【梅雨が招いた雲の下の花鈴】

充ちる

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梅雨が招いた雲の下の花鈴。

おしまい。

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それからは、まとめたものを浅海さんに渡しに行った。

心配だったが快く受けとって貰えた。

その後、一緒に飯を食べに行ってかりんの小さい頃の話や、どんな子だったのかとか色んな話をした。

浅海さんと別れて、家に帰って、また寝る。

それからの日々はいつも通り仕事に没頭する毎日。

それから数ヶ月後……冬の雪が地面を埋めて行く頃。

「お邪魔します」

僕はやっと。浅海さんの家にお邪魔することができた。

もっと前から仏壇は置いてあったのだけれど、手を合わせる覚悟が僕にはなかった。

浅海さんに招かれて仏壇の前で正座する。

(遅れてごめん、やっと気持ちの整理が着いたよ)

僕は手を合わせて思いの節を全てかりんに伝えた。

1時間ほどだろうか、ずっと手を合わせていた僕を浅海さんは黙って見つめてくれていた。

「ありがとうございました」

浅海さんへ深々と頭を下げ、感謝の念を伝えた。

「こちらこそですよ、本当にありがとう」

浅海さんは綺麗な笑顔を浮かべてくれた。

お互いが微笑み合い、お互いが気持ちの整理が着いたことを確認した。

一一一一一一

数年後の梅雨。

僕は未だにあの時のことを思い出す。

かりんはなぜあの時、待ち合わせがしたいと言ったのか。

もう分からないこと。誰にも分からないことなんだけど、わかることが一つだけ。

(僕は確かに君を好きでいた。

君はどうかなんて分からないけど、僕は……)

大切だと、好きだと気づいたのは彼女がいなくなったあと。

その上同僚に気付かされたっていうこの上なくダサい気づき方。

それでも、胸を張って言える。

(僕は……君のことを…………)

『蒼太!』

彼女の笑顔が頭をよぎる。

今日も雨。

到底綺麗だとは言い難い暗い雲に覆われた空を見て、僕は今日も仕事へ行く。



一一一一一一一一一一。




「梅雨が招いた雲の下の花鈴」
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