Life 〜【作成】スキルでのほほんサバイバル イカダを改造して戦艦にする〜

なか

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第14話 魂を喰らう食材

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 困ったことになった。
 いや、別に困ってはないけど、悩んでる? それも違うか。

 いや、何が起きたのかっていうと、これを見てくれればわかるんだけど......

 イカダの上でピチピチ跳ねる魚がいた。
 それだけなら 釣りしてんだから当たり前じゃん ってな感じなんだけど......この魚――


「絶対俺のいた世界にはいなかった魚だよな。」


 しゃもじみたいに頭が丸くて体は細い形をしている。
 だがそこではない。

 この魚、お腹の中が透けるくらい大量の卵を隠し持っているのだ。
 もはや隠せていない。透けているのだから。

 という事だが、それだけなら間違いなく食べない。
 普通に気持ち悪いだろそんな魚。
 即リリースという事なんだが、さっきもこいつが釣れて一応名前を確認しようと思ってアイテムボックスに収容したら――


 ”しゃもじ魚を手に入れました”


 こうなるわけだ。

 一応説明文を見たら――


 ”熱を加えたならば卵の部分がホカホカに炊きあがる事でしょう。もはや白米と予想します”



 なぞの説明文。
 いや、だがこれで十分わかる。説明文通りならこれは......


「調理すると卵が白米になるという事か!!!!!!」


 なんてこった.....
 もしこれが本当なら大事件だ。

 なんせ、海の上で漂流しながら白米が食べれるなんて誰が思いますか?
 サバイバル3日目。

 すでに魚に白米の朝食を頂けるかもしれない環境にある俺。
 もはやどこにもサバイバル要素がなくなってきている。

 なら何を困っているのか悩んでいるのかしているのですか? という疑問を受け付けようではないか。

 例えばあなたでも、無人島で死ぬほどお腹が空いていても見知らぬキノコを食べるとき必ず躊躇ちゅうちょする瞬間があるはずだ。

 なんてことはない。
 今がそれだ。

 俺今それ。

 迷っているテイで話しているだけだが......
 もうすでに食べるつもりでいる。

 当たり前だろ。ATARIMAEDARO!!
 大事な事だから2回言わせてもらった。

 目の前に白米があったら食べるでしょ!! 普通!!
 死んだらどうすんだよってか? 知るかそんなもん!!



 チーン



 ......と、こんな事言ってる間にしゃもじ魚が焼けた。
 すでに焼いてたんですねっていう質問は受け付けません。


「はぁ~このにおい! このにおいだよぉ~!!!」


 懐かしい甘い臭い。
 日本人に産まれたのなら、すべての食物連鎖の頂点に君臨していると言ってもいい米!!

 俺達は毎日こいつらを食っているのではない。
 喰われているのだ。魂を。

 さすがに熱くて持てないから鍋の上から指でアチッアチッっとお腹の皮をパリパリと取っていく。
 すると川の裂け目から熱々の蒸気が立ち上がり思わず――


「これは......」


 程よい粘りの効いた一つ一つの粒がしっかりと立っている、まさに見た目は白米そのものだった。
 絶えず広がる甘い香り。

 すべての食べ物の潜在能力を5倍にも10倍にも引き上げる、サッカーでいう所のトップ下。
 俺たち人間の口へ攻め入るときには必ずこの白米を経由してからの無限のスタイルが奏でられる。

 食材の数だけこいつは多様にもその色を変える。
 シンプルかつ最強の死角。

 その白米が今俺の口へ単独のドリブルを仕掛けている。


 くそっ!! パスだけじゃないのか!!


 俺の心のDF達は次々と白米のテクニックに翻弄されていく。
 そして技ありなループシュートが今俺の口の中に!!


「うまぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」



 ねっとりとひとまとまりだと思っていた白米は、口の中で個々それぞれの触感に変わりそれぞれが深い甘みを演出しだす。
 粒の数だけおいしいが共鳴し高まりあい、まさにそれは俺の口の中で宇宙が誕生した瞬間であった。


「ビックバン......」


 そのまま数分間、俺は余韻よいんという名の宇宙をただ漂うのであった。




 ーーーーーーーーーーーー




 もはや俺の趣味の欄に釣りが刻まれたのは言うまでもないだろう。
 いや、趣味ではないな。プロだ。

 これで飯を食っているのだから。
 うまいこと言ったってか? 飯だけに。ブンブン!!



 しかしこれだけ充実してるのも早いうちに命を懸けた甲斐があったからというものだろう。
 誇らしい気持ちを抑えることなく自信にしていきたい。

 しかし大方おおかたの食料問題は解決したしそろそろ他のことも考えていかなければいけない。
 俺に課せられてる問題はまだまだ多い。



 ・生活レベルの向上
 ・成瀬や他の生存者の捜索
 ・この世界【Life】からの脱出



 もしかすると長期的なものになるかもしれない。
 生活レベルの向上は必須になってくる。

 だがこの世界に来る直前、少なくとも成瀬も俺と同じように揺れを感じていた。
 この世界に来ている可能性は高い。

 ならば一刻も早く合流しないと成瀬が危険だ。
 優先順位に並び替えると



 ・成瀬の捜索
 ・生活レベルの向上
 ・生存者の捜索
 ・この世界【Life】からの脱出



 こうなるわけだ。

 ただなんの情報もない中で成瀬を探すなんてことは不可能に近い。
 なんとかこの世界で生きてる人に出会って情報を集めないと。

 移動手段が必要って事か。
 オールってことか......


「こんな海のど真ん中、オール1本で人探しとか無理がありすぎるよなー。」


 そうは言ってられない。
 まずは必要な物資をできるだけ集めてこの場所を発つ準備をしないとな。

 食料もいつでも手に入るとは限らない。

 そんな中、いつものルーティンがごとくサメがイカダの端をガジガジし始めた。


「飽きずによくやるよな。そんなにおいしいかよ。このイカダ。」


 バキンと勢いよくイカダを噛み千切りまた海中へと潜っていった。
 すぐに俺は作成を使い喰われたイカダの部分を修復する。
 すると――


 ”技術レベルが上がりました”



 レベル2は意外と時間がかかった。
 多分3にするにはさらに時間がかかるんだろうな。

 このスキルポイントの振分けは今後の俺の生死に直結すると考えた方がいい。
 俺は生唾をゴクリと飲みながら今焼けたサンマを頬張るのだった。



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