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覚醒
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「「「「呪詛喰いの瘴気」」」」
アレンはブルーノの呪印を喰らう瘴気を体にまとわせる。
体を乗っ取られかねない反動にも今のアレンなら耐えられる。
抑えられていた力があふれ出し、今ついに自分のスキルが体へと呼応していく。
「ふん。私は一介の呪術師のレベルを超えているのはあなたたちも理解しているでしょう? もはや私は呪い使いではないのです。そう、私自身が呪い。目の前の無知なゴミ共を腐り散らかすね!!
」
ブルーノは自己強化の呪術を幾重にもかけ、体内に黒い力を凝縮していく。
部屋の壁がビリビリと振動し今にも崩壊しそうになっている。
そんなブルーノの姿に反応も見せずアレンは下段に構えた刀をサッと一振り軽く地面を撫でた。
するとアレンの場所を含む部屋の地面が切り裂かれブルーノのところまでの地面が突如崩れ落ちていくのだ。
「なっ!! 貴様!!」
「ここだと仲間がいる。場所を変えてもらうぞ。」
ガラガラと地面が崩れ落ちアレンとブルーノを引き連れて奈落の研究所へ落ちていった。
部屋に穴が開きタヌキはゴンゾウが連れてきたニアを抱きかかえポカンとするほかない。
「きゅい!! きゅぴぴ!!」
しっかりしろ!とゴンゾウはタヌキの前で飛び上がる。
「あ、あぁ、すまねぇゴンゾウ。ニアは大丈夫だ。ただの魔力切れだ。すぐクラウスの治療も始める。お前はアレンを追ってくれ。ここは大丈夫だ。」
タヌキの信じろという目を見てゴンゾウは「きゅい!!」とうなずくと踵を返し空いた穴に飛び込んでいった。
「ほんとに......規格外だぜ。いけねぇ。クラウス!! 無事か!!」
そのままタヌキはニアをその場に寝かせクラウスの元へ走っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
二人は落下の最中も同じく落ちるガレキを足場にし激しい衝突を繰り返した。
ブルーノは自分の腕をひっかき、そこから滲む血を手のひらに垂らすことにより鉄よりも固い手の平に変えアレンに襲い掛かる。
アレンはガレキからガレキへ【縮地】を使いながらブルーノとの距離を詰める。
衝突と同時に発する火花が暗い研究所を一定の間隔で明るくする。
ガラガラガラ!! とガレキが地下の地面に衝突しても二人の動きは止まらない。
弾け砕け、細かく空中に散乱するガレキを躱しながら二人は幾重の攻撃が重なり合う。
アレンを包む瘴気が濃く厚くうねりだす。
攻防一帯を繰り出す呪詛喰いの瘴気の前に人間を超越しようとしているブルーノの超人的スピードでも手を焼いている。
ブルーノは気づいていた。
あの剣は呪いを切り裂く。
あの剣で切られれば自分もただでは済まないだろう。
完璧だったはずの自分の再生能力に不安が芽生えたブルーノの攻撃は覚醒したアレンでもかろうじて見極めることができたのである。
「ぐう!! こんな事があっていいはずがない。いくらの犠牲の上に成り立った力だと思っている!!? お前みたいなゴミ風情が到達していい力ではないんだぞぉぉぉ!!!!!!」
怒り乱調になるブルーノの攻撃に呪詛喰いの瘴気はその形で流動的に力をいなしアレンに攻撃のスキを演出した。
「お前が犠牲とかを口にするなぁぁぁ!!!!!」
スライム一刀流「椿一閃」
以前の力が封じられている状態でも放てた技。
しかしあの時とは全く別物というようなその威力。
鞘から瘴気を爆炎のように巻き付かせ放った刃はブルーノの腹部を強打する。
あらかじめ体も血のコーティングにより強固にしていなかったらブルーノは背骨すらも楽に切り裂かれ真っ二つにされていただろう。
「ぐふぅ!! 見事だ。だがお前の刃はこの体には通らんぞ!!」
そう言い終わったのと同時に腹部で止まっていた剣先から光が発せられそれは瞬く間にブルーノを広い研究所の遥か壁まで吹き飛ばしてしまった。
ギューーーーーン!!!!!!! ゴワシャーーーーン!!!!!!!
