刑事と怪盗のカクテル

愛琉羽華

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怪盗爆炎

刑事と怪盗のカクテル0

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東京都。
…古びた廃ビルが並ぶ路地裏に、知る人ぞ知る店があった。
それは、『パイストス』という名のバー。
カクテルからワイン、ウイスキー等…様々なお酒が並ぶ、かなりの名店だろうと店長が自負している。

では、何故このバーがあまり知られていないのか。
…一応、看板はあるのだが…その存在は認知しずらいかららしい。
常連さえもが前を一旦通り過ぎてから気づく…何てことの多いバーだ。

今夜はそこには一人の客が訪れ、カウンター席に座り飲んでいた。
背は高く、天然パーマにイケメンと言われる類の優男。如何にも仕事帰りといった様な服を着ていて、バーボンを入れたグラスを片手で弄んでいる。
時々、バーボンに天井にある電球に透かしたりとしながら、少しずつ飲んでいた。

その優男が、おもむろに口を開いた。

「…今回は?」

それに応えたのは、カウンターで今新たに酒を造り始めている、たった一人でこのバーを経営している店長。
本人曰く、イケオジなバーテンダー、らしい。まあ、その言葉に違いはないのだが………。

「シパニシーホテル、最上階で行われる展示会」

その言葉に優男の目の色が変わる。

「おー…、かなり厳重じゃん?…獲物は?」

一口バーボンを飲んでから聞いた。

「世界最高級のエメラルド、パーラーだ」

それに淡々とした口調で店長は答えていく。

「わぉ…それは大物。
 相手さんはシパニシーホテルのオーナー…か。かなりの資産家だったよねぇ…。
 …依頼者は?」

「喜多村 智。ホテル経営でのライバルで…今回かなりの金を積んできた」

「ふーん…」

興味なさそうに呟いた。バーボンの入ったグラスをコトリとカウンターに置いた。
店長とその優男の目があう。

「裏でかなり悪どいこともしていたようだぞ?


 …どうする、ジョーカー?」


ジョーカーと呼ばれた、その優男。
…いや、もう優男とは呼べないかもしれない。

「どうするって…いつも通り仕事をするだけだよ…」

ニヤリ、と悪魔の様な笑みを浮かべて言った。

…それはあくまで計算高く、でも子供の様な幼さを兼ね揃えつつもある、そんな笑み。


こうして静かに幕は上がるのだった。


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