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忙しい毎日
復帰の条件
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腕の中でずっしりして来たファルコンを抱きながら、僕はその甘ったるい匂いを堪能していた。最近の成長ぶりはミルを驚くほど飲むせいかもしれない。身体つきもむっちりしていて僕というよりバルトの竜人の逞しさを感じる。
ファルコンは半年も経っていないのに、ハイハイの移動スピードも高速だ。背中のパタパタをスピードアップに使っているとかじゃないだろうか。いや、まさかね…。
最近では眠い時以外は基本背中のパタパタが出る。ただし、見知らぬ人がいると出ないので、リラックスしていないと翼が出ないのだろう。
この国には背中にパタパタのある人型の子供は居ないので、ただでさえこんな赤ん坊の人型で注目されてしまうのに、親の僕としてはその点が心配の種だ。
「…パーカス、ファルコンはどうしたって注目を浴びちゃうよね。僕としてはひと目を気にさせずに生活させてあげたいのにな。」
すっかりファルコンを溺愛しているパーカスに相談すると、パーカスはファルコンを膝の上でくすぐりながら言った。
「…そうじゃのう。むしろ普通に寄せる必要はないのではないのかの?そもそもシロアンミルを飲んでいる赤ん坊は居ないじゃろうし、それだけでも魔素量が違うじゃろう?まぁ魔素に適応型なのは竜人と言うよりはテディ似と言うところじゃな。
特別な子供なのはファルコンの個性なのじゃよ。それをコントロールは出来まい?テディも以前は自分だけ人間だと苦悩していたじゃろうが、今もそれに困っておるかの?」
流石に長く竜生を費やしていない。パーカスの言う様に僕はあんなにモヤモヤしていた自分の孤独をすっかり気にしなくなっていた。
それはパーカスを始めとする周囲の人達のお陰だし、無条件に僕を受け入れて愛してくれるバルトとロバートのお陰だ。あ、あと絶対的な僕の後ろ盾である龍神であるメダもね。
僕はにっこり笑ってパーカスの隣に座った。柔らかな青い髪が顔周りを包むファルコンは、僕と同じ淡い緑色の瞳を僕に向けて何か言った。
「うぁう…、まんぁ。」
僕とパーカスは顔を見合わせた。
「もしかして僕のことママって言ったのかな。」
僕は男だけどファルコンにママと呼ばせている。まぁ例の産道もあるし…。
「ファルコン、もしかしてママって言ったの?」
僕がファルコンの目を見てもう一度呼びかけると、パツパツの頬っぺたをもぐもぐ動かしてからドサリとパーカスの腕の中に倒れ込んだ。うん、違うね。
僕はクスッと笑って、ファルコンの美しい青い髪を指に絡めてそっと撫でた。
「ねえ、パーカス。僕やっぱりそろそろ学校に復帰しようかな。ファルコンは皆にこうして慣れているし、僕が側に居なくてもちょっとくらいなら何とかなる気がするでしょ。」
するとパーカスはファルコンを抱き上げて、室内をゆっくり歩き回りながら呟いた。
「…そうじゃのう。テディの身体が完全に戻っているのか、それだけが心配じゃの。魔法学科は騎士科ほど肉体的に大変じゃないかもしれないが、魔力は消費するじゃろう?
それが産後の身体にどう影響するか…。ファルコンについては私も居るし、セバスらも協力してくれるじゃろうから心配はないが。ほれ、こうして直ぐに寝付く良い子じゃからの。テディに似て図太いのじゃろうよ。」
ファルコンを子供部屋に寝かせに行く後ろ姿を見送りながら、僕はパーカスがすっかり好々爺になっていると笑いが込み上げて来た。この姿を騎士団長が見たらきっと呆れて頭を抱えるに違いない。
それだけ小さな人型の赤ん坊の可愛さの威力は凄まじい。この屋敷の全員がファルコンの虜になってしまった。
僕は大きく伸びをして、テラスから庭に出ると中庭を歩き回った。結局僕も、産後何やかにやと引き篭もっているせいで体力がめっきり落ちた。パーカスの心配もそれも一つの要因だろう。
広い中庭を三周ほど歩き回って息が切れて来た頃、テラスからメダがこちらに向かって歩いて来た。
「お前はさっきから何をしているんだ。ぐるぐると意味のない事をして。」
そうメダが呆れた様に言うので、僕は肩で息をしながら顔を顰めた。
「学校に復帰するのに、この程度で息が切れてたら自信がなくなっちゃうよ。ポーションを飲んで元気は出ても、落ちた筋力は戻らないでしょ?」
するとメダは僕の身体をまるでサーチする様にゆっくり見下ろすと、首を傾げた。
「魔素は以前より増えてるがな。もっとも以前とは少し変異したな。子供を孕むと変化は往々にあるものだが、愛し子は産み終わってもそれが続いておるな。
まだその変化が身体に馴染んでいないせいだろうな。どれ、我が手伝ってやろう。」
そう言うとメダは僕の手を引っ張って東屋へ引っ張り込んだ。うん、もしかしてもしかする?