何十mも吹き飛ばされ壁にめり込むように突っ込んだブルーノ。
砂煙が舞う中、めり込んだ壁からスクっと何事もなかったように立ち上がりアレンを睨むブルーノ。
「今の一撃で目が覚めました。あなたを下に見るのはやめましょう。あなたは今から私と同等、いやそれ以上の存在だ。そう認識する。」
「お前の心は黒く染まりすぎてる。ここで止めないともう止められないかもしれない。」
「あなたは強い。だから全力であなたを消します。」
「この場所は強い憎しみに覆われてる。この悲しみは今日この場所で終わらせる。」
それぞれの強い思いが力になる。
善悪の区別など所詮は人が作る感情の中の出来事なのだろうか?
アレンの黒い瘴気の中に光の粒子が混ざり始める。
キラキラとアレンの周辺が輝き始めている。
「これ! おかしなものを混ぜるでない。調子が狂うわい!」
鬼丸と呼応していきさらに研ぎ澄まされた力が捻出されていく。
しかしブルーノもそのままではない。
更なる自己強化と過度な呪術の重ね掛けでその姿は次第に人間とはかけ離れていく。
「この姿は体への影響が強く出過ぎる。依代があってさえも。しかしあなたという強者をここで葬るためには仕方ない事。ここで終わるのはあなたですよ!!」
何十mもあった距離はブルーノの怪物じみた脚力により瞬く間にゼロになる。
振り下ろされたその手は何倍にも膨れ上がり一本一本がナイフほどもある爪が伸びている。
すんでのところで反応したアレン。受けた刀から耳を塞ぎたくなるような高域の衝突音がキーーーーン!!!と響き渡る。次は反応できるか?
装冷や汗を垂らす暇さへなくアレンのわき腹にブルーノのケリが見舞われる。
当たった.......と思った衝撃だがアレンは自身をコマのように蹴られた衝撃と逆方向に回転させダメージを防ぐ。
回転をまとう瘴気を具現化させ地面に針のように突き刺し回転を止める。
しかしすでに正面からパンチのモーションに入っているブルーノ。
さすがに避けれないその連撃を瘴気をまとい正面からガードする。
ガギャァァアアンん!!!!
およそ人に拳をぶつけたとは思えない音が響き今度はアレンがはるか後方の壁に叩きつけられた。
アレンはブルーノの呪印を喰らう瘴気を体にまとわせる。
体を乗っ取られかねない反動にも今のアレンなら耐えられる。
抑えられていた力があふれ出し、今ついに自分のスキルが体へと呼応していく。
「ふん。私は一介の呪術師のレベルを超えているのはあなたたちも理解しているでしょう? もはや私は呪い使いではないのです。そう、私自身が呪い。目の前の無知なゴミ共を腐り散らかすね!!
」
ブルーノは自己強化の呪術を幾重にもかけ、体内に黒い力を凝縮していく。
部屋の壁がビリビリと振動し今にも崩壊しそうになっている。
そんなブルーノの姿に反応も見せずアレンは下段に構えた刀をサッと一振り軽く地面を撫でた。
するとアレンの場所を含む部屋の地面が切り裂かれブルーノのところまでの地面が突如崩れ落ちていくのだ。
「なっ!! 貴様!!」
「ここだと仲間がいる。場所を変えてもらうぞ。」
ガラガラと地面が崩れ落ちアレンとブルーノを引き連れて奈落の研究所へ落ちていった。
部屋に穴が開きタヌキはゴンゾウが連れてきたニアを抱きかかえポカンとするほかない。
「きゅい!! きゅぴぴ!!」
しっかりしろ!とゴンゾウはタヌキの前で飛び上がる。
「あ、あぁ、すまねぇゴンゾウ。ニアは大丈夫だ。ただの魔力切れだ。すぐクラウスの治療も始める。お前はアレンを追ってくれ。ここは大丈夫だ。」
タヌキの信じろという目を見てゴンゾウは「きゅい!!」とうなずくと踵を返し空いた穴に飛び込んでいった。
「ほんとに......規格外だぜ。いけねぇ。クラウス!! 無事か!!」
そのままタヌキはニアをその場に寝かせクラウスの元へ走っていった。
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二人は落下の最中も同じく落ちるガレキを足場にし激しい衝突を繰り返した。
ブルーノは自分の腕をひっかき、そこから滲む血を手のひらに垂らすことにより鉄よりも固い手の平に変えアレンに襲い掛かる。
