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Ⅲ 当然、バカ王子は捨てられる
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今出来る屋敷の改善点を全て考え、オスカーに全て任せてぶん投げてきた。
そりゃあもう、無責任なまでに、ぽいっと。
俺が駆け足で外に出ると馬の世話をしているメイドのガネスを発見する。
すぐさまそちらへ全速疾走、それに気が付いたガネスは何事かと恐怖のあまり涙目になる。
中学生くらいの少女を怖がらせてしまった。
前世であったならすぐさまお巡りさんに取り押さえられていたことだろう。
「馬車の用意は出来るか」
「はいぃ、……でも御者は毎回オスカー執事長が」
「オスカーは別の仕事で手が離せない。馬車の用意さえしてくれたら俺が御者をする」
「リエル様が!?」
子供時代に父さんに連れられて競馬を見に行ったことがある。
馬一頭を操るくらい造作もない。はずである。
しかしガネスが用意して来たものは巨大で装飾がキラキラとしている馬車、しかも馬が四頭。
四頭である。
不安が胸の内にあったが時間も惜しい為、すぐさま御者台に乗り込む。
「ガネスは馬車の中でくつろいでおいてくれ」
「私も行くんですか!? ……あ、でもひとりで行かせてなにかあったら……ひ、わかりました。お供させていただきます。でもご主人様が馬を引くのに使用人の私が馬車に乗り込むのは図々しいので横に座らせていただきます」
「気にしないが、そう言うのなら」
御者台に届かないガネスの手を取り、引き上げる。
「よし、行くぞ。シートベルトをしっかりしろ」
「しーと、べると」
そんなものはなかった。
鞭が置いてあったが、馬が可愛そうなのでぽいっと捨てる。
手綱を引き、「頼むから進んでください」と念じると四頭はそれに答えるように歩みを始めた。
「それで、リエル様はどこへ向かっているのですか?」
「いいかげん敬語はやめろ。子供に敬語を使われるとむずむずする」
「え、でも。私の言葉使いが変な時、リエル様はいつもお叱りになるじゃありませんか」
聞きたくなかった。
どこまで嫌な奴なんだ、バカ王子。
「……そうだな。じゃあ、仲良くなって俺が悪い人間じゃないと思ったら、やめろ。友人に敬語は使わないだろ」
「多分一生来ないと思います」
純粋な瞳でそう言われてしまった。
悪気が無さそうなだけにダメージはデカい。
「アイビー公爵令嬢に会いにいく。伝えなくちゃいけないことがあるんだ。道案内を頼む」
「道は知ってますけど。婚約破棄したんですよね。それに怖い人ってみんなが噂しています。悪い事沢山している大悪党らしいじゃありませんか。だからリエル様とお似合いだと……お口を閉じます」
「誰からそう聞いた?」
「学園の皆様が」
「……学園?」
一瞬疑問を持ったがすぐに解消された。
今の俺は高校生くらい、学園に通っていてもなんの不思議もない。
王子だから傍付きとしてガネスも一緒に着いて行っているのだろう。
誰かが彼女の醜聞を流しているという事か。
「アイビー……」
確かに彼女だった。
布で顔を隠している女性が街の市場のような場所に入っていくのを目撃した。
ドレス姿しか見ていないが、確かに彼女のスリーサイズに相違なかった。
庶民的な衣服だったが、間違いない。
公爵令嬢アイビー・ヴィクトリアだった。
「見間違いですよ。ここはリエル様が治める領地内、昨晩アイビー様を出禁にしたのはリエル様自身じゃありませんか」
「馬の番を頼む」
「ぎょっ!?」
手綱をガネスに預け、馬車から飛び降りる。
必死に走った。
彼女に伝えるべきことがある。
無実だということを証明し、叶うのであればもう一度――無理だとしても、彼女が世界中の誰よりも美しいと伝えておきたい。
体力は前世と同じくらい、つまりまったくない。
300メートルほど走れば、息を切らす。
しかし彼女の姿を再び視界におさめた。
商人たちが彼女の周りに集まっている。
ナンパだろう、そうに違いない。
すぐに引き離さなければ――。
「お前ここでなにしている! アイビー・ヴィクトリア。オレの領地に入って来るなと伝えたはずだが。そこの商人どもに金でも掴ませて密航してきたんだろ。そこまでしてオレに会いたいのか。未練がましい女だな」
………………は?
はぁぁぁぁあああ!?
おいおいおい、これはどういうことだ!?