案の定東屋で座り込んだメダは、僕を抱え込んで目を合わせた。
「…ちょっと荒治療かもしれんぞ。しっかり掴まっておけ。」
そう心配させる様な事を言うと、僕に口付けて来た。相変わらずメダとの口づけはうっとりする様な気持ち良さだった。まるで身体が溶けて液体になってしまう様な、そんな心持ちになってしまう。
けれど、いつもはそれで終わるメダの口づけはそれだけで終わらなかった。まるで身の内をメダの長い舌でかき混ぜられる様な苦しさと、痺れる様な快感で身体がバラバラになりそうだ。
説明の出来ないその感覚に我慢出来なくなった次の瞬間、メダが僕から出て行った。そうだ、まるで僕の中にメダが入り込んで掻き混ぜた様な感覚だった。実際はそうじゃないけど…。
僕が呆然としてメダの腕の中でぐったりとしていると、メダは僕にもう一度いつもの優しい口づけをした。
「…神と交わるには、愛し子はまだ未熟だ。力が違い過ぎると苦しさの方が強くなるからな。どうだ?身体の違和感は無いだろうが。」
何だかメダと身体を交えた様な感覚がしたせいで、妙な気恥ずかしさを感じた僕はメダの顔を見れない。僕は慌ててメダの膝から降り立つと、東屋から出て庭園を歩いた。
さっきまで重く疲れていた身体がスッキリして、何処までも歩いて行けそうだ。僕は思わず笑顔でメダに振り向いた。
「凄い!全然違うよ。身体が軽い!ありがとうメダ。」
メダはニヤリと笑うと僕の側に歩き寄って手を取って歩き出した。
「時々お前がいつになったら我の元に来るのかと痺れを切らしそうになるが、さっきの様子ではまだまだ先の様だな。愛し子が苦しむのは我も望んでおらぬ。
そうやって嬉しげに喜んでいる姿を見ているだけで誤魔化されてしまうくらいには、我はお前を愛しく思っているのだ。」
メダのどこか諦めを滲ませた口調でこぼす言葉を聞きながら、僕はメダの手を握り返した。
「…ありがとう、メダ。僕もメダが好きだよ。時々感じるんだ。僕の中にメダがいるって。」
するとメダはさっきより機嫌を直した様子で僕を見つめると、テラスに向かいながら言った。
「お前は私の愛し子だからな。いつでも気配を感じられる様にしてあるせいだろう。ましてやさっきの改造で、お前は更に我に近づいたかもしれん。だからと言って何か不便な事がある訳じゃ無いが。
ほれ、あの羽つきが泣いてるぞ。たまには我があやしてやるとするか。」
気まぐれにしか関わらないメダなのに、ファルコンはいつでもメダを見ると機嫌が良い。それは僕の様にやっぱり心地良さの様なものを感じているからなのかな。
僕はメダに笑い掛けて言った。
「ファルコンもメダの事が好きなんだよ。きっと神様だって分かってるんじゃない?」
するとメダは呆れた様子で僕を見て呟いた。
「そんな事を言うのはお前達くらいだぞ?普通は畏怖を感じるものだからな。まったく、変な奴らだ。」
そう言いながら嬉しそうな様子を僕は見逃さなかった。ふふ、神様も案外単純だね?
