psychics!

kuroroa

文字の大きさ
上 下
1 / 5

少年と少女と大人達

しおりを挟む
(ボクはバケモノだ)

(人とは…チガウ)

(でもそんなボクを変えてくれたのは)


------ダレダッケ?------


コツコツと響く廊下
長く続く道を歩くのは
長身にスーツをきっちり着て
眼鏡をかけているオールバックの男性と
まだ10歳くらいの小さい少年

「怖いか?」

男性が先程から何も言わない少年に
声をかける

「いえ…少し」

「そうか…だかなここの奴らは
そこまで警戒しなくてもイイヤツばかりだ」

少年は男性を少し見上げたあと
また正面を向いて歩き出した

(ここでならあの人を見つけられるかもしれない)

そう彼は幼い頃助けてくれた人のことを
ずっと探していた

性別がどちらなのか今
生きているのか死んでいるのか
名前すらも分からない人のことを

すると一つの部屋の前に着き
男性は扉に近づいて少年に言い放つ

「君ならきっといい警察になるよ」

「っ!!」

「ようこそ新警察サイキック課へ」

少年が驚いていると
中にいた1人の男性が
声をあげた

「可愛い坊やね!彼がワタシの相棒くん?」

「うるさいぞクソかま親父」

「あの……えっと」

「あらいけないワタシったら!!黒羽クロハ!
通り名はクロよ!後ろにいる女の子は
ワタシの妹のイロハ通り名はロイよ」

クロハは実に楽しそうに
自己紹介をする
それとは対照的に妹のイロハは
ツンとすました顔をする

するとジリリリリ!!と耳をつんざくような
サイレンが部屋中に響いた

「全くゆっくり話す暇もないなんて!」

「仕方ないだろう犯人は待ってくれない」

「そうよ…それにそれを止めるのが私たちの仕事なのよ早く行きなさい新人くん達?」

ニヤリと笑うイロハ
クロハと少年はキョトンとして
顔を見合わせると揃ってはい!!と
元気よく部屋を出ていった

「全く慌ただしいなあの2人は」

「そうね…でも嬉しいんじゃない?
てかロア制御装置、渡したの?2人に」

「あ……」

「はぁ…馬鹿なのねあなたは」

そう言って後から2人も部屋をでた
4人が現場に到着すると
警視庁の警部がイロハに声をかけた

「すみませんロイさん」

「いいえ気にすることはありません
それに新人の実力も見てみたかったので」

「そ…そうでしたか」

少年は驚いた、自分と同い年位の
少女がここまで大人にしかも
警察に頼りにされていることが

「あ、そうだ」

少女がオールバックの男性の
ポケットに手を突っ込んだかと思うと
何やら小さな指輪を取り出した

「これは?」

「それは制御装置、一般の人々には
攻撃が当たらないように改良した
指輪…­­時間がなかったから指輪しか作れなくて
すまん男どうしで指輪は気持ち悪いかも
しれないが次ができるまで我慢して」

少女は心底、申し訳なさそうに
指輪を渡す

「制御装置…」

「あぁお前達サイキッカーは
人を殺すことも守ることも
簡単に出来る…だから万が一にも…な?」

そうサイキッカーにはまだまだ
わからないことが沢山ある
限界はあるのかどこが弱点なのか
どんな能力を持っているのか

だからこそこの制御装置は
なくてはならないのだ
暴走した時誰にも止められないから

「さぁクロとコクよ!!
最初のミッションをクリアしてきな!!」

少女が声を張り上げ高らかに
宣言するすると指輪が光り
クロハと少年を敵のいる方へ
導いた

「«コク»…かそれがアイツの
通り名か?」

「えぇなかなかいいでしょ?
兄さんがクロなら黒に近い
通り名がいいと思って」

「だな…ま、あいつらなら
うまくやれそうだかな」

「当たり前でしょ私が直々に
組み合わせたんだから」

「そうでしたねサイキック課の
部長様」

そう話した二人の言葉は
警察のざわめきと
街の人々の騒音に飲まれて消えてった

さて、ここから
少年の…彼らの物語は
どう進んでゆくのでしょう

彼らの戦いは今
火蓋を切られたのだった
しおりを挟む

処理中です...