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祭りの後始末

振替休日

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文化祭の片付け日と次の日は、文化祭の振替休日だった。振替休日なのに片付けに学校へ行かなくちゃいけないのは何だか解せないけれど、この高校はカリキュラムもキツいし、まぁ高3の後半は学校へあまり来なくなるのも分かっていたので僕たちは1、2年ほど文句がある訳じゃなかった。

片付けは案外直ぐに終わって、僕たちはガヤガヤと帰り始めた。キヨくんがいつもの仲間たちに肩を組まれて前を歩いているのを見て、僕は文化祭がとうとう終わったんだともの寂しくなった。


あの「玲」と呼ばれた特別な瞬間は文化祭マジックだった訳で、僕たちはこれから前と同じ様に、近くにいても遠い存在で過ごして、そのまま卒業するんだと思った。

「橘、これからワック寄って帰るけど、行く?」

隣を歩いていた箕輪君と側にいた数人がそうガヤガヤしながら僕を誘って来た。僕は良いよと頷くと、箕輪君の視線が僕の後ろへ流れた。

「俺もワック行く。」


キヨくんだった。箕輪君が委員長も参加と他のクラスメイトに言いながら、前方を眺めてキヨくんに尋ねた。

「三浦たちと行くんじゃないの?」

すると委員長は肩をすくめて言った。

「あいつら今からカラオケ行くとか言うから、ちょっと付き合いきれない。疲れたからメシ食って家で寝たいし。」

そう言って当然の様に僕の隣に並んだ。皆があいつら元気だなーと笑いながらガヤガヤ駅前のワックに向かう後を着いて歩きながら、僕はチラッとキヨくんを見上げた。


文化祭が終わったら、前と同じ様に単なる接点のないクラスメイトに戻ると思っていたのは違うのかな…。キヨくんは僕が見たのに気がついたのかボソッと言った。

「今日も、一緒に帰ろう。」

僕は慌ててキヨくんから目を逸らして前方を見ながら、黙って頷いた。何か、僕が思ってたのとは少し違うのかも…。


ワックで解散した僕とキヨくんは、二人で電車に乗り込んだ。平日の昼間は電車も空いていて、僕たちは空いた席に並んで座るとエアコンの効いた車内に人心地ついた。

僕たちの文化祭は夏休み明けて2週目の週末に行われたので、まだ残暑というより夏だった。僕は思わずにっこり微笑んでキヨくんに言った。

「ふう。やっぱり昼間は暑いね。」

キヨくんはしばらく僕とたわいのない話を続けた後、前を向きながら言った。


「…玲、これからうちに遊びに来る?」


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