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ちっちゃな身体じゃ物足りない?
バルトside心配の元
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「バルト、騎士団長と随行が決まったぞ。時間がないから直ぐに準備しろ。…行き先は辺境の町だ。」
そう、赤龍のブランに意味深に言われて私は目を見開いた。テディの住んでいる町だ。最後にテディに会ったのは吸虫球にテディが噛まれて倒れたあの時以来だ。
私はテディに会えるかもしれない嬉しさの一方で、騎士団長がわざわざあの場所へと赴く意味を考えて、思わず顔を顰めてブランに尋ねた。
「一体どうして騎士団長があの場所に…!?」
すると、ブランは眉を顰めて声を落とした。
「それがまだハッキリした事は分かっていないんだ。どうもあの辺境の町の近くで死の沼が発生したらしくてな、しかもパーカス殿がそこに囚われたらしいのだ。ちょ、ちょっと待て!話は最後まで聞くんだ!」
私は今すぐに飛び立って、テディの無事を確信したかった。パーカス殿が死の沼に囚われてしまったとなれば、テディも無事かどうかは分からない。
私の苛立つ様子を見ていたブランが、肩に手を置いて諭す様に言った。
「良いか、王都からあの場所へは急いでも二日は掛かる。どうしようもない事はあるんだ。団長のことだから、休憩は最低限で飛ぶだろうし。うかうかしてると置いてかれるぞ?本当にあの御仁は疲れ知らずだからな…。」
そう言って顔を顰めるブランを見ていて冷静さを取り戻した私は、それでも拳を握ってしわがれた声を出した。
「…しかし死の沼とは。私が知る限りでは確認されたのはかなり昔だと…。教科書の中の話だと思っていた。」
ブランは顔を顰めて呟いた。
「確かにな。そもそも死の沼に関しては分からないことだらけだ。パーカス殿の無事を祈ろう。」
それからノンストップと言える程の強行軍で、我々と騎士団長は空を駆けた。中継地点の宿泊先で、辺境の町の領主と特殊な魔法道具でやり取りしてた団長が、険しい顔を緩めて我々に呟いた。
「良かった…!犠牲者は居ない様だ。パーカス殿が死の沼に取り込まれたのは確かな様だったが、うまく逃れられたようだ。…しかしあんな辺境の地に連絡の取れる魔法道具がある事自体驚きだな。あそこの領主の事は知っているか?」
そう団長に尋ねられて、私は賑やかな熊獣人を思い浮かべた。初めて会ったのは食事処だったが、まさかあの男が辺境の町の領主だとは思いもしなかった。
けれども、王都で話題になった魔素の多いミルも、王都までの東のエリアのダダ鳥の流通元もあの辺境の町のマークが刻印されているのを見れば、なかなか抜け目のない男の様だ。
「気の良いまだ若い男ですが、商売に長けている様です。」
私がそう言うと、騎士団長は頷いて肩を回した。
「会うのが楽しみだ。取り敢えず慌てて行くことは無くなったが、色々話を聞いたり、現地で調査もしなくてはならない。ここまで来たんだ、ついでに砦の視察もしよう。
そう言えば、今回の件には砦の騎士も関わっている様だ。詳しくは時間が無くて聞けなかったが。明日も飛ぶからな、しっかり休め。」
そう、言いたいことだけ言うと、団長は夕食のテーブルを立って部屋に戻って行ってしまった。
ブランは宿の主人に二人分のお代わりの酒を頼むと、目の前の魔鳥の焼き物をつついた。
「良かったじゃないか、犠牲者が誰も居なくて。パーカス殿も無事、あの子はそもそも死の沼とは関係がなかったのかもしれないな。」
主人が持ってきたお代わりの酒を喉に流し込むと、私はぎゅっと目を瞑って大きく息をついた。
