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白薔薇学園ゲーム
徳永玲のぼやき
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一体どういう事だろう。徳永はイライラしながら自室の中を歩き回った。白薔薇学園に転校すると分かってから、どれだけ楽しみにしてたか。姉妹校の取り巻きを宥めるのは体力の限界だったけれど、悪い噂にならない様に頑張った。
勿論この学園に転校早々、徳永にあからさまに誘いを掛けてくる生徒が居なかった訳じゃない。でもターゲットが居た徳永は今までになく自重していた。
白薔薇学園以外でも有名な高三の花柳蘇芳は子供の頃からモデルとして有名だけでなく、現在は生徒会長としても素晴らしい相手だ。だからこそ自分の相手として相応しいと徳永は考えていた。
昔からファンだと言うのは言い過ぎだけれど、この白薔薇学園の姫としてチヤホヤされるためにも、そのポジションは手に入れなければならなかった。
だから生徒会に近いと聞いた藤原とかいう生徒のアドバイス通り、生徒会に紛れ込む事に成功はした。断られる事なんて全然考えてなかったから、まぁ当然と言えばそうだ。
「どうして僕に関心がないんだ!」
徳永は椅子を軋ませてドサリと座った。生徒会役員は流石のメンバー揃いで、まぁ花柳先輩のオーラには劣るけれど、京極先輩も同学年の錦戸大和も、他の役員も選ばれし生徒だった。
確かに花柳先輩は自分に優しく接してくれるけど、それは自分の望む様な接し方じゃない。その他大勢と同じ扱いをされる事に、徳永は何処となく焦りさえ感じていた。
自分の繰り出すちょっとした誘いのモーションも、普段なら執着されてしょうがないのに、まるで感じないと言った体でスルーされてしまう。
けれどクラスメイトやモブたちに同じ事をすれば、皆一様に鬱陶しいくらい親切になってチヤホヤして来る。だから効き目がない訳じゃないと徳永は一人腕を組んで考え込んだ。
しかも今まで爛れた生活を送って来たせいで、身体が疼いて我慢も限界だった。徳永はスマホを手に、遊び慣れていそうな相手を一人選ぶと電話を掛けた。ちょっとガス抜きしないとやってられないと思いながら。
「徳永って凄いな…。想像以上だったんだけど。」
そう言いながら、スッキリした顔で笑う発散相手の隣からスルリと抜け出しながら、薄く微笑んだ徳永は言った。
「そう?でも君も悪くなかったよ?僕が言うのもアレだけど、結構遊んでるんでしょ?」
するとニヤリと笑った相手の生徒は、ドサリと自分のベッドに寝転びながら目を閉じた。
「徳永ってなかなかの姫だな。崇めている奴らが本性知ったら悶絶しそうだけど。俺は全然気にしないから、もし発散したかったらまた声掛けてよ。」
徳永は身支度をしながら、目を閉じている錦戸大和の顔を見下ろした。花柳先輩が居なかったら、全然この男でも良かったかもしれない。けれど錦戸本人も徳永を遊び相手としか考えていないのがあからさまだったので、セフレ止まりだろう。
「ね、この学園で特別視されてる生徒って居るのかな。その、花柳先輩とかのお相手として?」
すると錦戸は目をパチリと開けて、しばらく天井を見つめていた。
「…そうだな。居ると言えば居る。花柳先輩は秘密主義だから実際の所は俺にも分からないけど、お気に入りは知ってる。まぁ俺たちのお気に入りだ。俺も口説いたけど逃げられちゃったな。」
徳永はボタンを嵌めていた手を止めて、錦戸の顔を見下ろした。嬉しげに笑みを浮かべた錦戸の表情は振られた割に愛着を感じている様子だった。
「へぇ。随分お気に入りなんだね。それって花柳先輩も同じ様に思ってるって感じ?」
錦戸は徳永の方を向いて探る様な眼差しで見つめた。
「徳永に言わないほうが良さそうだな。陰で虐めそうだから。」
