Life 〜【作成】スキルでのほほんサバイバル イカダを改造して戦艦にする〜

なか

文字の大きさ
13 / 23

第13話 飯

しおりを挟む
 


 毎回海に入るたび死にかけてるような気がする。
 さすがに今は飯を食べる気分になれなかった。

 いつものように暗く落ち込んだ時はイカダに寝そべり空を見上げる。
 いつの間にか夕暮れの時間が迫っていた。

 日が落ちる。
 太陽が沈むと今日も生き残れたという実感がわく。

 俺、今日も頑張ったぞ。
 成瀬......絶対生きて帰るからな。





 ーーーーーーー




 立ち直るまで何時間かかかってしまった。
 幻想的な夕暮れを一部始終眺めているとなんだか心が洗われた気がする。
 そしてそうなるとお腹が減る。



 ピコーン




 アラームが頭の中で鳴り響く。
 左上にはおなじみの



 ”お腹を補給してください”



 生きるというのは誰かが死ぬという事だとテレビの誰だお前? っていう哲学者みたいなのが言っていたのを思い出す。
 俺は今日死にかけた。昨日も死にかけた。

 こういうのを生きるって事なのかもしれない。
 そしてお腹が減ったっていうのは今生きてるってことなんだろうな。
 意味わかんなくてごめん。


「とりあえず、かまど作るか。」


 夜になり暗くはなったが、相変わらず月明かりなのか結構明るい。
 俺はメニューバーを開いてかまど式コンロを作成する。

 視界に緑の線でかたどられたポリゴンのかまど式コンロが出現しそれを俺はイカダの中央付近に設置する。


「作成。」


 トンテンカンテン


 瞬く間に腰の高さ程度のかまどが出現し上には鍋までついていた。
 親切な事で。

 さっそく鍋にアジを置いて料理しようとすると



 ”アジを調理しますか?”



 の文字が―――


 あぁここもそういう感じなのね。自分で料理はさせてもらえないのね。
 俺はしぶしぶYESを選択する。


 するとボウッとかまどの火が立ち上がりパチパチと勢いよく魚を炒める音が聞こえてきた。
 香ばしい魚の匂いが俺の鼻をくすぐった瞬間―――

 ドバーっと唾液とともに涙が溢れてきた。


「もう一生海藻しか食べれないと思ってた。」


 まだ食べてもいないのに。
 俺は貴重な水分を失ったと煮沸機で作ったストックの水を飲みほし、新たに海水を入れて煮沸機に火をつける。

 待ちきれないけどおとなしく待つ。
 餌をまつ犬のようにかまどの前でお座りを続けていた。

 鍋の上の時間が0になった、ついにこの時が訪れたんだ。



 チーン



 まるでレンジの音。
 そこだけが残念だが匂いはまさに香ばしい魚の香り。
 炭火焼のように少しほろ苦い香りがさらに俺の胃袋を締め付ける。

 鍋からアジを取り出す。


「あちっあちっ!!」


 焼けたての温度。箸も皿もないから素手だけどそんなのどうでもいい。
 味の皮の部分はキツネ色に焼けていてプツプツと中の油がまだ熱ではじけている。


「いただきます!!!!!」


 俺は大口を開けて一気に腹からかぶりついた。
 この時のことは俺の人生で生涯忘れないだろう。

 皮はまるで直火で炙られたかのようにパリパリで炭火のようなほろ苦さがたまらないアクセントを生み出している。
 といっても身は火が通り過ぎることなくジューシーで身の量からは想像できないほどの肉汁があふれ出してきた。

 何も調味料はかけていないのに程よく塩味が感じられアジの身の甘さをこの上なく絞り出している。

 ただ鍋で焼いただけに見えたのに。
 食べ物に飢えていたのもあるが、それ以上に魚がまずうますぎる。
 鮮度の問題なのかわからないがとにかく魚が普通にうまい。

 そして調理が絶品すぎる。
 焼いただけに見えたが焼き加減が絶妙過ぎてもう何も言う事はない。


「あぁ......生きててよかった......」


 俺は数分間は口に残った旨味に浸りながら、またすぐに新たにアジを焼き旨味に浸るのを腹いっぱいになるまで繰り返した。








 まぶしい朝日で目を覚ました。
 太陽の光をあんなに避けて生きてきたのに、今では呑気に日向ぼっこまでしている。

 イカダの端ではバシャバシャとサメがイカダに噛みついていた。


「気にしない。気にしない。」


 噛みちぎられてもすぐに修復するから気にしない。
 そうしているとバキッとイカダが割れる音がしてサメが水中へ潜っていった。

 俺はそれに目も向けず寝転びながら――


「作成。」


 と、指でその方向を差しながらイカダの食いちぎられたところを踏板で修復する。

 なんてイージー。

 足の指でつかんでおいた釣り竿が軋み、糸の先が海面でバシャバシャとしぶきを立てる。
 それをクイっと足で持ち上げてやると――


 ”アジを手に入れました”


 なんてイージー。

 俺はこのイカダの上でカリスマとなっていた。
 何に対するカリスマかは伏せておくとしよう。

 そのまま釣り竿でアジを釣っていたところ、ついに――


 ”釣り竿レベルが上がりました”
 ”釣り竿は丈夫な釣り竿へと変化しました”
 ”釣れる魚の種類がアンロックされました”



「おぉ!! 釣り竿レベルが上がった!!」


 これは意外と待ちわびていた。
 食料調達も含めてだがこのレベルを上げることによって釣れる魚の種類が増えるだろうと予想していたからだ。


「全然アジでもいいんだけど、なんだったら他の魚も食べてみたいよね。」


 とはいえ竿の名前が変わったのは笑える。
 なんか意味あんのか?

 さっそく新しい竿を試してみるか。
 俺は見た目何も変わっていない竿を振りかぶり思いっきり振り切った。

 赤い浮きはヒョロヒョロと空中で揺れながら俺の3mくらい前に静かに着水した。

 まぁ筋力の問題だよね。きっと。
 そこも補正してくれると助かったんだけどね。

 そんな事を考えてるとすぐに浮きがピクピク反応しだした。
 なんでエサもつけてないのにヒットするのだろう。
 この世界でそういうのは気にしても仕方ないけど。


 ドプン

 勢いよく沈む浮きに合わせて俺は竿を持ち上げる。


「うぉぉ......」


 アジの頃にはなかった感触、少し重い。
 まぁ少しだから大したことないけど。

 器用に糸を竿に巻き付けながら手繰り寄せていく。


 ザブゥ


 ”サンマを手に入れました”



「やった!!!」


 これはうれしい。
 サンマとか毎日でも食べれるやつじゃん!!
 昨日の夜にたらふく食べたのにもう頭は飯の事でいっぱいだ。

 溢れるよだれを抑えながら、まだ早いと自分を制し再度竿を振る。
 どういう種類の魚が釣れるのか確認してから朝食というのも悪くない。

 抑えられない欲求には素直に従っていくのが生きるという事だと悟る俺だった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...