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幼馴染再び

おやつの時間2

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「先輩、俺橘先輩のこと知ってました!あ、俺、2-Aの鈴木です!」

そう言って僕の前に座ったのは、二人目の同じ高校の二年生だった。ガタイが良くて運動部っぽい、いかにも陽キャな後輩が、僕と接点があるなんて全然思えない。僕はリップサービスだろうと、曖昧な笑みを浮かべた。

「僕なんて帰宅部だし、目立たない人間だけど…。誰かと勘違いしているんじゃない?」


そう言うと、鈴木君は両手を振って言った。

「いえ、先輩は覚えてないかもしれないですけど、以前学校の自販機でお金溝に落としてジュース買えなかった時、後ろに並んだ先輩が俺の分もお金入れてくれて。返したかったんだけど、俺先輩のこと一年生だと勘違いしてたせいで見つからなくって。今朝のSNS見て、絶対そうだって思って。覚えてますか?」


そう言えば、そんな事があったかもしれない。あの時は時間が無くて、お金を落として凹んでる目の前の後輩を押し退けて、ジュースを買えなかっただけなんだけど。

丁度そこに箕輪がやって来て、チョコバナナを鈴木君に渡した。僕はジロっと箕輪君を睨んだけど、ニヤって笑うだけで全然堪えてくれなかった。僕はため息をついて、でも目の前の鈴木君はこのために1500円も出してくれているんだから、ちゃんと応対しようと思った。


「はい、先輩あーん。」

鈴木君は陽キャだけあって、こんな事も面白がる余裕があるみたいだ。僕はさっきよりも大きなチョコバナナを見て、大きな口を開けて齧り付いた。

『ヤバ。想像以上なんだけど。』

何か鈴木君が呟いていたけど聞こえなかった。今度は割らない様に上手く食べようと、僕は急に大人しくなってしまった鈴木君の顔を、どうしたのかなと見つめながらゆっくりとかじった。


流石に二本目のチョコバナナをパクパク食べるほどお腹は空いていなかった。机に対面で座っているせいか、どうしてもバナナが遠い。僕はさっきの様に手を伸ばして、持ち手を握る鈴木君の手を引き寄せた。

顔を傾けてチョコバナナを咥えると、何だかグイッと押し付けられて、僕は口いっぱいになってしまった。手で口元を押さえながら、ちょっと涙目になって鈴木君を見つめると、なぜかギラギラした眼差しでじっと見つめられてしまった。


「…鈴木君、酷いよ。口いっぱいに押し込んだら、苦しいでしょ…?」

途端に鈴木君がびっくりする勢いで立ち上がったかと思うと、バナナを持ったまま教室から飛び出して行ってしまった。僕はその後ろ姿を見送りながらポカンとしていたけれど、やっぱり怒った顔でキヨくんが、ウェットティッシュを僕に差し出して言った。

「…まったく。どうしていいか俺にも分からないよ。」

え?どう言う事?


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