アンドロイドの君に恋して

kuroroa

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キモチ

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「いやぁ買った買った」

楽しそうに笑う礼慈
その隣で頬を膨らませるアイミ

「どうした?アイミ」

「なんでもナイ」

アイミがこんな膨れるのには
訳があった

『やっぱこっちにすっか』

『あ!礼慈じゃん!!』

その声を筆頭ひっとう
四人の男女が礼慈を取り囲んだ

アイミはただ訳の分からないまま
その光景を目にしていた

(レイジ…楽しそう)

寂しそうに眺めて
髪につけていたピンに手を伸ばす

(ヒト…男のヒトと女のヒト)

礼慈が楽しそうに男女と話す顔は
自分とは違う笑顔カオ
自分ではその顔を引き出せないのか
そう思っていた

よくわからないその気持ちに
アイミは戸惑った

『お、姉ちゃんかわいいね!!』

『は?』

ぼーっとしていたら
1人の男性にアイミは声をかけられた

『ねぇねぇ俺とお茶しない?』

『ゴメンナサイ…無理デス』

『えー良いじゃん~』

何度かそのやりとりを続け
困っていたら

『アンタ、コイツに何か?』

『チッ男連れかよ』

そう言って駆け足で去るナンパ男
フゥ…とため息をこぼす礼慈

『アイミ…大丈夫だったか?』

『ウん…さっきのヒト達は?』

『あー高校の友達ってやつだ
ごめんなほったらかしにして』

アイミは心がまた暖かくなった
それはあの時礼慈に教えてもらった
嬉しいという感情で
頬が少し熱くなった気がした

だがそれも買い物が始まると
礼慈は日用品選びに夢中になり
アイミは少し呆れ気味に後ろから見ていた

お昼ご飯を食べに
フードコートに行くと
礼慈が頼んでくるとアイミを
席に座らせて注文をしに行った

(あぁ…マタあのヒト達だ)

席についてしばらく待っていると
礼慈はまた同じ四人に話しかけられていた

すると今度はさっきの嬉しいという
気持ちとはまた違う
何か胸に突っかかるような
少し苦しいような感覚がアイミを襲った

(私がヒトだったら…)

そんな考えがアイミの頭を駆け巡る
グルグルと悩んで
目が回りそうになるアイミ

礼慈が両手いっぱいに
食べ物を持ってきて食べ始めると
アイミの不安な顔を見て言った

『アイミ?大丈夫か?』

『ダイジョウブ』

笑顔を作り答えるアイミ

『やっぱお前といる時が俺は
一番好きだ』

少し頬を赤らめて
白い歯を出しながら笑う礼慈に
アイミはさっきまで悩んでいた事が
一気に吹っ飛んだ

『ワタシ…レイジのイチバン?』

『ん?…おん!!』

口いっぱいに食べ物を詰め込んで
何度もうなずくレイジに
アイミはクスッと笑った

………が帰り道で
アイミはふと思った
自分ってとても単純なのではないかと

そして冒頭にいたる

「なぁほんとにどうした?」

「何でもナイ…」

「なんかあったら言えよ?」

「じゃあ…」

「ん?なんだー?」

「ワタシも…レイジがイチバン」

今日も2人は新しいキモチを
少しずつ少しずつ築いていく
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