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Ⅸ 専属メイド、男装はじめるってよ
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身体が動かない。
筋肉痛、……当然か、あの後アネモネに当てられるまでずっと剣の稽古をしていたんだから。
100戦を越える、むしろ最後はまぐれのようなもの。
メイド服のスカートに木製の剣がかすったのだ。
そんな奇跡にすがらなければ終わらなかっただろう。
それほどに強かった。
ほんとなにもんだよ、あの新人専属メイド。
「おはようございます。朝食をお持ちしました」
寝室で寝っ転がったまま固まっていると、お子様メイドのガネスが部屋に入ってくる。
配膳ワゴンに乗っているのはお米とみそ汁、あと日替わりのサラダ。
バカ王子にはこのくらい質素なものでいい、それに現在の俺からしたらちょうどいいくらいだ。
もちろん使用人にも同じものをとはしていない。
給金のなかに飲食代を上乗せしており、好きな物を食べてもらう。
「ありがとうガネス。すまないがそのまま置いて行ってくれ」
「どうなさったのですか?」
「いやなに、体力に見合わず動いたせいで筋肉痛になった」
「ほう、それはそれは」
なにやらにんまりと笑うガネス。
ガネスは俺が記憶を思い出す前、バカ王子の頃から傍付きのメイドで、よく怒鳴られたり物を投げられていたそうだ。
そんなにっくき相手が今、行動不能となればやることはひとつ。
……復讐である。
ガネスはみそ汁のお椀を持ち、俺の顔の前まで持ってくる。
湯気、明らかに熱湯。
目か、鼻・耳の穴の中か、流し込もうとしているのでは。
「ふー、ふー」
俺が怯えているとガネスが木製のスプーンでみそ汁をすくい、息をかけ冷ます。
充分に熱が逃げた頃合いにスプーンを俺の口の前に差し出し。
「どうぞ」
ちょっと不服そうな顔をしている。
俺は笑い出しそうになるのをこらえて口を開く。
流し込まれたみそ汁は悲鳴をあげている筋肉に染み込んでいく。
「ありがとう。やはり美味いな。後は動けるようになってからゆっくりいただく。ガネスも食事はまだだろう」
「いえ、ドーナッツみっつ食べました」
「それはお菓子だろ。……そうか、食事自由化にするとこういう弊害があるのか。お前の食事メニューはオスカーに任せるとしよう」
「困ります。野菜ばっか食わされます」
未だにふーふーとあーんをやめようとはしないガネス。
まるで母鳥がくれる餌を口を開けて待つ雛状態。
口の周りが汚れるとハンカチでそれを拭った。
むしろ介護では。
「今までの俺はろくでもない男だったろう、許してくれとは言わない。それに新人がもう専属メイドに変わってくれたようだ。ガネスは俺に関わらないところにいて良い」
「……私は、ガネスは、いらない娘、ということですか」
スプーンが震え、歯にかちりと当たった。
「そうじゃない。俺と関わるのが辛いようなら離れたほうが良い」
しかし彼女は首を横に振る。
「……ガネスは孤児なんです。どこかの貴族が自分の子に魔法が使えないと分かって橋の下で捨てて行った。だからこのお屋敷だけが、居場所です。……確かにリエル様は横暴で、短気なお方だと思います。悲しい言葉をもらったこともありました。でもガネスがどんなミスをしても、お屋敷から追い出そうとはしませんでした。……だから好きではないですが、嫌いでもないです」
「はは、そうか」
嫌いでもない、か。
随分と無理した言い方だな。
「あでも、新しいリエル様は良いと思います。優しいし、なんだか一緒にいると暖かい気持ちになります」
「それは嬉しいな。俺も他の使用人たちのようにガネスの家族になれるよう努力する」
「……家族……」
俺の言葉に衝撃を受けたのかふーふー前のスプーンの中身をこぼす。
熱々の味噌汁が左腕にかかる、……がなんとか我慢することに成功した。
一瞬意識が飛びかけたが、ガネスの泣き声で正気に戻る。
「なにか傷付けることを言ってしまったか?」
「いえ、嬉しくてつい。そうなんです、ここの人たちは皆、ガネスの家族なんです」
「えへへ」と、大粒の涙を流しながら満面の笑みを浮かべるガネス。
無邪気過ぎてこっちまでうるっとしてしまった。
熱湯がかかったおかげか左腕だけ動くようになったから、ガネスの涙を拭った。
「ありがとうございます。リエル様」
「なにもしてないぞ」
「それでも、感謝したいのです」
はにかむように笑うガネスを見て、幼い頃の妹を思い出す。
それと同時に、後ろからぬっと出てきた人物に驚き固まった。
「リエル様、また女性を泣かせたのですか?」
「アネモネ、なにか勘違いしていないか」
そしてなぜ男装しているんだ。
昨日までのメイド服ではなく、執事服。
むしろこちらの方が似合っているまである。
メイドたちからも好評なのか、ガネスは顔を真っ赤にしているし、部屋の外には人だかりが出来ている。
俺が不思議そうに眺めていると、それに気が付いたようで。
「ああ、男装の意図ですか。深い意味はありませんわ。こちらのほうが機敏に動けますし、スカートのようにふりふりとしないので剣の稽古に最適かと思いまして」
「昨日のこと根に持ってるだろ」
「まさか」
意外に子供っぽいとこあるなコイツ。
「それと魔法学園にお供するなら目立たない装いの方が良いかと」
「めっちゃ目立ってるじゃん!」
