原因を作り出したのは、上位天使長ロゼ・カロン。貴方が私を忌み子としたことから始まったのですから」
周りの者全てが息を飲んだ。まさか長が原因だなんて思いもしなかったのだろう。ザレブさんでさえかの者を凝視しているのだから、当時から知っている者達は少ないのかもしれない。
「……それについては謝罪しましょう。ですがそれとこれと何の関係が?」
「……貴方は、彼等が地界で暴れた原因をご存じでしょうか?」
即座に首を横に振られる。それが演技かどうかは分からず、睨むように見つめると手をひらひらされた。
天使においてそれは嘘偽りがないということ。嘘をついていないという証。仮に嘘だとしたらこのジェスチャーをした瞬間、天から雷が降る。
それがないということは、本当に知らないらしい。
「……彼等は死神の長にして養父のルーラ・エスペラルから私を取り上げ、以前のように暴力を振るおうと考えていたようです。実際、何故私が必要か尋ねられた時、自分は忌み子だからと。いつか貴方に悪さをすると。そうならないよう自分達が教育すると話しておりました」
「天使長! 私はその様なことを言ってもいませんし、考えてもおりません! ただ彼女は天使、いつまでも地界にいるのはおかしいと訴えただけです!」
今までずっと俯いていた方の天使が訴えてきた。……自分達が捕まっているのを見て何事かと思った天使達に、そして天使長に自分は無実だと言えるようにしていたのか。片方は既にザレブさんに武器を突きつけられ、彼に非があることは見て明らかだ。
「へぇ~? じゃあ僕が聞いた、ルネは異端で天使の名折れだって言って、無理矢理連れ去ろうとしていた君は嘘になるのかな~?」
まぁ張本人に向かって同じことが言えるなら大したものだと誉めるけど……顔面蒼白な様子からは無理ね。
「これはこれは、死神の長。どうなされたのですか?」
「少しこの二人に用事がありましてね、上位天使長」
そう言って指を指したのは、言わずもがな、捕まっている天使二人。
「赤鬼がずっと騒いでいましたよ。何故あんなのが門番なのかって。しかも理由が酷いこと極まりない。あれで上位天使なのなら天界はおかしくなったかって憤慨していました。赤鬼だけではありませんがね」
クスクスと面白そうに笑うルーラとは対象に、冷や汗をかいて乾いた笑いを浮かべる天使長。……私が言った、地界へどんな影響が与えられたのか身をもって知ったのだから、当然といえば当然か。
「でも、ルネもルネだよ。原因が天使長にあるなんて僕聞いてないよ?」
……どっから聞いてたのよ。謎なのは変わりないことね。
「……私がどんな存在で、何故私を拒むかは理解してる。だから恨みはないわ。今回は私以外の……地界の住民に被害が及んだから動いた。それだけよ」
相変わらずだと苦笑するルーラとは違い、天使長は目を見開いて私を凝視していた。理由が分からず首を傾げていると、やっと赤鬼が来た。
「どうも。以前起きた事件のはこいつらでお間違いは?」
「ありません。ルーラ・エスペラルも確認し、二人で合っているそうです」
「分かりました、ご協力ありがとうございます」
そうして元門番の天使はあっけなく地界へ連れていかれた。
「それはこちらが上位天使剥奪という処分をすればいいことです」
「……その程度で済む問題なのでしょうか。少なくとも彼等が暴れた地界において、上位天使のイメージはこの件で崩れ、以後こちらの門番を決める際に重大な影響を与えるものとなりました。
……また、怪我をさせられた者の家族は彼等に治療代を求めてもおります。罰にしては、余りにも不十分かと。
……更に言えばこの件の根本的ともいえる原因を作り出したのは、上位天使長ロゼ・カロン。貴方が私を忌み子としたことから始まったのですから」
周りの者全てが息を飲んだ。まさか長が原因だなんて思いもしなかったのだろう。ザレブさんでさえかの者を凝視しているのだから、当時から知っている者達は少ないのかもしれない。
「……それについては謝罪しましょう。ですがそれとこれと何の関係が?」
「……貴方は、彼等が地界で暴れた原因をご存じでしょうか?」
即座に首を横に振られる。それが演技かどうかは分からず、睨むように見つめると手をひらひらされた。
天使においてそれは嘘偽りがないということ。嘘をついていないという証。仮に嘘だとしたらこのジェスチャーをした瞬間、天から雷が降る。
それがないということは、本当に知らないらしい。
「……彼等は死神の長にして養父のルーラ・エスペラルから私を取り上げ、以前のように暴力を振るおうと考えていたようです。実際、何故私が必要か尋ねられた時、自分は忌み子だからと。いつか貴方に悪さをすると。そうならないよう自分達が教育すると話しておりました」
「天使長! 私はその様なことを言ってもいませんし、考えてもおりません! ただ彼女は天使、いつまでも地界にいるのはおかしいと訴えただけです!」
今までずっと俯いていた方の天使が訴えてきた。……自分達が捕まっているのを見て何事かと思った天使達に、そして天使長に自分は無実だと言えるようにしていたのか。片方は既にザレブさんに武器を突きつけられ、彼に非があることは見て明らかだ。
「へぇ~? じゃあ僕が聞いた、ルネは異端で天使の名折れだって言って、無理矢理連れ去ろうとしていた君は嘘になるのかな~?」
まぁ張本人に向かって同じことが言えるなら大したものだと誉めるけど……顔面蒼白な様子からは無理ね。
「これはこれは、死神の長。どうなされたのですか?」
「少しこの二人に用事がありましてね、上位天使長」
そう言って指を指したのは、言わずもがな、捕まっている天使二人。
「赤鬼がずっと騒いでいましたよ。何故あんなのが門番なのかって。しかも理由が酷いこと極まりない。あれで上位天使なのなら天界はおかしくなったかって憤慨していました。赤鬼だけではありませんがね」
クスクスと面白そうに笑うルーラとは対象に、冷や汗をかいて乾いた笑いを浮かべる天使長。……私が言った、地界へどんな影響が与えられたのか身をもって知ったのだから、当然といえば当然か。
「でも、ルネもルネだよ。原因が天使長にあるなんて僕聞いてないよ?」
……どっから聞いてたのよ。謎なのは変わりないことね。
「……私がどんな存在で、何故私を拒むかは理解してる。だから恨みはないわ。今回は私以外の……地界の住民に被害が及んだから動いた。それだけよ」
相変わらずだと苦笑するルーラとは違い、天使長は目を見開いて私を凝視していた。理由が分からず首を傾げていると、やっと赤鬼が来た。
「どうも。以前起きた事件のはこいつらでお間違いは?」
「ありません。ルーラ・エスペラルも確認し、二人で合っているそうです」
「分かりました、ご協力ありがとうございます」
そうして元門番の天使はあっけなく地界へ連れていかれた。
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