〝吾輩は小説である。|題名(なまえ)はまだにゃい〟な小説の供養場

月夜桜

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魔術学園の講師を始めました4

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─────────────────────
 我が愛しの貴方へ

 御手紙、確かに受け取ったわ。
 貴方の妹ね。一応、私の方でも調査を継続しておくわ。あと、今度、紹介してちょうだい?
 貴方と同じ・・【消滅】の使い手なんでしょ?
 エリィの件は分かったわ。手懐けてもふもふしてあげる。
 あと、そうね……書くことといえば……ああ、そうだわ。第3王子が学園で、何やらよからぬ事を企んでいるみたいよ? 十分に気を付けなさい。これは、御主人様わたしからの忠告よ。有難く受け取っておきなさい。

     宮廷魔導師団の連中がウザくてそろそろキレそうな貴方の御主人様より

 追伸
 貴方ね、最近、主家うちに顔を出してないでしょ。母様と父様が寂しがっているわ。あと、妹とメイド達も。偶には、自分の家だけじゃなくて、うちにも顔を出しなさい。あの人達、そろそろ東都へ帰るから。これは命令よ? 来ないのなら、貴方の家に【雷鳥】を落として燃やすわ。いいわね? 
 あと、そろそろ、貴方を馬鹿にする宮廷魔導師団の奴らを殺してもいいかしら?
─────────────────────

 ……なんか、物凄く理不尽で物騒な手紙が返って来たんだけど……僕、何か悪いことした??
 あと、ルミナさん。雷での火災は周囲の家にかなり被害が及ぶのでやめていただきたい。

 ……外から剣戟と氷結魔術の音が聞こえる。誰かな? あんなに派手に立ち回ってるのは。
 ごめんなさい僕の初弟子イリーナでした。ほんと、師弟揃って演習場を抉ったり【消滅】させたり凍らせたりしてすみません。後で僕が〝結界強化〟と〝分子結合〟で壊れにくい演習場に作り直しますので許してください!

 ……減給、幾らで済むかなぁ……。最悪、ルミナを頼らせてもらおっと。

 さて、さっきからエリィさんの頭を撫でくりまわしているのですが……なんでこうも甘えん坊な使い魔になったんでしょう? いえ、主人である僕に甘えてくれるのは嬉しいんですよ? 世の中には反抗する使い魔もいるので。
 ほら、エリィさん、そろそろルミナの所へ戻ってください。
 え? 嫌だ? 僕、貴女をそんな我儘な猫に育てた覚えはありませんよ?
 エリィさんは「にゃー」とひと鳴き、僕の膝から飛び降りて、窓から外に出ていった。

 はぁ……まったく。ああ見えてもちゃんと仕事はしてくれるから、怒るに怒れないんだよね。

「それじゃあ、僕もお仕事をしますか!」

 目の前に溜まった書類の山を見る。
 ……うん。誰ですか、今日1日でこんなに送ってきた馬鹿は。ああ、はい、学園長ですか。ちょっと潰してきますね。──え? だめ? 仕方ないですね。頭が少しずつ禿げていく呪いで我慢しましょう。
 ふふふ……元教え子を困らせるような学園長なんか禿げてしまえばいいんですよ……。

 とは言ったものの、この書類達、何なんだろう? えーと、なになに。

 ……はぁ!? いや、ちょっと待ってください。なんですか、これ? 学内総当たり戦?

 通達:1年次から3年次まで総当たり戦を行う。
    期日は1ヶ月後。
    各講師は生徒の力を上げるように。

 読めましたよ。これ、僕への当てつけですね。当てつけで生徒を巻き込むなんて、悪い先生です。
 なら、僕にも考えがあります。A級魔術とかS級魔術とかを簡単に放てる子達に育ててあげます。教え子戦争を開戦しますっ!!