またしても思考と言葉が嚙み合っていない。
商人が売っている鏡に自分の顔が映り込み。
とてつもなく殴ったらすっきりするであろう生意気な表情をしていた。
「……リエル様」
見付かってしまったと、絶望の表情。
顔を隠していた布を外す。
やはり可憐だ。
「ち、ちげぇんだよ。王子様。この方はこの領地で少なくなっちまった麦を安価で譲ってくれてんだ」
「黙れ、商人風情がオレに意見するな」
誰か~鈍器を、生意気な王子の頭をかち割る鈍器を見付けてください。
なんならそこに転がってる岩でも良いぞ。
もう容赦なく、どしゃっと。
「リエル様。そんな物言い、あんまりですわ。この方々は貴方様がお守りするべき国民たちです。無下にして良いわけがありません」
「元はと言えば、あんたが肉を増やせって牧場を増やすもんだから麦畑が減って困ってんじゃねぇのかよ。それに見かねたこの方が公爵領の麦を譲ってくれてるっていうのに」
「そうだそうだ!」
「ええい、うるさいうるさい! ないなら自分たちで増やせ、こんな性悪女の助けなんて借りるな。工夫するのが貧乏人の唯一の取り柄だろ」
「リエル様!!」
「そもそもお前もお前だ。オレに捨てられたキズモノ令嬢のくせに商人相手に聖女気取りか。身の程を知れ」
俺、正しくはバカ王子が力いっぱいにアイビーの手を引く。
彼女も痛みで顔をしかめた。
「熱っ!?」
その瞬間、俺の衣服の袖が燃えた。
それから彼女の腰に男の手が添えられる。
残念ながら俺のものではない。
「捨てられた、それはとても都合が良い。だったらボクが拾い上げても文句はないよね」
薔薇のような赤色の髪、エメラルドのような緑色の瞳。
貴族服を着ていても分かる、かなり鍛え上げられた肉体美。
どこか儚げで、左目の下のほくろが色気を演出する。
もうすでにふたりの視界に俺はいない。
「もちろん貴女の許可があればだけど」
「えっと、貴方は……」
「ユーリ・フォルシオン。通りすがりの辺境伯さ」
『婚約破棄された悪役令嬢は辺境貴族に溺愛されるようです』。
そんなメインタイトルが画面いっぱいに見える(幻覚)。
OPも流れてる気がする(幻聴)。
袖がなくなってすーすーする(現実)。
そりゃあもう、無責任なまでに、ぽいっと。
俺が駆け足で外に出ると馬の世話をしているメイドのガネスを発見する。
すぐさまそちらへ全速疾走、それに気が付いたガネスは何事かと恐怖のあまり涙目になる。
中学生くらいの少女を怖がらせてしまった。
前世であったならすぐさまお巡りさんに取り押さえられていたことだろう。
「馬車の用意は出来るか」
「はいぃ、……でも御者は毎回オスカー執事長が」
「オスカーは別の仕事で手が離せない。馬車の用意さえしてくれたら俺が御者をする」
「リエル様が!?」
子供時代に父さんに連れられて競馬を見に行ったことがある。
馬一頭を操るくらい造作もない。はずである。
しかしガネスが用意して来たものは巨大で装飾がキラキラとしている馬車、しかも馬が四頭。
四頭である。
不安が胸の内にあったが時間も惜しい為、すぐさま御者台に乗り込む。
「ガネスは馬車の中でくつろいでおいてくれ」
「私も行くんですか!? ……あ、でもひとりで行かせてなにかあったら……ひ、わかりました。お供させていただきます。でもご主人様が馬を引くのに使用人の私が馬車に乗り込むのは図々しいので横に座らせていただきます」
「気にしないが、そう言うのなら」
御者台に届かないガネスの手を取り、引き上げる。
「よし、行くぞ。シートベルトをしっかりしろ」
「しーと、べると」
そんなものはなかった。
鞭が置いてあったが、馬が可愛そうなのでぽいっと捨てる。
手綱を引き、「頼むから進んでください」と念じると四頭はそれに答えるように歩みを始めた。
「それで、リエル様はどこへ向かっているのですか?」
「いいかげん敬語はやめろ。子供に敬語を使われるとむずむずする」
「え、でも。私の言葉使いが変な時、リエル様はいつもお叱りになるじゃありませんか」
聞きたくなかった。
どこまで嫌な奴なんだ、バカ王子。
「……そうだな。じゃあ、仲良くなって俺が悪い人間じゃないと思ったら、やめろ。友人に敬語は使わないだろ」
「多分一生来ないと思います」