「ああ、無事で良かった。だが、パーカス殿が死の沼に囚われたのは事実の様だ。テディがどんな気持ちになったのかを考えると、胸が痛むよ。」
するとブランが急に咳払いをして、何気ない風で尋ねてきた。
「あー、前から聞きたかったんだが、あの子はお前にとって何なんだ?…番いなのか?」
全然何気なくないブランに少し笑って、今まで何度も自問自答してきたそれを初めて言葉にした。
「ああ。テディは私の番いだ。私にとっては。テディはどう感じているのかはまるで分からないが…。」
するとブランはガチリと音を立てて私の盃に自分のそれをぶつけると、酒をひと口飲んだ。
「…あのパーカス殿のお子さんが番か。お前も中々の苦難の道だぞ?竜人同士なら番いはピンとくるらしいが、獣人は成熟しないと気付かないだろう?ましてパーカス殿が溺愛するあの幼な子だ。
お前が番いだとアピールするのは藪蛇かもしれないな。もう二度と会わせてもらえないかもしれないぞ。ははは。」
そう面白げに笑うブランに、思い詰めていた気持ちが緩んで、私もようやく酒の味を楽しめる様になった。さっきまではやはり心配で緊張していたんだろう。
そんな私をじっと見ていたブランが、少し不貞腐れた様に呟いた。
「あの子は小さすぎて将来がどうなるかは不明だが、お前のそんな顔を見ていると少し羨ましいよ。一人の相手にそこまで心を突き動かされるというのは、どんな気持ちなんだろうな。俺には経験できるかどうかも分からない…。」
私はブランの言葉を聞きながら、一方的な今の気持ちはただ一人でから回っているだけなので、決して報われるものではないと言いたくなった。
ただ、苦しい気持ちは一方で、テディ本人を目の前にした時、あの成長した姿を目に焼き付けてしまった後では喜びの方が大きいのかもしれない。
そんなブランとの話の余韻があったせいか、私達が辺境の町の領主の屋敷に降り立った時、いや、降り立つ前から、目の前に小さな姿が目に飛び込んできたその喜びは圧倒的なものだった。
パーカス殿に抱っこされた肩越しに、畏まった表情で私達に手を振って合図してくれた時の、胸を満たす暖かな気持ちはテディにしか感じたことの無いものだった。ああ、確かに彼は私の番いなのだ。
しかし死の沼の話はそう簡単では無かった。どうもパーカス殿の話にははっきりしない所があった。死の沼で救出に手を貸した砦の国境警備隊長が、テディに道案内されたと言い始めて私はハッとした。
確かに薬を飲めば大きくなれるテディが、パーカス殿の危機に黙って待っているわけはない。隊長の言う様にパーカス殿の魔力が分かるならなおのことだ。
腑に落ちない騎士団長がテディから直接話を聞いてみたいと、部屋に控えていたこの町の領主殿にテディを連れて来るよう頼んだ。
だから領主にちょこんと抱っこされて、さっきまで遊んでいた様に見える顔色の良いテディが現れた時、この部屋の空気が明らかに戸惑いの色をそれぞれに滲ませた。
そして開口一番長老が悪い竜人だと拙い口調で言い切ったのだから、流石に私も団長が可哀想に思えた。
その上腕の中から逃げ出したワタ虫を、一生懸命捕まえようとする幼な子を見て、本当にこの子がこの救出劇に重要な役回りをしたのだと、知ってるものでさえ事実だと思えなかったろう。
後からパーカス殿に個別に大まかな所を聞いた際には、パーカス殿もテディに関しては私を少しは信用してくれているのだと妙に心躍るものだった。
『バルトも分かっているじゃろうが、あの子は注目を集めすぎるのでの。だから少しでもそれを遅らせたいと思うのは、私の親心じゃよ。…其方なら分かってくれるじゃろうて。』
幸いな事に当事者達の意見によれば、規模は縮小傾向にあるとのことだった死の沼の現地調査の後、疲れ知らずの騎士団長がそのまま砦の視察に行くと言い出した時は、テディにさよならを言えなかったと残念な気持ちになった。
