男装女子はなぜかBLの攻めポジ

二学期

平和なランチタイム

　僕が隣の席の田中を誘ってランチに行くと、教室の出口で待っていた和也もなぜか一緒に合流してきた。うーん。まぁいいんだけど？和也は男でも僕の事が好きみたいだけど、付き合ってくれって頼まれたわけじゃない。

　もし付き合ってくれって言われたらどうしよう。相部屋なんだから、これ以上距離が近くなるのは困るなとチラッと和也の顔を見ながらテーブルについた。


　僕たちが授業の話をしていると、僕の隣に立ち止まった生徒がいた。ふと顔を上げると、司先輩がトレーを持って立っていた。

「司先輩、お久しぶりです。夏休みはどうでしたか？」

　僕はきっとワンコの様に尻尾を振ったに違いない。先輩はクスリと笑うと僕の顔を見て言った。

「元気そうだね。僕らはほら三年だから、勉強ばっかりしてたよ。この学校は上の大学へ上がるのも競争が激しいし、推薦も多いけど結局は成績次第だからね。」

「そーなんですね。また色々聞かせてください。」

「…じゃあ、今度連絡するよ。君の周りは番犬が多すぎるからね。今日も見かけない番犬が増えてるし。ふふ。」

　僕はキョトンとすると、先輩はますます可笑しそうに笑いながら、手を振って歩き去った。


　僕が司先輩の後ろ姿を見送っていると、隣に座っていた和也の視線を感じた。

「…うーちゃんは副会長と仲が良いんだな。」

「え？うーん、そうなのかな？副会長は凄い優しい人だよね。僕結構好きだな。」

　僕は今日のB定食を食べながら答えてると、和也がため息をついて言った。

「ほんと、うーちゃんは自覚まるっきり無いよね。良いのか悪いのか判断つかないけど。」

　そう言いながら和也も食べ始めた。僕は肩をすくめて、苦笑する田中と笑い合うとまた食べ続けた。


「おーい！ケンケン。こっち！」

　トモが売店の前で手を振っていた。用があると言う田中と別れると、僕と和也は売店の前に行った。佐藤とタクミもアイスを買っている。

「食後のデザートか、イイね。甘いものは別腹だからなー。」

　僕はウキウキとアイスボックスを覗き込んだ。僕の大好きなキャラメル味が無かった。僕はしょうがなくイチゴ味を買うとオープンカフェのテーブルに座った。

　プラスチックのスプーンでアイスを堪能してると、佐藤のアイスがふと目に入った。

「あれ⁉︎ 佐藤キャラメル味？なんだー、佐藤が最後の一個だったんだ。いーなぁ。僕キャラメルが一番好きなんだよね。」

　僕がじっとりと佐藤の手元のアイスクリームを見つめていると、佐藤が言った。

「ひとくち食べるか？」