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ん?あぁ俺か?───怪人。
ヒーローと名乗る男。その容姿は少しやさぐれた青年の風貌、しかしそれに相反するかのように生えた二本の角、ボロボロのマントの隙間からは鋭く尖った爪をチラつかせる。紅い夕日に照らされた其の姿は人とは明らかに異なるものであった。
「キ、キみ…が?…ひひひひひひヒーロぉ?う、ウ、ぅウぅソだ…そ、なそなそなそんなは、ズガナイ…」
化物の身体に開いた大きな風穴から血液がドバドバと溢れ出す。血反吐を吐きながら時が経つに連れて身体は自壊し灰となっていく。
「お前、これまでに何人喰ってきた?」
「じゅ…じゅう……ハチは食べた……かな、フフ…、おいしかった…よ。」
「………満足したか?」
「す、するわけがない!!…アガァィ、マダマダまだマダ、喰い足りなィイぃ、イヤ…イヤぁだァ死にたくナイぃ!!」
先程まであれに恐れを抱いていた。歪で猟奇的な未知の生物。死を前にしたそれは人間の醜いそれと何ら変わらなかった。
「サイゴにぃ、サイゴにヒトリ、喰わセロォォ!!― がッ」
── 終末を刺す漆黒の杭 ―
少年に化物が飛び掛かる。無情にも放たれた漆黒の杭は化物の頭部を貫く、それを終いに怪物は絶命した。亡骸は灰へと化し、幅十五センチ程の結石とふるびたペンダントだけが残った。
腰を抜かした少年を跡目に男はペンダントの砂を払った。
中にはモノクロの少女の写真、内側には『愛しのアイリーンへ』の文字。
男は残留物をポケットにしまい結石を口に放り込んだ。彼の先程までの勇ましさの影は無い。哀愁を帯びた男の背中は随分と悲しげに見えた。
「よぅ、坊主生きてるか?」
「なん…とか、おじさんはヒーローなの?」
「はっ、まさか、俺が全身タイツのガチムチ野郎や機械まとった鉄くず野郎に見えんのかい?」
鼻で笑ってみせた。
「俺は怪人さ、お前等人類の敵、さぁ逃げろよ。」
妙に素っ気無く芯のない言葉。まるで悪役を演じているかの様な素振り。
「僕には逃げたって帰る場所なんか無い。腕だって無くなったし、今はこの場所からピクリとも動けない。あなたが居なかったらきっと死んでた。だから今、殺すって言うなら甘んじて受け入れる、僕はもう逃げないって決めたから。」
堂々たるその少年の姿、男は吐き出しかけた言葉を飲み込んだ。戯れや皮肉何か言っても無意味だと悟った。
「う~ん……よし、分かったお前、これから俺の雑用やれ。」
思いもよらぬ返答に少年は困惑する。
「・・・・嫌です」。
反論どころか意見すら聞く耳を持たない。男は少年の襟を引っ張り無理矢理引きずって行く。
「俺はヴィスタ、お前名前は?」
「ちょ痛い、痛い痛い、 ひ、──日暮 エイジ ―」
「エージか、よろしくな!飯食いに行くべ飯!」
男──ヴィスタはニマリと笑って見せた。
「腕が────痛い!!!」
─── To be continue
ヒーローと名乗る男。その容姿は少しやさぐれた青年の風貌、しかしそれに相反するかのように生えた二本の角、ボロボロのマントの隙間からは鋭く尖った爪をチラつかせる。紅い夕日に照らされた其の姿は人とは明らかに異なるものであった。
「キ、キみ…が?…ひひひひひひヒーロぉ?う、ウ、ぅウぅソだ…そ、なそなそなそんなは、ズガナイ…」
化物の身体に開いた大きな風穴から血液がドバドバと溢れ出す。血反吐を吐きながら時が経つに連れて身体は自壊し灰となっていく。
「お前、これまでに何人喰ってきた?」
「じゅ…じゅう……ハチは食べた……かな、フフ…、おいしかった…よ。」
「………満足したか?」
「す、するわけがない!!…アガァィ、マダマダまだマダ、喰い足りなィイぃ、イヤ…イヤぁだァ死にたくナイぃ!!」
先程まであれに恐れを抱いていた。歪で猟奇的な未知の生物。死を前にしたそれは人間の醜いそれと何ら変わらなかった。
「サイゴにぃ、サイゴにヒトリ、喰わセロォォ!!― がッ」
── 終末を刺す漆黒の杭 ―
少年に化物が飛び掛かる。無情にも放たれた漆黒の杭は化物の頭部を貫く、それを終いに怪物は絶命した。亡骸は灰へと化し、幅十五センチ程の結石とふるびたペンダントだけが残った。
腰を抜かした少年を跡目に男はペンダントの砂を払った。
中にはモノクロの少女の写真、内側には『愛しのアイリーンへ』の文字。
男は残留物をポケットにしまい結石を口に放り込んだ。彼の先程までの勇ましさの影は無い。哀愁を帯びた男の背中は随分と悲しげに見えた。
「よぅ、坊主生きてるか?」
「なん…とか、おじさんはヒーローなの?」
「はっ、まさか、俺が全身タイツのガチムチ野郎や機械まとった鉄くず野郎に見えんのかい?」
鼻で笑ってみせた。
「俺は怪人さ、お前等人類の敵、さぁ逃げろよ。」
妙に素っ気無く芯のない言葉。まるで悪役を演じているかの様な素振り。
「僕には逃げたって帰る場所なんか無い。腕だって無くなったし、今はこの場所からピクリとも動けない。あなたが居なかったらきっと死んでた。だから今、殺すって言うなら甘んじて受け入れる、僕はもう逃げないって決めたから。」
堂々たるその少年の姿、男は吐き出しかけた言葉を飲み込んだ。戯れや皮肉何か言っても無意味だと悟った。
「う~ん……よし、分かったお前、これから俺の雑用やれ。」
思いもよらぬ返答に少年は困惑する。
「・・・・嫌です」。
反論どころか意見すら聞く耳を持たない。男は少年の襟を引っ張り無理矢理引きずって行く。
「俺はヴィスタ、お前名前は?」
「ちょ痛い、痛い痛い、 ひ、──日暮 エイジ ―」
「エージか、よろしくな!飯食いに行くべ飯!」
男──ヴィスタはニマリと笑って見せた。
「腕が────痛い!!!」
─── To be continue
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