しかし寂しい気持ちで辺境の町を見下ろした私の感傷は、準備もなくこの国を揺るがす大事件にテディ共々巻き込まれて、たわいもなく吹き飛ばされてしまった。
そう、赤龍のブランに意味深に言われて私は目を見開いた。テディの住んでいる町だ。最後にテディに会ったのは吸虫球にテディが噛まれて倒れたあの時以来だ。
私はテディに会えるかもしれない嬉しさの一方で、騎士団長がわざわざあの場所へと赴く意味を考えて、思わず顔を顰めてブランに尋ねた。
「一体どうして騎士団長があの場所に…!?」
すると、ブランは眉を顰めて声を落とした。
「それがまだハッキリした事は分かっていないんだ。どうもあの辺境の町の近くで死の沼が発生したらしくてな、しかもパーカス殿がそこに囚われたらしいのだ。ちょ、ちょっと待て!話は最後まで聞くんだ!」
私は今すぐに飛び立って、テディの無事を確信したかった。パーカス殿が死の沼に囚われてしまったとなれば、テディも無事かどうかは分からない。
私の苛立つ様子を見ていたブランが、肩に手を置いて諭す様に言った。
「良いか、王都からあの場所へは急いでも二日は掛かる。どうしようもない事はあるんだ。団長のことだから、休憩は最低限で飛ぶだろうし。うかうかしてると置いてかれるぞ?本当にあの御仁は疲れ知らずだからな…。」
そう言って顔を顰めるブランを見ていて冷静さを取り戻した私は、それでも拳を握ってしわがれた声を出した。
「…しかし死の沼とは。私が知る限りでは確認されたのはかなり昔だと…。教科書の中の話だと思っていた。」
ブランは顔を顰めて呟いた。
「確かにな。そもそも死の沼に関しては分からないことだらけだ。パーカス殿の無事を祈ろう。」
それからノンストップと言える程の強行軍で、我々と騎士団長は空を駆けた。中継地点の宿泊先で、辺境の町の領主と特殊な魔法道具でやり取りしてた団長が、険しい顔を緩めて我々に呟いた。
「良かった…!犠牲者は居ない様だ。パーカス殿が死の沼に取り込まれたのは確かな様だったが、うまく逃れられたようだ。…しかしあんな辺境の地に連絡の取れる魔法道具がある事自体驚きだな。あそこの領主の事は知っているか?」
そう団長に尋ねられて、私は賑やかな熊獣人を思い浮かべた。初めて会ったのは食事処だったが、まさかあの男が辺境の町の領主だとは思いもしなかった。
けれども、王都で話題になった魔素の多いミルも、王都までの東のエリアのダダ鳥の流通元もあの辺境の町のマークが刻印されているのを見れば、なかなか抜け目のない男の様だ。
「気の良いまだ若い男ですが、商売に長けている様です。」
私がそう言うと、騎士団長は頷いて肩を回した。
「会うのが楽しみだ。取り敢えず慌てて行くことは無くなったが、色々話を聞いたり、現地で調査もしなくてはならない。ここまで来たんだ、ついでに砦の視察もしよう。
そう言えば、今回の件には砦の騎士も関わっている様だ。詳しくは時間が無くて聞けなかったが。明日も飛ぶからな、しっかり休め。」
そう、言いたいことだけ言うと、団長は夕食のテーブルを立って部屋に戻って行ってしまった。
ブランは宿の主人に二人分のお代わりの酒を頼むと、目の前の魔鳥の焼き物をつついた。
「良かったじゃないか、犠牲者が誰も居なくて。パーカス殿も無事、あの子はそもそも死の沼とは関係がなかったのかもしれないな。」
主人が持ってきたお代わりの酒を喉に流し込むと、私はぎゅっと目を瞑って大きく息をついた。
「ああ、無事で良かった。だが、パーカス殿が死の沼に囚われたのは事実の様だ。テディがどんな気持ちになったのかを考えると、胸が痛むよ。」
するとブランが急に咳払いをして、何気ない風で尋ねてきた。