 ☆★☆★☆

 後日、僕は生徒達に魔術を教え戦力を増強しながら資料を改竄して、学園長の重要書類に混ぜ込んでおきました。これで僕の勝ちです。……ふふふ。精々、僕の教え子達に恐怖し、慄くがいい!!
 おっと、いけないいけない。僕が彼の伯爵令嬢みたいになってどうする。
 さて、それじゃあ、何時もの課外授業をやりますか。

「それじゃあ、これまで教えてきたことを余すこと無く応用して僕に勝ってみてください」

 4人の生徒から「そんな無茶な!」という声が上がるが気にしない。

「誰も来ないのなら──」

 そう言ってA級魔術【雷鳥】擬き──構築難度、威力をB級に落とし込んだモノ──を放つ。

「──僕から行きますよ?」

 次の瞬間、演習場のど真ん中にクレーターが出来た。
 出来たって言うか、まぁ、やったのは僕なんだけど。

「──っ!!」

 おっと、ソフィが【閃雷】を撃ってきた。
 相変わらず威力が凄いねぇ。

「生徒ソフィア、《制御が甘すぎますよ》」

 致命傷になりそうな魔術に強制介入して分解し、お返しに【閃雷】を6発、連続起動して撃ち込む。

「《炎獅子──》」
「はい、展開速度が遅いので破棄しますね~」
「んぅ!?」

 んー、いきなり【爆炎】を撃ち込もうとしてくるなんて、さてはラズスタは戦闘狂だね?

「じゃあ、次はこっちの番ね~」

 【氷杖】と【氷剣】を錬成して、ソフィに突撃s──

「──じゃない!? 《災禍須らく殲滅せよ》ッ!」

 掻き消えたソフィアの幻像から離れ、背後から撃ち込まれた【消滅】を【分解】する。
 今の幻像……リズリーか。近付くまで気付かせないのは凄いな。イリーナに匹敵するぐらいの静謐性だ。

「お見事です。──そこ!」
「きゃぁっ」

 幻術と並行して【閃雷】を構築していたリズリーに向けて【水刃】を放ってその場から飛び退く。

「くらえっ!」
「生徒ミゲル! 声に出してたら不意打ちの意味が無いです! やり直し!」
「ぐわぁ!」

 こうやって日替わりで放課後に訓練してるんだけど、初めに比べたらなかなか上手くなっているね。
 初めの頃なんて、【氷杖】も【氷剣】も使わなかったんだけどなぁ。
 この子達ならすぐに僕を追い抜きそうだ。

『あら、楽しそうなことをしてるじゃない?』

 突然、耳元の通信用小型宝珠から聞き慣れた声が。

「あー、みんな、ストップ!」
「「「「は~い!」」」」

 今まで奔流していた魔力が治まる。
 うん、偉い子達だ。

「えーと、一応、お尋ね申し上げますが、どちら様でしょうか?」
『貴方との直通回線の宝珠を持ってるのは私しかいないじゃないっ! エルミアナよ!』
「あー、はいはい。それで、エルミアナ嬢が何用で? 僕、今は対学園長虐m──こほん。対学園長兵器を養成しているところなんですが?」
『ルミナって呼びなさい!!』

 耳元で叫ばれると煩いんだけど……。

『ああ、それと、その養成、私も参加させなさい? どうせ放課後なんだし、部外者の1人ぐらい入ったって問題ないわ。私も卒業生だし? あと、一緒に学園長クソジジイを虐めさせなさい』
「ダメです。講師権限を行使します。非常時を除き、私の許可があるまで貴女様の学内への立ち入りを禁止します」
『ああっ! また〝様〟って付けた! 覚えておきなさいっ!』
「……ルミナ、今日、この後にソフィアを連れて王都邸に行くからさ。大人しく待っておいてくれる?」
『……分かったわ。……約束よ? 絶対、ぜぇーたいにっ、約束よ?』
「御主人様の仰せのままに」
『──っ!? いいわ、待っといてあげる♪ 早めに帰ってきなさい♪』

 それだけ残すと切れてしまった。
 あの子は本当に、なんて言うか、甘えん坊だなぁ。
 うーん、怒らせると怖いし、仕方ないか。

「ごめん、急用が出来てしまったよ。今日はもう終わりでいいかい? 足りないって言うなら、休日返上で埋め合わせするからさ!」
「……いいよ♪」
「俺も構わない」
「わ、わたしも、です」
「僕もだ」

 次々に承諾していってくれる子達。ありがとうっ、僕は首の皮1枚くらいで済みそうだ!

「ありがとう。ソフィ、僕の主家の御令嬢が会いたがってる。丁度いい機会だから一緒に会いに行こうか」
「──! うん!」
「よろしい。埋め合わせは明日伝えるよ。……僕が生きていたら、だけど」

 そう言って僕とソフィは学園を後にしました。
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