アレンはガレキからガレキへ【縮地】を使いながらブルーノとの距離を詰める。
衝突と同時に発する火花が暗い研究所を一定の間隔で明るくする。
ガラガラガラ!! とガレキが地下の地面に衝突しても二人の動きは止まらない。
弾け砕け、細かく空中に散乱するガレキを躱しながら二人は幾重の攻撃が重なり合う。
アレンを包む瘴気が濃く厚くうねりだす。
攻防一帯を繰り出す呪詛喰いの瘴気の前に人間を超越しようとしているブルーノの超人的スピードでも手を焼いている。
ブルーノは気づいていた。
あの剣は呪いを切り裂く。
あの剣で切られれば自分もただでは済まないだろう。
完璧だったはずの自分の再生能力に不安が芽生えたブルーノの攻撃は覚醒したアレンでもかろうじて見極めることができたのである。
「ぐう!! こんな事があっていいはずがない。いくらの犠牲の上に成り立った力だと思っている!!? お前みたいなゴミ風情が到達していい力ではないんだぞぉぉぉ!!!!!!」
怒り乱調になるブルーノの攻撃に呪詛喰いの瘴気はその形で流動的に力をいなしアレンに攻撃のスキを演出した。
「お前が犠牲とかを口にするなぁぁぁ!!!!!」
スライム一刀流「椿一閃」
以前の力が封じられている状態でも放てた技。
しかしあの時とは全く別物というようなその威力。
鞘から瘴気を爆炎のように巻き付かせ放った刃はブルーノの腹部を強打する。
あらかじめ体も血のコーティングにより強固にしていなかったらブルーノは背骨すらも楽に切り裂かれ真っ二つにされていただろう。
「ぐふぅ!! 見事だ。だがお前の刃はこの体には通らんぞ!!」
そう言い終わったのと同時に腹部で止まっていた剣先から光が発せられそれは瞬く間にブルーノを広い研究所の遥か壁まで吹き飛ばしてしまった。
ギューーーーーン!!!!!!! ゴワシャーーーーン!!!!!!!
何十mも吹き飛ばされ壁にめり込むように突っ込んだブルーノ。
砂煙が舞う中、めり込んだ壁からスクっと何事もなかったように立ち上がりアレンを睨むブルーノ。
「今の一撃で目が覚めました。あなたを下に見るのはやめましょう。あなたは今から私と同等、いやそれ以上の存在だ。そう認識する。」
「お前の心は黒く染まりすぎてる。ここで止めないともう止められないかもしれない。」
「あなたは強い。だから全力であなたを消します。」
「この場所は強い憎しみに覆われてる。この悲しみは今日この場所で終わらせる。」
それぞれの強い思いが力になる。
善悪の区別など所詮は人が作る感情の中の出来事なのだろうか?
アレンの黒い瘴気の中に光の粒子が混ざり始める。
キラキラとアレンの周辺が輝き始めている。
「これ! おかしなものを混ぜるでない。調子が狂うわい!」
鬼丸と呼応していきさらに研ぎ澄まされた力が捻出されていく。
しかしブルーノもそのままではない。
更なる自己強化と過度な呪術の重ね掛けでその姿は次第に人間とはかけ離れていく。
「この姿は体への影響が強く出過ぎる。依代があってさえも。しかしあなたという強者をここで葬るためには仕方ない事。ここで終わるのはあなたですよ!!」
何十mもあった距離はブルーノの怪物じみた脚力により瞬く間にゼロになる。
振り下ろされたその手は何倍にも膨れ上がり一本一本がナイフほどもある爪が伸びている。
すんでのところで反応したアレン。受けた刀から耳を塞ぎたくなるような高域の衝突音がキーーーーン!!!と響き渡る。次は反応できるか?
装冷や汗を垂らす暇さへなくアレンのわき腹にブルーノのケリが見舞われる。
当たった.......と思った衝撃だがアレンは自身をコマのように蹴られた衝撃と逆方向に回転させダメージを防ぐ。
回転をまとう瘴気を具現化させ地面に針のように突き刺し回転を止める。
しかしすでに正面からパンチのモーションに入っているブルーノ。
さすがに避けれないその連撃を瘴気をまとい正面からガードする。
ガギャァァアアンん!!!!
およそ人に拳をぶつけたとは思えない音が響き今度はアレンがはるか後方の壁に叩きつけられた。
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