「あー、前から聞きたかったんだが、あの子はお前にとって何なんだ?…番いなのか?」
全然何気なくないブランに少し笑って、今まで何度も自問自答してきたそれを初めて言葉にした。
「ああ。テディは私の番いだ。私にとっては。テディはどう感じているのかはまるで分からないが…。」
するとブランはガチリと音を立てて私の盃に自分のそれをぶつけると、酒をひと口飲んだ。
「…あのパーカス殿のお子さんが番か。お前も中々の苦難の道だぞ?竜人同士なら番いはピンとくるらしいが、獣人は成熟しないと気付かないだろう?ましてパーカス殿が溺愛するあの幼な子だ。
お前が番いだとアピールするのは藪蛇かもしれないな。もう二度と会わせてもらえないかもしれないぞ。ははは。」
そう面白げに笑うブランに、思い詰めていた気持ちが緩んで、私もようやく酒の味を楽しめる様になった。さっきまではやはり心配で緊張していたんだろう。
そんな私をじっと見ていたブランが、少し不貞腐れた様に呟いた。
「あの子は小さすぎて将来がどうなるかは不明だが、お前のそんな顔を見ていると少し羨ましいよ。一人の相手にそこまで心を突き動かされるというのは、どんな気持ちなんだろうな。俺には経験できるかどうかも分からない…。」
私はブランの言葉を聞きながら、一方的な今の気持ちはただ一人でから回っているだけなので、決して報われるものではないと言いたくなった。
ただ、苦しい気持ちは一方で、テディ本人を目の前にした時、あの成長した姿を目に焼き付けてしまった後では喜びの方が大きいのかもしれない。
そんなブランとの話の余韻があったせいか、私達が辺境の町の領主の屋敷に降り立った時、いや、降り立つ前から、目の前に小さな姿が目に飛び込んできたその喜びは圧倒的なものだった。
パーカス殿に抱っこされた肩越しに、畏まった表情で私達に手を振って合図してくれた時の、胸を満たす暖かな気持ちはテディにしか感じたことの無いものだった。ああ、確かに彼は私の番いなのだ。
しかし死の沼の話はそう簡単では無かった。どうもパーカス殿の話にははっきりしない所があった。死の沼で救出に手を貸した砦の国境警備隊長が、テディに道案内されたと言い始めて私はハッとした。
確かに薬を飲めば大きくなれるテディが、パーカス殿の危機に黙って待っているわけはない。隊長の言う様にパーカス殿の魔力が分かるならなおのことだ。
腑に落ちない騎士団長がテディから直接話を聞いてみたいと、部屋に控えていたこの町の領主殿にテディを連れて来るよう頼んだ。
だから領主にちょこんと抱っこされて、さっきまで遊んでいた様に見える顔色の良いテディが現れた時、この部屋の空気が明らかに戸惑いの色をそれぞれに滲ませた。
そして開口一番長老が悪い竜人だと拙い口調で言い切ったのだから、流石に私も団長が可哀想に思えた。
その上腕の中から逃げ出したワタ虫を、一生懸命捕まえようとする幼な子を見て、本当にこの子がこの救出劇に重要な役回りをしたのだと、知ってるものでさえ事実だと思えなかったろう。
後からパーカス殿に個別に大まかな所を聞いた際には、パーカス殿もテディに関しては私を少しは信用してくれているのだと妙に心躍るものだった。
『バルトも分かっているじゃろうが、あの子は注目を集めすぎるのでの。だから少しでもそれを遅らせたいと思うのは、私の親心じゃよ。…其方なら分かってくれるじゃろうて。』
幸いな事に当事者達の意見によれば、規模は縮小傾向にあるとのことだった死の沼の現地調査の後、疲れ知らずの騎士団長がそのまま砦の視察に行くと言い出した時は、テディにさよならを言えなかったと残念な気持ちになった。
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