男装女子はなぜかBLの攻めポジ

冬の出来事

景の女の子的日常

　「マジでそんな事になってんの？ウケる。…景は和也くんだっけ？本気なの？」

　私は彩花とカフェでだべりながら、女の子生活を楽しんでいた。これが束の間になるのか、それともずっとになるかは明日、健斗が帰ってきてからの話になるだろう。私は彩花の追求に目を彷徨わせてグラスの氷を掻き混ぜた。

「…うん？多分ね。そうじゃなきゃ、最後までしないと思うけど。そもそも本気で好きってどんな感情？私は和也は好きだよ？でも、同じように佐藤もタクミも好きだと思う。

正直言って、もし和也じゃなくて佐藤たちと同じ状況になったとして、結果が違ったかどうかはハッキリ違うって言えないんだよね。」


　彩花はニヤリとして、言った。

「じゃあ、玲は？今回の事聞いたら、絶対暴れるよ、あいつ。景は監禁間違いない！」

「ちょっと、何怖い事言ってんの？でも、私も実はヤバいと思ってる…。何かさ、玲の事裏切った気がしてて、罪悪感があるんだよね。あー、もう私に恋愛感情のあれこれは難しいよー。」

　私はそう言って、ストローを抜き取ると、グラスを掴んでゴクゴクと飲み干した。

「ふふ、随分男らしくなっちゃって。まぁ、恋愛初心者が色々考えても無理でしょ。私を見習って、自由気ままに人生謳歌しましょ？」


　私は彩花をじっと見つめて言った。

「ねぇ、彩花は誰かに恨まれたりとかしないの？ある意味不実な女でしょ。」

　彩花は目をキラリと光らせて言った。

「私は高嶺の花なの。だから一瞬でも下界に降りて側に舞い降りたとしても、それは恩恵であって永遠に望める話ではないって事は、男たちはよく知ってるのよ。

　本気になるのは自由だけど、手に入らなくて傷つくのは男の勝手って訳。もちろん、私も最初に言ってあるのよ？貴方だけのものになるつもりは無いって。」


　彩花のあでやかな笑顔を見つめて、私はこの子が誰か一人と、本気の恋をする時が来るんだろうかと思った。でもその前に自分の話だ。留学先ではお試しの身体の関係はありだし、大体、和也と私って付き合ってるんだろうか？

　お互いに好きなのは確かだけど。かと言って、玲に今、口づけられたら私どうするんだろう。前みたいに夢中になっちゃうんだろうか。その先も望むようになっちゃうんだろうか。だって、私最後の一線超えちゃってる。淫乱だったら、誰とでもそんな関係を結んでしまうんじゃないかな？

　私はひとつため息をつくと、もっとハッキリ色々分かると良いのにと、彩花の意味深な顔つきを見つめてまたひとつため息をついた。