〝吾輩は小説である。|題名(なまえ)はまだにゃい〟な小説の供養場

月夜桜

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魔術学園の秀才

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『さぁ、皆さんっ!! 四年に一度行われる魔術祭典、最後の種目となりましたっ!!』

 司会の少女が興奮した様に観客を捲したてる。

『最後は目玉種目、全校代表魔術師による模擬戦ですッ!!』

 ──うおぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉッ!!

 うるさい。まぁ、仕方がないかな。

『それでは、代表選手の入場ですぅっ!』

 あ、噛んだ。
 よし、行くか。

「みんな、準備はいいかい?」
「うん、ユウくん、大丈夫だよっ!」
「ええ。私も行けるわ」

 うん、レナもティファもやる気十分だね。
 僕達は、前に進んで会場に入る。

『今回のステージは、樹海ステージとなりますっ!! 視界が悪い中、選手達はどのような戦いを見せてくれるのでしょうか? 私、物凄く興奮しておりますっ!!』

 彼女の声を聞き流し、後ろにいる白銀色のロングヘアと甘栗色のボブヘアの二人にハンドシグナルを使って指示を出す。

 内容は〝開始後直ぐに防郭魔術の起動〟

 さっきから誰かから見られているような感じがするから、多分探知魔術でこっちの位置が把握されてるはず。
 こんなんだったら、フィーリアを連れてこればよかったよ。

『さぁ、まもなく開始です!』

 彼女の声が途切れると、魔術音声で『Quiet Please. (静かにしてください)』と言われる。
 その声と同時に、僕達は瞑想に入る。

『On Your Mark── (位置について──)』

 会場のあちらこちらから魔力を練り上げる気配を感じる。

『Set── (よーい──)』

 ──そして、|劈(つんざ)く様な開戦のブザーが鳴り響く。

 後ろの二人が開幕と同時に防郭魔術を起動し、僕は魔力探知を開始する。

「──!? はやいっ! 三時方向上方、弾数|二(ふた)!! 高速魔力反応──【ライトニングスピア】だッ!!」

 僕の探知結果を聞いたティファが、起動していた防郭魔術を破棄し、直後に【ライトニングスピア】を二発、先程の方向に放つ。
 直後に移動指示を出してその場から離れる。
 上空で爆発音が聞こえるが、気にしない。

「ティファ、攻守交替。僕が攻撃するから、ティファは防郭魔術を張って。レナは回復に専念して」
「「了解」」

 枝の上を猿の様に次々に飛び移って、移動する。
 これは……。
 僕は、手で制止させ、魔力探知をする。

 自ら魔力を放って、その跳ね返りで魔力を探知するアクティブ・ソーナー方式もあるけど、基本的には、放たれた魔力を探知して、方位と距離、速度を割り出すパッシブ・ソーナーを使う方が無難だ。
 なんだけど……これ、どんだけ広範囲の結界なんだろう。
 外からの魔力を全然探知出来ない。
 仕方ない、か。

「レナ、ティファ、直ぐに移動できるようにしておいて。今からアクティブ使うから」

 二人は僕の言葉に頷く。

 僕は、バレにくいように薄く、広く魔力を放っていく。
 ──!?

「《焼き払え》」

 僕達に高速で近付いていた人ではない〝何か〟に対して、端的な呪文で【ブレイズバースト】を起動し、森ごと焼き払う。
 その〝何か〟は、どうやら僕の炎でも死ななかったようだ。
 異形の物体は、僕達に殺意を向けている。

「なに、これ」
「さぁね。ただ、ひとつ言えることは──これは祭典によるギミックじゃなくて、第三者による介入って《ことだ》ッ!」

 その場で改変した呪文を唱え、【ブレイズバースト】を|効果付与(エンチャント)した【ライトニングスピア】を放って爆撃する。
 わお。自重の範囲内で、結構本気で撃ったつもりだったんだけど……これはまずいね。流石に、耐えられるとは思ってなかった。

「二人とも、取り敢えず、全力で撃つから──」

 そう言ってから詠唱を始める。

「《虚空に叫べ・此処に残響するは・天空の咆哮》」

 目の前の奴に加え、他にも探知出来ていた異形の物体の足下に巨大な魔術式を展開し、それを躊躇無く起動させる。
 こういうので躊躇してたら、命がいくつあっても足りないからね。
 魔術式が起動すると、炎柱が異形の物体を飲み込んでしまう。
 他にも、フィールド内のあちこちで同じような炎柱が蒼空へと伸び上がる。
 流石に、これで殺せてなかったら、このフィールドを破壊するぐらいの魔術を使わないといけないから、死んでおいて欲しいなぁ……。

「す、凄い……」

 誰の言葉だろうか、そんな声が漏れ聞こえる。
 あっ、やば。これ、森林火災になるやつな気が……。

「二人とも、鎮火の為に雨を降らせるよ」
「「う、うん」」

 今からやることは、訓練の時によくやったからお手の物だ。
 レナが遥か上空に、巨大な水の塊を生み出し、ティファがそれを蒸発させる。
 そして、最後に僕が少しだけ冷やして雲を生成。
 あとは自然の摂理に従って雨が降るという算段だ。

 この工程を終えると直ぐに、アナウンスが流れる。

『えー、皆様。先程の魔術行使に際して、第三者による、魔物を使用した介入があったことを確認致しました──』

 アナウンスのその声に驚きの声が上がる。

『──しかしながら、帝国第三魔術学園の代表選手、ユリウス=デトレフによる魔術、【|炉心融解(メルトダウン)】にて制圧が行われた事を確認しております。現在、フィールド内に代表選手以外の魔力反応は確認出来ていない為、祭典委員会は本騒動の集結を宣言致します──』

 この言いぶり、さては気付いていたな?

『──委員会が確認したところ、当該魔物を討伐した生徒は帝国第三魔術学園のみの為、本競技の優勝校を帝国第三魔術学園とする事を決定致しました』

 けたたましい程の勝鬨があげられる。
 それは、僕らの第三魔術学園からだけでは無い。
 会場全てからこの声が聞こえてくるのだ。

「レナ、ティファ──」
「はいっ、なんですか?」「なに?」

 僕は、二人の名前を呼んでから振り返る。

「──ちょっと、恥ずかしいな」
「ふふ、ユウくんらしいです」
「確かにね」

 二人にも討伐させてあげるべきだったかな、とも思う。
 だけど、万が一、二人の内のどちらかが欠けたら──と、思うと悲しくなってしまう。
 それだけじゃない。二人の内のどちらかが欠けたら、もう片方は精神を壊してしまうだろう。
 それだけは避けないと。
 でも、一先ずは──

「──二人とも、ありがとう。これからもよろしく」
「こちらこそっ!」「私からもお願いするわ」

 僕達は互いに手を取って握手をしてから、くすぐったい程の勝鬨を背にフィールドを後にした。
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