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夏休み

会っちゃうよねー?

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喜色満面のタクミが大きく手を広げてこっちにやってくる!

玲は一歩前に出ると、私を隠す様にしてタクミを止めた。

「ああ、番犬くんか。番犬くんはけいちゃんの彼氏じゃないんだろ?けいちゃんに挨拶させてよ。」

あぁ、玲がブチ切れそう!私は簡単に興味津々の部外者の二人に英語で説明すると玲の腕を掴んだ。

「…玲?…こんにちは。」


「こんにちは、けいちゃん!
いや、漆原から別荘で合流ダメになったって聞いてがっかりで。
漆原にけいちゃんの事聞こうと思ってたからさ。

別荘に行く従兄弟ってけいちゃんの事だったんだ!俺ってほんとついてるよ。」

うん、私はついてない。なぜ同じ時期なんだ。


「ヘイ、ケイ…チャン?紹介シテクレヨ。」あ、こいつ日本語不自由なフリする気だな?

「こちらタクミくん。この前プールで知り合ったの。玲はもう知ってるよね?
こちらはマイキーとキャサリン。留学先のお友達。」

「「ハイ!タクミ。ヨロシクオネガイゴザイマーズ。」」
…二人ともめっちゃ楽しんでるし。


「タクミ、誰?」

うわぁ、佐藤が変な顔して立ってる。そりゃそーか、こんなに怪しい集団そうそう無いって。

「あぁ、ちょっと知り合い。挨拶しただけ。直ぐ戻るから。」

タクミは慌てて佐藤に言うと、また後でねとウイスパーボイスで囁いて立ち去った。


「…ねぇ、彩花の言ってた事合ってたね。」

「ん?タクミが他のヤツらに景の事教えないだろうって事?
あーそんなの分からないの景ぐらいだと思うけどね。」

「ソデスネ、ケイは、何も見えてません!」

「ちょっと、インチキ外国人残ってるわよ、マイキー。」

うん、キャサリン真っ当な指摘ありがとう。

私はすっかり気を許して漆原モードも何も、頭から抜け落ちてハングライダーを四人で楽しんだ。



「さっきの四人組、タクミの知り合い?話してたでしょ。」

僕はタクミにさっきから気になっていた事を聞いた。

「あー、ちょっと前に会ったことあって。…俺の好きな子。」

「えー⁉︎ タクミが好きとか言うの珍しくない⁉︎ タクミは基本博愛主義で、彼女とか作らないじゃん。
裕、顔見たの?どんな子だった?」

早速この手の話が大好物のトモが喰らい付いてきた。トモにバレると面倒臭いぞ、タクミ。

「いや、ハッキリは見てない。可愛い…かな?…なんか見たことあるような?」

タクミは急に慌てて、僕たちをハングライダーのインストラクターの方へ連れ出した。

何かタクミがこんなに挙動不審なのも珍しい気がする。

どんだけ好きなんだ。僕はちょっと笑ってしまった。もう少しちゃんと見とけば良かったなぁ。

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