★【ハーレムBLゲーム、転生の僕にはデスゲーム】完結しました💕
17話5万字でサクサク読めるポップなBLです♪ハーレムをかい潜って執着愛が炸裂しました(^◇^;)
楽しんでいただけると嬉しいです😊
なお【特別な魔物】BL作品のこちらも連載中です。
魔物として捕まった絵都が、主である青年貴族との生活と異世界に何とか馴染んでいこうとするファンタジー冒険系BLです。
絵都が思いの外淫靡でエロくなりました。振り回される主とのいちゃモダ関係も楽しめます!🤭
よろしくお願いします💕
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「…パーカス、ファルコンはどうしたって注目を浴びちゃうよね。僕としてはひと目を気にさせずに生活させてあげたいのにな。」
すっかりファルコンを溺愛しているパーカスに相談すると、パーカスはファルコンを膝の上でくすぐりながら言った。
「…そうじゃのう。むしろ普通に寄せる必要はないのではないのかの?そもそもシロアンミルを飲んでいる赤ん坊は居ないじゃろうし、それだけでも魔素量が違うじゃろう?まぁ魔素に適応型なのは竜人と言うよりはテディ似と言うところじゃな。
特別な子供なのはファルコンの個性なのじゃよ。それをコントロールは出来まい?テディも以前は自分だけ人間だと苦悩していたじゃろうが、今もそれに困っておるかの?」
流石に長く竜生を費やしていない。パーカスの言う様に僕はあんなにモヤモヤしていた自分の孤独をすっかり気にしなくなっていた。
それはパーカスを始めとする周囲の人達のお陰だし、無条件に僕を受け入れて愛してくれるバルトとロバートのお陰だ。あ、あと絶対的な僕の後ろ盾である龍神であるメダもね。
僕はにっこり笑ってパーカスの隣に座った。柔らかな青い髪が顔周りを包むファルコンは、僕と同じ淡い緑色の瞳を僕に向けて何か言った。
「うぁう…、まんぁ。」
僕とパーカスは顔を見合わせた。
「もしかして僕のことママって言ったのかな。」
僕は男だけどファルコンにママと呼ばせている。まぁ例の産道もあるし…。
「ファルコン、もしかしてママって言ったの?」
僕がファルコンの目を見てもう一度呼びかけると、パツパツの頬っぺたをもぐもぐ動かしてからドサリとパーカスの腕の中に倒れ込んだ。うん、違うね。
僕はクスッと笑って、ファルコンの美しい青い髪を指に絡めてそっと撫でた。
「ねえ、パーカス。僕やっぱりそろそろ学校に復帰しようかな。ファルコンは皆にこうして慣れているし、僕が側に居なくてもちょっとくらいなら何とかなる気がするでしょ。」
するとパーカスはファルコンを抱き上げて、室内をゆっくり歩き回りながら呟いた。
「…そうじゃのう。テディの身体が完全に戻っているのか、それだけが心配じゃの。魔法学科は騎士科ほど肉体的に大変じゃないかもしれないが、魔力は消費するじゃろう?
それが産後の身体にどう影響するか…。ファルコンについては私も居るし、セバスらも協力してくれるじゃろうから心配はないが。ほれ、こうして直ぐに寝付く良い子じゃからの。テディに似て図太いのじゃろうよ。」
ファルコンを子供部屋に寝かせに行く後ろ姿を見送りながら、僕はパーカスがすっかり好々爺になっていると笑いが込み上げて来た。この姿を騎士団長が見たらきっと呆れて頭を抱えるに違いない。
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僕は大きく伸びをして、テラスから庭に出ると中庭を歩き回った。結局僕も、産後何やかにやと引き篭もっているせいで体力がめっきり落ちた。パーカスの心配もそれも一つの要因だろう。
広い中庭を三周ほど歩き回って息が切れて来た頃、テラスからメダがこちらに向かって歩いて来た。
「お前はさっきから何をしているんだ。ぐるぐると意味のない事をして。」
そうメダが呆れた様に言うので、僕は肩で息をしながら顔を顰めた。
「学校に復帰するのに、この程度で息が切れてたら自信がなくなっちゃうよ。ポーションを飲んで元気は出ても、落ちた筋力は戻らないでしょ?」
するとメダは僕の身体をまるでサーチする様にゆっくり見下ろすと、首を傾げた。
「魔素は以前より増えてるがな。もっとも以前とは少し変異したな。子供を孕むと変化は往々にあるものだが、愛し子は産み終わってもそれが続いておるな。
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気まぐれにしか関わらないメダなのに、ファルコンはいつでもメダを見ると機嫌が良い。それは僕の様にやっぱり心地良さの様なものを感じているからなのかな。
僕はメダに笑い掛けて言った。
「ファルコンもメダの事が好きなんだよ。きっと神様だって分かってるんじゃない?」
するとメダは呆れた様子で僕を見て呟いた。
「そんな事を言うのはお前達くらいだぞ?普通は畏怖を感じるものだからな。まったく、変な奴らだ。」
そう言いながら嬉しそうな様子を僕は見逃さなかった。ふふ、神様も案外単純だね?
★【ハーレムBLゲーム、転生の僕にはデスゲーム】完結しました💕
17話5万字でサクサク読めるポップなBLです♪ハーレムをかい潜って執着愛が炸裂しました(^◇^;)
楽しんでいただけると嬉しいです😊
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