男装女子はなぜかBLの攻めポジ

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
134 / 149
冬の出来事

久しぶりに会う顔

しおりを挟む
 少し伸びた癖のある髪を撫でながら、私は待ち合わせ場所へと急いだ。結局お互いのよく知る場所で会うのは良い考えとは思えなくて、若者に人気のある有名な街で会う事にした。

 私も和也も1、2度来た事がある位だったから、お互い慣れない街だ。シンボルマークの近くで佇んで居る和也は、離れた場所からでも人目を引いていた。

 学校にいた時はあんまり気にしてなかったけれど、そう言えば和也はイケメンだった。背も高いし、サラリとした長めの髪はアンニュイだ。ちょっと悪そうな雰囲気も女の子たちの心をくすぐるんだろう。


 和也をチラチラ見ながら、話しかけようかと騒めく女の子たちがあちこちに見える。私はこんな注目されてる和也に話しかける事がはばかられて、どうしようかと戸惑っていた。

 ふとこちらを見た和也が、顔を綻ばせて手を上げながらこっちに急いでやって来た。周囲の女の子たちのがっかりした様な表情と、私を品定めする視線が怖い。

 私はすっかり男たちの生活に慣れてしまって、女の世界に恐怖さえ感じる…。


 「うーちゃん!」

 満面の笑みで私を抱き寄せる和也に、私もすっかり嬉しくなって抱きついた。私は周囲の騒めきに、ここは日本だと我に返って和也の顔を見上げた。

 和也は私を見下ろして、急に真面目な顔で呟いた。

「うーちゃん、会いたかった…。俺、なんか二度と会えないんじゃないかって思って怖かったんだ。」


 私は少しばかり心が痛くて、和也から目を逸らして頭を和也の胸につけて言った。

「…ごめんね。僕がはっきりしないのが悪いんだ。」

 耳元で感じる和也の鼓動はドキドキと早くて、私はこんなにくっついてるのも良くないのかもとゆっくり離れた。少し困った顔で和也はため息をつくと、私の手を繋いで行こうかと歩き始めた。

「今日はさ、とりあえず話は後でいいからデートしよう。一緒に映画行ったきりで、デートらしい事うーちゃんとした事なかったから。ダメかな?」

 私は首を振って、懐かしく和也と出掛けたお試しデートを思い出した。


 「そう言えば、映画行ったよね。和也は僕の事男だと思ってたくせにキスしてきてさ。和也って、ほんとどっちもいけるんだね。」

 和也は急に罰が悪くなったのか、焦った様に言った。

「あ、あれはうーちゃんが可愛すぎたのが悪い。…実際俺はうーちゃんが男だろうが、女の子だろうが関係ないんだ。もしうーちゃんが男だったとしても、きっと今と同じ気持ちだよ。」

 そう言って私を見つめた和也の眼差しは熱くて、私は急に心臓がドキドキと煩くなって、顔が熱くなるのを感じた。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...