夏は短し、恋せよ乙女

ぽんず

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episode:9

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
「幸太郎~!」
 
遠くから走ってくる音が聞こえたがややこしい事が起きる予感がしたため
幸太郎はスルーをしていた。
 
 
「ちょっと!今日から一緒の学校なのに!なんで置いていくのよ!」
 
 
目の前に現れたのは、幼馴染であった。
 
昔から女という女が苦手な幸太郎であったが、彼女は別であった。
 
家が近く物心ついた時から常にそばにいたため
“女”とは少し違う感覚で会った。
 
「別に学校くらいひとりで行けるだろ。」
 
「幸太郎~相変わらず冷たい~!!」
 
「そういうのは俺じゃなくて亮に頼めよ。」
 
「幸太郎がいいの!!」
 
そういうと腕をつかんで歩き出した。
 
「今すぐ離れろ…俺は行くところがあるんだよ。」
 
「え~じゃあ私もついていく!」
 
「やめろ。もうすぐ亮も来るはずだから教室にいろよ。」
 
いやだ!と駄々をこねる幼馴染を仕方なく連れていくのであった。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
「あら、2人がどういう関係なのか、全然梨々花は興味ないけど人のクラスに何か用?」
 
「あ…これ、さちかが手紙書いたらしくて。」
 
はい。っと手渡された手紙を梨々花は受け取るが、すぐに視線は幸太郎の腕へと目を向けた。
 
「んで。佐々木君の腕にひっついてるその女も梨々花に用があるの?」
 
「あ…こいつは今日から転校してきた、俺の幼馴染。」
 
「初めまして。私、工藤礼です!幸太郎の幼馴染です!」
 
 
ふわっと笑った彼女の奥には見えない闇を見た気がした。
 
「わざわざ挨拶に来てくれたのかしら。」
 
「いえ、幸太郎についてきただけです。」
 
「幸太郎?あ~幸太郎君についてきたのね。」
 
“幸太郎君”というワードに周りがザワザワしたが
そんなことには見向きもせず梨々花は続けた。
 
「幸太郎君。今日のうちにさちかちゃんにはお返事を書くわ。また取りに来てくれる?」
 
「あぁ、それは構わないけど…。」
 
「幸太郎はきっと忙しいから代わりに私が取りに来るよ?」
 
「工藤礼さん。あなたには関係のない話でしょ。」
 
「手紙は俺が取りに来る。別に忙しくはないから。」
 
じゃあまた。と幸太郎はさっさと廊下へ逃げていった。
 
「ちょっと~幸太郎待ってよ!おいていかないで!」
 
その後を礼も慌てて追いかけていった。
 
「朝から何なのよ…。」
 
「いやいや、こっちのセリフなんだけど。」
 
いきなり隣から声がして振り向くと目をキラキラさせた麗が立っていた。
 
「なになに今の子!かわいかったね!!」
 
「そうかしら、別に大したことないように見えたけど。」
 
「まぁ、梨々花ちゃんは可愛いからね~。あの子恋のライバルって感じだったね!」
 
“恋のライバル”という単語に免疫がなく一瞬反応が遅れたが
 
「そんなわけないでしょ!!」
 
梨々花は顔を赤くしてそっぽを向いた。
 
「その反応も怪しい~~!!」
 
 
なにも怪しい事なんてあるわけないでしょ!!と伝え梨々花は自分の席へと戻る。
 
さちかからの手紙は実に純粋でかわいいものであり、
 
もうすぐ夏休みになるから一緒にまた遊んでほしいとのことだった。
 
(さちかちゃん…なんてかわいいのかしら…すっかり癒されてしまったわ。)
 
 
授業中ではあったが返事を書き終えた。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
「今日からこのクラスでお世話になります。工藤礼です!よろしくお願いします。」
 
一方、幸太郎のクラスでは生徒たちがザワザワと盛り上がっていた。
 
「えっ、転校生かわいくね?」
「これは、四天王といい勝負かもね~!!」
「笑顔が天使…。」
 
礼の挨拶により、男子高校生の大半は心をつかまれたのであった。
 
「おい、幸太郎。あいつすごい人気だな。」
亮は自慢げに話してきたが幸太郎にとっては、別にどうでもいいことであった。
 
 
「まぁ、学校が平和ならどうでもいいかな…。」
 
幸太郎は外を眺めてため息をついた。
 
 
「じゃあ、工藤は窓側の一番後ろでいいか?」
 
その席は、幸太郎の後ろの席であり、礼は喜んで移動してきた。
 
「幸太郎と亮が前にいるなんてラッキーだな!よろしくね!」
 
「おう!わからないことがあったら何でも聞いてくれ!!」
 
「…。」
 
「幸太郎ったら久しぶりにあったのに~なんか冷たい!!」
 
「こいつ年々冷めてきてるからさ~ごめんって!!」
 
「別にそんなんじゃないけど…頼むから静かにしてろよ…。」
 
そういうとまた外を向いた。
 
「そういえば、朝会いに行った子は彼女なの?」
 
「?!」
 
幸太郎はいきなりの質問に目を見開いた。
 
「幸太郎まさか…また梨々花ちゃんか~?」
 
隣の席の亮も体を乗り出して聞いてきた。
 
「夏目さんに用事があったけど、彼女じゃない!!」
 
「向きになるところが怪しい…。」
 
「幸太郎が四天王の一人と仲良くなることに驚いたけどな…」
 
「四天王…?」
 
(そういえばさっきもクラスの誰かが四天王とか言ってたわね…。)
 
「礼は今日来たばかりだから知らないと思おうけど、この学校には四天王がいるのだよ!」
 
亮は得意げに話を進める。
 
「ほかのクラスにいる、春野麗・夏目梨々花・千秋真琴・冬城華恋の美人4人組の事をみんな陰では四天王って呼んでるのさ。」
 
 
「夏目梨々花ねぇ…ふ~ん。」
 
また教えてね!と亮に伝えると礼は黒板へと視線を移した。
 
(…めんどくさい事になりませんように。)
 
幸太郎は心の中でひっそりと神頼みをしたのであった。
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
(…国語の授業って眠くなるのよね…。)
 
時計を見るとまだ授業を開始してから数分しかたっておらず、ため息がでてしまう。
 
常に勉強のできはトップクラスであったが、授業というものに対して関心はなかった。
 
(やらなくてもできちゃうのよね…時間の無駄に感じちゃうわ。)
 
時計とにらめっこをしている時であった、隣の席から一冊の本が回ってきたのであった。
 
表紙にはメモが張られており
 
“昨日の続き~!授業中暇そうだから貸してあげる~~!!”
 
とだけ書かれていた。
 
2席隣を見ると麗がニヤッと笑っておりピースサインを向けていた。
 
暇そうにしていたところを見られたことは府に落ちないが、続きがすこぶる気になっていたため麗のピースサインはスルーをして、読み進めた。
 
 
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