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冬の次は春

クリスマスは無いけれど

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僕たちが付き合って初めてのクリスマスは、キヨくんがずっと塾に缶詰になる予定のせいで、何でもない日になる予定だった。女子じゃないから、そこまでクリスマスに期待してる訳じゃない…よ。

僕はキヨくんにプレゼントをあげたら、キヨくんも時間がないのに僕にプレゼントを用意しそうな気がして、今年は無しにしようってメッセージを送った。とはいえ、やっぱり何かあげたい。初彼だから。ふふ。


僕はニヤニヤしながら家のベッドに寝転んでモバイルを指でスクロールしていた。何かキヨくんに、大袈裟じゃなくて気の利いたものをあげたかった。

僕は画像をじっと見て、これだと思った。早速良さそうなものを二つ選ぶと、ネットカートに放り込んだ。明日か、明後日には届くだろう。喜んでくれると良いな。


次の日、塾に行くキヨくんに合わせて家を出た僕は、少し疲れた顔のキヨくんに尋ねた。

「来週、一時間ぐらい空いてる?出来れば僕の部屋で会いたいんだけど。」

キヨくんはハッと顔を上げて僕を探るように見つめた。僕は急にキヨくんの目がギラついた気がして、慌てて手を振って言った。

「違う、違うって!そのちょっとキヨくんのこと癒してあげられたらなって思って。僕からのクリスマスプレゼント的な?物とかじゃないよ?だから、キヨくんは余計なこと考えちゃダメだからね!」


キヨくんはスマホのスケジュールを眺めると、日曜日の夜9時以降なら空いてると言ってくれた。僕は久しぶりに二人だけで会えるのが嬉しくて、すっかり舞い上がってしまった。

キヨくんはクスッと笑うと、僕に顔を寄せて囁いた。

「なんか可愛い玲見てたら、疲れも吹っ飛んだみたいだ。そんな嬉しそうな顔してるの見たら、日曜日が楽しみだな。」


そう言って笑うキヨくんがドキドキするほどかっこよくて、顔が熱くなってしまった。きっと赤くなってしまっただろう。そんな僕をじっと見つめたキヨくんは、ため息をついて前を向いた。

「これ以上玲のこと見てたら、家に引き摺り込んでめちゃくちゃにしたくなる。」

僕もなんだか胸がいっぱいになって、キヨくんの隣を黙って歩いた。僕もこれ以上ドキドキしたら、何だか訳もなく泣いてしまいそう。ああ、僕こんなに情緒が怪しい人間だったかな。


「じゃあ、日曜日楽しみにしてる。玲は学校の自習室?それとも図書館?」

僕はキヨくんとは駅向こうの図書館へ行くつもりだったから、キヨくんが改札に消えるのを見送ると、歩道をゆっくり歩き出した。僕も年明けに統一テストは受けなきゃいけない。キヨくんと同じ緊張感は無くても、無様な結果を進学先に提出するわけにいかないから、勉強は続けていた。

吐く息が白いのを感じながら、日曜日が来るのが本当に楽しみになった。
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