徳永はヒクリと頬を動かして、首元まできっちりボタンを留めると扉の方へ向かいながら呟いた。
「虐めるなんてとんでもない。ちょっと排除するだけだよ。まぁ誰だか知らないけどね?」
勿論この学園に転校早々、徳永にあからさまに誘いを掛けてくる生徒が居なかった訳じゃない。でもターゲットが居た徳永は今までになく自重していた。
白薔薇学園以外でも有名な高三の花柳蘇芳は子供の頃からモデルとして有名だけでなく、現在は生徒会長としても素晴らしい相手だ。だからこそ自分の相手として相応しいと徳永は考えていた。
昔からファンだと言うのは言い過ぎだけれど、この白薔薇学園の姫としてチヤホヤされるためにも、そのポジションは手に入れなければならなかった。
だから生徒会に近いと聞いた藤原とかいう生徒のアドバイス通り、生徒会に紛れ込む事に成功はした。断られる事なんて全然考えてなかったから、まぁ当然と言えばそうだ。
「どうして僕に関心がないんだ!」
徳永は椅子を軋ませてドサリと座った。生徒会役員は流石のメンバー揃いで、まぁ花柳先輩のオーラには劣るけれど、京極先輩も同学年の錦戸大和も、他の役員も選ばれし生徒だった。
確かに花柳先輩は自分に優しく接してくれるけど、それは自分の望む様な接し方じゃない。その他大勢と同じ扱いをされる事に、徳永は何処となく焦りさえ感じていた。
自分の繰り出すちょっとした誘いのモーションも、普段なら執着されてしょうがないのに、まるで感じないと言った体でスルーされてしまう。
けれどクラスメイトやモブたちに同じ事をすれば、皆一様に鬱陶しいくらい親切になってチヤホヤして来る。だから効き目がない訳じゃないと徳永は一人腕を組んで考え込んだ。
しかも今まで爛れた生活を送って来たせいで、身体が疼いて我慢も限界だった。徳永はスマホを手に、遊び慣れていそうな相手を一人選ぶと電話を掛けた。ちょっとガス抜きしないとやってられないと思いながら。
「徳永って凄いな…。想像以上だったんだけど。」
そう言いながら、スッキリした顔で笑う発散相手の隣からスルリと抜け出しながら、薄く微笑んだ徳永は言った。
「そう?でも君も悪くなかったよ?僕が言うのもアレだけど、結構遊んでるんでしょ?」
するとニヤリと笑った相手の生徒は、ドサリと自分のベッドに寝転びながら目を閉じた。
「徳永ってなかなかの姫だな。崇めている奴らが本性知ったら悶絶しそうだけど。俺は全然気にしないから、もし発散したかったらまた声掛けてよ。」
徳永は身支度をしながら、目を閉じている錦戸大和の顔を見下ろした。花柳先輩が居なかったら、全然この男でも良かったかもしれない。けれど錦戸本人も徳永を遊び相手としか考えていないのがあからさまだったので、セフレ止まりだろう。
「ね、この学園で特別視されてる生徒って居るのかな。その、花柳先輩とかのお相手として?」
すると錦戸は目をパチリと開けて、しばらく天井を見つめていた。
「…そうだな。居ると言えば居る。花柳先輩は秘密主義だから実際の所は俺にも分からないけど、お気に入りは知ってる。まぁ俺たちのお気に入りだ。俺も口説いたけど逃げられちゃったな。」
徳永はボタンを嵌めていた手を止めて、錦戸の顔を見下ろした。嬉しげに笑みを浮かべた錦戸の表情は振られた割に愛着を感じている様子だった。
「へぇ。随分お気に入りなんだね。それって花柳先輩も同じ様に思ってるって感じ?」
錦戸は徳永の方を向いて探る様な眼差しで見つめた。
「徳永に言わないほうが良さそうだな。陰で虐めそうだから。」
徳永はヒクリと頬を動かして、首元まできっちりボタンを留めると扉の方へ向かいながら呟いた。
「虐めるなんてとんでもない。ちょっと排除するだけだよ。まぁ誰だか知らないけどね?」
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