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決闘:4

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そう言って、アクセルペダルを踏み込みと。

竜騎兵ドラグーンは、今まで以上の加速速度で地面を滑る様に移動する。

サラマンダーは、竜騎兵ドラグーンを追うように、マシンガンを打ち放してくるが、竜騎兵ドラグーンの移動速度の方が早く、弾は1発も当たらない。


「あああああぁぁぁぁぁっ!」

サムソンが声を張り上げながら、竜騎兵ドラグーンに向かって、周囲を巻き込むミサイルを打ち出す。

「レイッ!」

流石に、この速度では。広範囲に判定を及ぼす、ミサイルの当たり判定からは逃れないと判断してレイの名前を口にする。

俺の言葉の意図を理解して、レイが竜騎兵ドラグーンの制限速度を開放する。

制限速度を解除された、竜騎兵ドラグーンの加速速度は凄まじいの一言だった。

瞬き1つする間に、ミサイルの爆発範囲から完全に逃れるどころか、遥か後方に移動していたのだから。

その様は、サムソンと、この決闘デュエルをモニターで見ている観客達には、まるで瞬間移動でもしたように見えただろう。

その証拠に、サムソンの駆る機体のサラマンダーは動きを止めて、竜騎兵ドラグーンを見ている。


*** 視点移動:モニター側 ***


「すげ・・・・・なんだ、あの加速速度は・・・・・」

「ほんとにランク3の機体かよ・・・・」

今の戦闘映像を見ている、観客たちから驚愕の声が漏れる。

それほど、今の竜騎兵ドラグーンの移動速度は凄まじかったのだ。

「今の、視認できたか?」

アイザックが、香織、建太、アイラに視線を移しながら訪ねる。

「無理。」

香織が首を振りながら短く答える。

「私も見えなかった。」

アイラも答える。

「辛うじて、どっちの方向に移動したのかが判るくらい?」

健太がアイザックを見ながら答える。

「俺も、見えなかった。良く見えたな・・・。」

感心するように、建太を見るアイザック。

「モニター越しで、遠目に見てたから辛うじて見えただけだからね。完全に認識できていたかどうかは、自分でも怪しい感じがするけど。」

「それでも、十分だろう。あの速度を、完全認識できるって化け物だろうが。」

そう言って、再びモニターに視線を戻すアイザック達。
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