上 下
40 / 67
動乱 編

36

しおりを挟む
季節は9月。

一ヶ月の、海外出向から返って来た。

一ヶ月ぶりの自宅は、やはり良い物で。

昨日、一日は、苺花まいかとマッタリイチャイチャしながら過ごした。

で、今日は事務所に顔を出す事に為って居る。

大門さんや、中島君に報告も兼ねて。



 * * * そして、プロローグ * * *


事務所に入ると、大精霊たちが4人集まっている。

そして、地球に魔王様が降臨なさると言う話に。


 * * * * * *


「魔王が降臨するのは分かったんだけど。 それを保護するってのはどうよ?。

こっちには、堕天したとは言え。ルシファーもいるんだぞ?」

芳乃よしの。 お前は我達と、これだけ関わっていて。まだ理解してんおらんようだな。」

イフリートが言う。

「良いですか。芳乃よしのさん。

 神だの悪魔だのと言うのは。 人間たちが、自分の都合で善悪に分けただけに過ぎません。」

我々、精神世界スピリチュアルの者たちには。 善も悪も無いのです。
 自分人間に都合が良いなら神。 自分人間に都合が悪いなら悪魔。

良くも悪くも、精神世界スピリチュアルの者は自由奔放なのです。」

とベヒモス。

そうだった。 他の人たちから見れば、大精霊と言う存在は神にも等しい存在だが。

俺から見れば、疫病神にしか感じられない存在だった。

「それで。いつ頃に、魔王様は御降臨なさるんだ?」

「明日の早朝。5時40分です。 場所は、東京5区の工業区です。」

芳乃よしのの問いに中嶋が答える。

* * * * * * *


工場が立ち並ぶ、東京都5区のひとつ。工業区。

早朝だというのに、既に工場内では、人が多く行きかいしている。

基本的に、商業区も工業区も24時間フル稼働だ。

労基が煩いので、もちろん3交代制。

そんな工業区のど真ん中。

交差点の手前に留まっている車から、人影が5人降りてくる。


「そろそろ時間だ。」

イフリートが言う。

「今回は、ベヒモスとジンで異相空間を展開しますので。」

ベヒモスの言葉に大きく頷いて見せるジン。

「戦闘に為ったら、俺が出る。 芳乃よしのの事はローレライ。任せるぞ。」

「任せておきなさい。 芳乃よしのちゃんの面倒はみてあげるから。」

大精霊たちの言葉に、「もう、俺なんて要らないんじゃね?」と言いたくなるが。

俺が着いて行って、大精霊たちの能力を抑えておかないと。 それこそ、日本地図が変わってしまう可能性が出るかもしれない。

いや。確実に変わってしまう・・・。

「それでは。 ご武運を。」

中島が車を走らせて遠ざかって行く。


20分が過ぎた頃。 地上に次元の割れ目が出た。

大きさは、縦に30メートルほど。 横に80メートル。

今まで見てきた中でも最大の大きさだ。

基本的に、次元の割れ目の大きさは。

こちらに来る精神世界スピリチュアルの住人の能力ちからの大きさで決まる。

中には例外で、能力ちからが大きいのに、小さな次元の割れ目だったりもするのだが。

「で、デカすぎないか?」

ごくり。と喉を鳴らして、芳乃よしのが横に居るローレライに尋ねる。

「ちょっと、予想よりも大きめですね。」

真剣な顔つきで答えるローレライ。

能力ちからを押さえている、私たちと良い勝負ですね。」

「それって、相手の方も抑えている可能性が有るって事だよね?」

ベヒモスの言葉に、自分の疑問をぶつける芳乃よしの

「否定はしませんよ。」

芳乃よしのの言葉に、ベヒモスが答える。

「最悪。日本地図が変わるのを覚悟しておいてくださいね。」

ローレライが言った瞬間だった。

ボゴオオオッ!

大きな音を立てながら、次元の割れ目から何かが物凄い勢いで飛んできた。

その飛翔物は、地面を数十回と転がりながら、激しい音を立てて異相空間の中のビルの壁を壊して瓦礫の中に埋まる。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

思い出は小糠雨と共に

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:8

ラスト・オブ・文豪

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

平民特待生はキラキラ男子から遠ざかりたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

パンツ出現

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

紅い嘘

ミステリー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...