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二度目の砦生活
敵地からの脱出
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私はシンの真剣な眼差しに、心を震わせていた。シンはギリギリの所で、自分に出来ること、やれる事を考え実行している。私にガムシャラに力任せに押し通る事を選ばせずに、二人で生きて帰ることを一番に考えている。そうだ。私も二人で生きて戻るのだ。
私はシンに素早く深く口づけると、喘ぐシンに囁いた。
「シンの仰せのままに。愛してる。二人で砦に戻ろう。」
シンは感じちゃうのに…と私を睨むと、息を整えてから二人で何とか地上まで届くロープを、部屋にあった帯の様なものを何本か結んで作った。それから闇夜に乗じて確実に壁を蹴りながら地上に降り立つと、シンは私に言った。
「…フーガを連れ戻します。私が白魔法を飛ばしたらフーガが気づいてくれるはず。あの子は僕の前ではいい子だけど、本当は暴れ馬なんですよ。きっとやってくれてるはずです。ふふ。」
シンはそう言うと、目を閉じて腕を伸ばした。ゆっくりと向きを変えて行くと、ハッとしたように目を開けて暗闇の先を見つめた。
「あちらに居ます。」
私はシンの手を繋ぐと小走りでシンの指し示す方向へ向かった。シンの息遣いが荒くなっていくのに気付いたが、立ち止まって休む時間は無かった。
微かに馬のいななきが聞こえて、私達は足音を忍ばせて近づいた。近くにいた馬丁を殴りつけて昏倒させると、鍵を奪って納屋に忍び込んだ。数頭の馬の中にフーガが居た。
シンはフーガに近づくと何か囁いていたが、裏扉を開けた私に合図するとゆっくり裸馬に乗り上げた。私も一頭選ぶとサッと乗り、たてがみを掴んで一緒に駆け足で走り出した。
私達の後から数頭ついてきているのは分かったが、止められなかったのでそのままにしたが、蹄の音が響いて私は気が気では無かった。
ローディとの約束の有明の月、夜明けを目指して敵の砦を抜けるために気が急いていた。流石に砦の外周には兵士が見張りに立っている。不審な馬の一団を見つけたようで騒めきが広がっていた。
私はシンに身を低くするように合図すると、立ち塞がる兵士らを馬上から切りつけていった。駆けつける兵士達を切り崩していく間に、シンはキョロキョロと周囲を見回していた。
シンは私に合図をすると、塀の側に積んである土嚢を足場にしてひらりと塀を越えていった。シンに続いて他の馬も壁を飛び越えていくのを見届けて、私も剣を一振りして塀を越えた。少し先にシン達が駆けていくのを見つめながら、私は背後から弓を引き絞る音を聞いた。後ろに剣を構え、飛んでくる矢を払いながら駆けて行くと、何本かの矢がシン達の方へ飛んでいくのが見えた。
「シン!矢だ!シンっ!」
夜明けの闇が薄れる中で、一本の矢がシンの背後に迫るのが見えた。
私はシンに素早く深く口づけると、喘ぐシンに囁いた。
「シンの仰せのままに。愛してる。二人で砦に戻ろう。」
シンは感じちゃうのに…と私を睨むと、息を整えてから二人で何とか地上まで届くロープを、部屋にあった帯の様なものを何本か結んで作った。それから闇夜に乗じて確実に壁を蹴りながら地上に降り立つと、シンは私に言った。
「…フーガを連れ戻します。私が白魔法を飛ばしたらフーガが気づいてくれるはず。あの子は僕の前ではいい子だけど、本当は暴れ馬なんですよ。きっとやってくれてるはずです。ふふ。」
シンはそう言うと、目を閉じて腕を伸ばした。ゆっくりと向きを変えて行くと、ハッとしたように目を開けて暗闇の先を見つめた。
「あちらに居ます。」
私はシンの手を繋ぐと小走りでシンの指し示す方向へ向かった。シンの息遣いが荒くなっていくのに気付いたが、立ち止まって休む時間は無かった。
微かに馬のいななきが聞こえて、私達は足音を忍ばせて近づいた。近くにいた馬丁を殴りつけて昏倒させると、鍵を奪って納屋に忍び込んだ。数頭の馬の中にフーガが居た。
シンはフーガに近づくと何か囁いていたが、裏扉を開けた私に合図するとゆっくり裸馬に乗り上げた。私も一頭選ぶとサッと乗り、たてがみを掴んで一緒に駆け足で走り出した。
私達の後から数頭ついてきているのは分かったが、止められなかったのでそのままにしたが、蹄の音が響いて私は気が気では無かった。
ローディとの約束の有明の月、夜明けを目指して敵の砦を抜けるために気が急いていた。流石に砦の外周には兵士が見張りに立っている。不審な馬の一団を見つけたようで騒めきが広がっていた。
私はシンに身を低くするように合図すると、立ち塞がる兵士らを馬上から切りつけていった。駆けつける兵士達を切り崩していく間に、シンはキョロキョロと周囲を見回していた。
シンは私に合図をすると、塀の側に積んである土嚢を足場にしてひらりと塀を越えていった。シンに続いて他の馬も壁を飛び越えていくのを見届けて、私も剣を一振りして塀を越えた。少し先にシン達が駆けていくのを見つめながら、私は背後から弓を引き絞る音を聞いた。後ろに剣を構え、飛んでくる矢を払いながら駆けて行くと、何本かの矢がシン達の方へ飛んでいくのが見えた。
「シン!矢だ!シンっ!」
夜明けの闇が薄れる中で、一本の矢がシンの背後に迫るのが見えた。
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