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エリアミッション:5

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 * * * 視点:戦艦ギルドハウス幻夢げんむ内 * * *


「ただいま。」

「露払い、お疲れ。」

戦艦ギルドハウス幻夢げんむに帰還した俺を、シズルさんが迎えてくれる。


「エネルギーチャージまでは、4分ほどかかる。 それまでは、ゆっくりして居ると良いよ。」

「そうさせて貰うよ。」

ドカっと、シートに深く腰をおろして、メインモニターに視線を移す。

「今現在は、中央部の殲滅に、銀河鉄道ぎんがてつどうと、曲芸騎士団サーカス鋼の騎士団スティール・ナイツの3戦艦ギルドで当たっている。

空中の部隊には、鋼の騎士団スティール・ナイツのダイ部隊パーティーと、鮪漁船マグロょせんが対応中だね。」

シズルが、ドリンクカップを悠夜ゆうやに差し出しながら言う。

「空中戦は、香織かおりさんが居るから大丈夫でしょう。 地上部隊も、かなりの余裕がありそうだし。」

ドリンクカップを受け取りながら返事を返す悠夜ゆうや

香織かおりさん。 アイザックの妹さんだっけ。 良いPSプレイヤースキルをしているね。」

「だろう? 戦姫ヴァルキリーの性能が良いのもあるけど、香織かおりさん自身のPSプレイヤースキルも相当高いからね。

おかげで、俺もウカウカしていられないけど。」

「ふむ。 ゆうやは、それを本気で言っているのかな?」

「えっ? 今の所。 空中での機体単騎での空中戦闘が可能なのは、俺の竜騎兵ドラグーンと、香織かおりさんの戦姫ヴァルキリーだけなんだから、対抗意識を持たれるのは普通っしょ?」

悠夜ゆうやの言葉に、シズルは何か言いたげな視線で見つめる。


悠夜ゆうや。 回避行動のパターンプログラムの拡張が終わったよ。』

シートに座る悠夜ゆうやの頭の横に、唐突に出現するレイ。

「おっ。 サンキュウーな。 いつも悪いな。」

そう言って、悠夜ゆうやが、レイの頭を人差し指で撫でる。

『えへへ、もっとほ褒めても良いよ。 なにせ、50パータンから、一気に96パターンまで増やしたんだからね。』

頭を撫でられて、嬉しそうに表情を緩めるレイ。

本体オリジナルの方も、アレくらい分かりやすいと、ゆうやも対応しやすいのにな。 まあ、それはそれで、面白いから良しとしよう。)

などと、会話をしていると。 あっと言う間に5分は経ち。

「さてっと。 そろそろ出撃準備をいたしますか。」

悠夜ゆうやがシートから腰を上げる。


戦況は無事に、中央部隊を殲滅させて、後はメインディッシュのエリアボスを倒すだけと言う所に。

と、その時だった。

突然に警報アラートが鳴り出し、いつか聞いたシステムメッセージが流れた。

『特殊機体の存在を確認しました。 ミッションレベルが5上がります。 シークレットしミッションモードに切り替わります。』

システムアナウンスが終わると、警報アラートが鳴り響き、後方から1機の機体が広範囲地図マップに映し出された。


悠夜ゆうやが大きな溜め息をつく。

「通常の機体の移動速度の3倍は出ているね。」

広範囲地図マップに、映し出された機体の移動速度を見てシズルが呟く。

「大将。 また、やってくれたな。」

戦艦ギルドハウス幻夢げんむ内のメインスクリーンにサムソンの顔が表示される。

「うるせえ。 好き好んで誰がミッションレベルを上げたがるんだよ。」

悠夜ゆうやが反論すると同時に、香織かおり、アイザック、健太けんた桂子けいこの面々がメインスクリーンに表示された。


「本当に、毎回、毎回。 悠夜アナタって人は………。」

あきれた表情の香織かおり


悠夜ゆうや。 責任持って対処してくれよ。」

言ってる言葉とは裏腹に、ものすごく良い笑顔の健太けんた


悠夜ゆうやくん。 頑張ってください。」

純粋に、応援を送る桂子けいこ


「了解。 竜騎兵ドラグーンは後方の敵機の迎撃に向かう。」

そう言って、ウィンドウを出して、竜騎兵ドラグーンのコクピットに転送する悠夜ゆうや

戦艦ギルドハウス幻夢げんむの後方ハッチが開き、視界が開ける。


竜騎兵ドラグーン悠夜ゆうや。 出ます!」
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