純粋な瞳でそう言われてしまった。
悪気が無さそうなだけにダメージはデカい。
「アイビー公爵令嬢に会いにいく。伝えなくちゃいけないことがあるんだ。道案内を頼む」
「道は知ってますけど。婚約破棄したんですよね。それに怖い人ってみんなが噂しています。悪い事沢山している大悪党らしいじゃありませんか。だからリエル様とお似合いだと……お口を閉じます」
「誰からそう聞いた?」
「学園の皆様が」
「……学園?」
一瞬疑問を持ったがすぐに解消された。
今の俺は高校生くらい、学園に通っていてもなんの不思議もない。
王子だから傍付きとしてガネスも一緒に着いて行っているのだろう。
誰かが彼女の醜聞を流しているという事か。
「アイビー……」
確かに彼女だった。
布で顔を隠している女性が街の市場のような場所に入っていくのを目撃した。
ドレス姿しか見ていないが、確かに彼女のスリーサイズに相違なかった。
庶民的な衣服だったが、間違いない。
公爵令嬢アイビー・ヴィクトリアだった。
「見間違いですよ。ここはリエル様が治める領地内、昨晩アイビー様を出禁にしたのはリエル様自身じゃありませんか」
「馬の番を頼む」
「ぎょっ!?」
手綱をガネスに預け、馬車から飛び降りる。
必死に走った。
彼女に伝えるべきことがある。
無実だということを証明し、叶うのであればもう一度――無理だとしても、彼女が世界中の誰よりも美しいと伝えておきたい。
体力は前世と同じくらい、つまりまったくない。
300メートルほど走れば、息を切らす。
しかし彼女の姿を再び視界におさめた。
商人たちが彼女の周りに集まっている。
ナンパだろう、そうに違いない。
すぐに引き離さなければ――。
「お前ここでなにしている! アイビー・ヴィクトリア。オレの領地に入って来るなと伝えたはずだが。そこの商人どもに金でも掴ませて密航してきたんだろ。そこまでしてオレに会いたいのか。未練がましい女だな」
………………は?
はぁぁぁぁあああ!?
おいおいおい、これはどういうことだ!?
またしても思考と言葉が嚙み合っていない。
商人が売っている鏡に自分の顔が映り込み。
とてつもなく殴ったらすっきりするであろう生意気な表情をしていた。
「……リエル様」
見付かってしまったと、絶望の表情。
顔を隠していた布を外す。
やはり可憐だ。
「ち、ちげぇんだよ。王子様。この方はこの領地で少なくなっちまった麦を安価で譲ってくれてんだ」
「黙れ、商人風情がオレに意見するな」
誰か~鈍器を、生意気な王子の頭をかち割る鈍器を見付けてください。
なんならそこに転がってる岩でも良いぞ。
もう容赦なく、どしゃっと。
「リエル様。そんな物言い、あんまりですわ。この方々は貴方様がお守りするべき国民たちです。無下にして良いわけがありません」
「元はと言えば、あんたが肉を増やせって牧場を増やすもんだから麦畑が減って困ってんじゃねぇのかよ。それに見かねたこの方が公爵領の麦を譲ってくれてるっていうのに」
「そうだそうだ!」
「ええい、うるさいうるさい! ないなら自分たちで増やせ、こんな性悪女の助けなんて借りるな。工夫するのが貧乏人の唯一の取り柄だろ」
「リエル様!!」
「そもそもお前もお前だ。オレに捨てられたキズモノ令嬢のくせに商人相手に聖女気取りか。身の程を知れ」
俺、正しくはバカ王子が力いっぱいにアイビーの手を引く。
彼女も痛みで顔をしかめた。
「熱っ!?」
その瞬間、俺の衣服の袖が燃えた。
それから彼女の腰に男の手が添えられる。
残念ながら俺のものではない。
「捨てられた、それはとても都合が良い。だったらボクが拾い上げても文句はないよね」
薔薇のような赤色の髪、エメラルドのような緑色の瞳。
貴族服を着ていても分かる、かなり鍛え上げられた肉体美。
どこか儚げで、左目の下のほくろが色気を演出する。
もうすでにふたりの視界に俺はいない。
「もちろん貴女の許可があればだけど」
「えっと、貴方は……」
「ユーリ・フォルシオン。通りすがりの辺境伯さ」
『婚約破棄された悪役令嬢は辺境貴族に溺愛されるようです』。
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