「ささ。ご用意を、御主人様」
手袋をきゅっと引き、スマイル。
なにこのイケメン。
筋肉痛、……当然か、あの後アネモネに当てられるまでずっと剣の稽古をしていたんだから。
100戦を越える、むしろ最後はまぐれのようなもの。
メイド服のスカートに木製の剣がかすったのだ。
そんな奇跡にすがらなければ終わらなかっただろう。
それほどに強かった。
ほんとなにもんだよ、あの新人専属メイド。
「おはようございます。朝食をお持ちしました」
寝室で寝っ転がったまま固まっていると、お子様メイドのガネスが部屋に入ってくる。
配膳ワゴンに乗っているのはお米とみそ汁、あと日替わりのサラダ。
バカ王子にはこのくらい質素なものでいい、それに現在の俺からしたらちょうどいいくらいだ。
もちろん使用人にも同じものをとはしていない。
給金のなかに飲食代を上乗せしており、好きな物を食べてもらう。
「ありがとうガネス。すまないがそのまま置いて行ってくれ」
「どうなさったのですか?」
「いやなに、体力に見合わず動いたせいで筋肉痛になった」
「ほう、それはそれは」
なにやらにんまりと笑うガネス。
ガネスは俺が記憶を思い出す前、バカ王子の頃から傍付きのメイドで、よく怒鳴られたり物を投げられていたそうだ。
そんなにっくき相手が今、行動不能となればやることはひとつ。
……復讐である。
ガネスはみそ汁のお椀を持ち、俺の顔の前まで持ってくる。
湯気、明らかに熱湯。
目か、鼻・耳の穴の中か、流し込もうとしているのでは。
「ふー、ふー」
俺が怯えているとガネスが木製のスプーンでみそ汁をすくい、息をかけ冷ます。
充分に熱が逃げた頃合いにスプーンを俺の口の前に差し出し。
「どうぞ」
ちょっと不服そうな顔をしている。
俺は笑い出しそうになるのをこらえて口を開く。
流し込まれたみそ汁は悲鳴をあげている筋肉に染み込んでいく。
「ありがとう。やはり美味いな。後は動けるようになってからゆっくりいただく。ガネスも食事はまだだろう」
「いえ、ドーナッツみっつ食べました」
「それはお菓子だろ。……そうか、食事自由化にするとこういう弊害があるのか。お前の食事メニューはオスカーに任せるとしよう」
「困ります。野菜ばっか食わされます」
未だにふーふーとあーんをやめようとはしないガネス。
まるで母鳥がくれる餌を口を開けて待つ雛状態。
口の周りが汚れるとハンカチでそれを拭った。
むしろ介護では。
「今までの俺はろくでもない男だったろう、許してくれとは言わない。それに新人がもう専属メイドに変わってくれたようだ。ガネスは俺に関わらないところにいて良い」
「……私は、ガネスは、いらない娘、ということですか」
スプーンが震え、歯にかちりと当たった。
「そうじゃない。俺と関わるのが辛いようなら離れたほうが良い」
しかし彼女は首を横に振る。
「……ガネスは孤児なんです。どこかの貴族が自分の子に魔法が使えないと分かって橋の下で捨てて行った。だからこのお屋敷だけが、居場所です。……確かにリエル様は横暴で、短気なお方だと思います。悲しい言葉をもらったこともありました。でもガネスがどんなミスをしても、お屋敷から追い出そうとはしませんでした。……だから好きではないですが、嫌いでもないです」
「はは、そうか」
嫌いでもない、か。
随分と無理した言い方だな。
「あでも、新しいリエル様は良いと思います。優しいし、なんだか一緒にいると暖かい気持ちになります」
「それは嬉しいな。俺も他の使用人たちのようにガネスの家族になれるよう努力する」
「……家族……」
俺の言葉に衝撃を受けたのかふーふー前のスプーンの中身をこぼす。
熱々の味噌汁が左腕にかかる、……がなんとか我慢することに成功した。
一瞬意識が飛びかけたが、ガネスの泣き声で正気に戻る。
「なにか傷付けることを言ってしまったか?」
「いえ、嬉しくてつい。そうなんです、ここの人たちは皆、ガネスの家族なんです」
「えへへ」と、大粒の涙を流しながら満面の笑みを浮かべるガネス。
無邪気過ぎてこっちまでうるっとしてしまった。
熱湯がかかったおかげか左腕だけ動くようになったから、ガネスの涙を拭った。
「ありがとうございます。リエル様」
「なにもしてないぞ」
「それでも、感謝したいのです」
はにかむように笑うガネスを見て、幼い頃の妹を思い出す。
それと同時に、後ろからぬっと出てきた人物に驚き固まった。
「リエル様、また女性を泣かせたのですか?」
「アネモネ、なにか勘違いしていないか」
そしてなぜ男装しているんだ。
昨日までのメイド服ではなく、執事服。
むしろこちらの方が似合っているまである。
メイドたちからも好評なのか、ガネスは顔を真っ赤にしているし、部屋の外には人だかりが出来ている。
俺が不思議そうに眺めていると、それに気が付いたようで。
「ああ、男装の意図ですか。深い意味はありませんわ。こちらのほうが機敏に動けますし、スカートのようにふりふりとしないので剣の稽古に最適かと思いまして」
「昨日のこと根に持ってるだろ」
「まさか」
意外に子供っぽいとこあるなコイツ。
「それと魔法学園にお供するなら目立たない装いの方が良いかと」
「めっちゃ目立ってるじゃん!」
「ささ。ご用意を、御主人様」
手袋をきゅっと引き、スマイル。
なにこのイケメン。
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