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思惑:4

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「あぁ!? 何してくれてんだ? テメェはよぉ?」

俺に向かって、顔を怒りに歪めながら言ってくる男性プレイヤー【サムソン】。

見た目20代後半くらいの、顔のいかつい男性プレイヤーだ。

「そっちこそ、失礼じゃないかな。 俺の大事な知り合いと、俺の大事な相棒に手を出そうとしてたろ。」

怒りに身を任せるでもなく、相手に対して恐怖する事もなく。 冷静な言葉使いでサムソンに向かって言い返す俺。

「その小っこいのは、お前のか?」

サムソンが、レイを指さしながら言う。

「そうだ。俺の大事な相棒パートナーだ。」

サムソンに睨みを聞かせながら言い返す俺。

「それ、どこで手に入れたんだ?」

「教える義理は無いと思うけど。」

飽く迄で静かに冷静に答えを返す俺。

「なら、幾らでなら、それを売る?」

相棒パートナーを売る気はない。」

キッパリと言い切る俺。


「それじゃぁ、俺のランク8の機体と交換しないか?」

こいつが、オリオンで2台現存するレア機体の内の1台を所有するプレイヤーなのか。

内心で、ちょっとだけ驚いたのが表情に出たのか。

サムソンが調子に乗ってくる。

「どうだ? ランク8だぞ? そいつと交換でどうだ?」

ニヤニヤと、気持ちの悪い笑みを浮かべてレイを見るサムソン。

と。 ここで、俺に妙案が思いつく。

今の俺は、無一文。

加えて、相手はランク8の機体を所持していて調子に乗っているプレイヤー。

「悪いけど、ランク8程度の機体じゃ交換する気にもなれないね。」

突然口調を変えて、俺はサムソンを挑発するように言い返す。

俺の口調が変わった事に、健太とアイザックはニヤ付き、アイラはうつむいて笑いを堪えているし、香織さんとレイはオロオロしている。

おそらく、香織さんとレイ以外の3人には、俺が何をしようとしているのかが分かったようだ。

「はぁっ? ランク8程度だって!? 今の所、オリオンでは最上級の機体ランクだぞ! お前の機体はランクいくつ何だよっ!?」

「ん?俺? ランク3だけど?」

「はっ! たかがランク3ごときが、何言ってんだよっ!」

「いや、だって。 ランク3の機体でも、お前には勝てるぜ? 楽勝で。」

「あぁっ! 言ってくれるよなぁっ! なら、決闘デュエルだっ! 決闘デュエル! 勝負しろっ!」

「ええぇ・・・。嫌だよ。 勝負にならないし。」

「はっ! てめえが負けるのが分かってるんじゃねえかっ!」

「いや、だから。 俺は負けないって。 負けるのはアンタ。」

更に挑発する。
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