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ドッグラン
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「よし! 行くぞ!」
白いゴムボールが青空に弧を描いて飛んでいく。懸命に追いかけていく俺の愛犬ケント。ケントは今年で三歳になるビーグル犬だ。今日は自宅から車で三十分ほどの公園に来ている。この公園にはドッグランがあるのだ。晴れた週末にはここに来るのが俺たちの習慣になっている。
ケントは早くもボールを口にくわえて戻ってきた。
(早く投げて)
言葉は分からないが、ブンブン振り回されている尻尾に彼の気持ちがよく表われている。
「よーし、もっと遠くへ投げてやるぞ! それ!」
俺は学生時代には野球部に所属していた。それも外野手だ。肩には自信がある。ゴムボールはあっという間に青空に溶け込んでいく。それを追いかけて、ケントも猛ダッシュしていく。
「今日もケントくん元気ですね」
「ええ。今日は天気もいいし、ご機嫌ですよ」
愛犬仲間の由香さんが話しかけてきた。彼女もこの公園の常連さんだ。連れているのはメスのビーグル犬―――ロイスちゃん。ピンクの首輪がよく似合う美人さんだ。
ケントが戻ってきた。今日一番の勢いで尻尾を振っている。そうか、そうか。お前も彼女にいいところを見せたいか。
「そーれ、取ってこーい」
俺は思いっきり遠くまでボールをぶん投げた。ケントも俺たちの横を思いっきり駆け抜けていく。
「わぁ、すごーい」
「はははは、あいつ張りきってるなぁ」
由香さんと話している間に猛烈な勢いでケントが戻ってきた。舌を出してハァハァと息を荒くしているが、目が生き生きとしている。
(もっともっと。あんたこんなもんじゃないでしょ?)
ケントの気持ちが伝わってきた。
「おお! 今日はやる気だな。よし、いくぞ!」
ケントは姿勢を低くして飛び出せる態勢を整えた。俺は二、三歩さがると助走を付けて思い切りボールを投げた。ケントはそれをものすごい勢いで追いかけ始めた。
『第一宇宙速度』
物体の運動速度がある点を超えると、地球の引力と物体の遠心力がつり合って地球の周りを回る軌道を運動し続けるようになる。その速度が第一宇宙速度だ。
今、ゴムボールは地球の周回軌道を回り続け、ケントはそれをひたすら追いかけ続けている。
白いゴムボールが青空に弧を描いて飛んでいく。懸命に追いかけていく俺の愛犬ケント。ケントは今年で三歳になるビーグル犬だ。今日は自宅から車で三十分ほどの公園に来ている。この公園にはドッグランがあるのだ。晴れた週末にはここに来るのが俺たちの習慣になっている。
ケントは早くもボールを口にくわえて戻ってきた。
(早く投げて)
言葉は分からないが、ブンブン振り回されている尻尾に彼の気持ちがよく表われている。
「よーし、もっと遠くへ投げてやるぞ! それ!」
俺は学生時代には野球部に所属していた。それも外野手だ。肩には自信がある。ゴムボールはあっという間に青空に溶け込んでいく。それを追いかけて、ケントも猛ダッシュしていく。
「今日もケントくん元気ですね」
「ええ。今日は天気もいいし、ご機嫌ですよ」
愛犬仲間の由香さんが話しかけてきた。彼女もこの公園の常連さんだ。連れているのはメスのビーグル犬―――ロイスちゃん。ピンクの首輪がよく似合う美人さんだ。
ケントが戻ってきた。今日一番の勢いで尻尾を振っている。そうか、そうか。お前も彼女にいいところを見せたいか。
「そーれ、取ってこーい」
俺は思いっきり遠くまでボールをぶん投げた。ケントも俺たちの横を思いっきり駆け抜けていく。
「わぁ、すごーい」
「はははは、あいつ張りきってるなぁ」
由香さんと話している間に猛烈な勢いでケントが戻ってきた。舌を出してハァハァと息を荒くしているが、目が生き生きとしている。
(もっともっと。あんたこんなもんじゃないでしょ?)
ケントの気持ちが伝わってきた。
「おお! 今日はやる気だな。よし、いくぞ!」
ケントは姿勢を低くして飛び出せる態勢を整えた。俺は二、三歩さがると助走を付けて思い切りボールを投げた。ケントはそれをものすごい勢いで追いかけ始めた。
『第一宇宙速度』
物体の運動速度がある点を超えると、地球の引力と物体の遠心力がつり合って地球の周りを回る軌道を運動し続けるようになる。その速度が第一宇宙速度だ。
今、ゴムボールは地球の周回軌道を回り続け、ケントはそれをひたすら追いかけ続けている。
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