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大学生活
紹介
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先輩の言葉に店の入り口を振り返るとそこには玲が立っていて、私と目が合うとこちらに向かってやって来た。確かに司先輩との待ち合わせは教えてあったけれど、店まで来るなんて思わなかった。
「…玲、来たの?」
テーブルの側に立ち止まった玲は、チラリと先輩が離した私の手を見てからドカリと横の椅子に座った。
「ああ、景の側にいる相手は把握しておいた方が良いと思って。」
そう何でもない様に言うと、注文を済ませてから当然の様に目の前で成り行きを見守っている瑞貴に向き直った。私はさっきの瑞貴の言葉もあったので、苦笑しながら言った。
「えーと、こちらは司瑞貴くん。うちの大学の医学部なの。ほら、話したでしょ?馬鹿弟の身代わりで寮生活してた時に色々助けてくれた先輩の事。弟は学年ひとつ下だったから、あの時は先輩だった訳。
瑞貴くん、こちらは私の幼馴染で同じ経済学部の阿久津玲くん。」
「初めまして、司瑞貴です。丁度君の話を景と話してたところなんですよ。これからもお会いする機会があると思いますけど、どうぞよろしく。」
そう穏やかな表情で手を差し出した瑞貴に、玲は普段見せたことのない様な人好きする笑みを浮かべて握手した。
「景の彼氏の阿久津玲です。こちらこそ、こいつが無謀な寮生活してるのを助けて貰った様でありがとうございました。もう早々ご迷惑はお掛けしないと思いますのでご心配は無用です。」
うん?なんか微笑みあっているけれど空気がピリついているのは流石に私も気がつく。
「でも彼氏だからって、景の交友関係にまで出しゃばるのはどうかと思いますけどね。嫉妬深いのかな?」
笑顔のまま、瑞貴がそんな事を言い始めた。すると玲も笑みを貼り付けたまま、さっきまで瑞貴に握られていた私の手を掴むと自分の口元に持っていって唇を押し付けた。
「嫉妬以前に景は隙だらけで簡単に手を握らせちゃうから、俺も心配なんですよ。分かるでしょう?」
あれは不味かったのかと思わず引き攣る私に瑞貴は苦笑すると、同情めいた表情を浮かべて玲に言った。
「ああ、確かに景は隙だらけですよね。その大らかさが彼女の魅力でもあるのは間違いないけれど、彼氏の気持ちからしたら心配が尽きないかもしれないですね。…でも丁度景には君が彼氏だと教えて貰った所ですし、別に今二人の間に強引に割り込む気は無いですよ。
景とはこれからも良い友達でいたいと思ってますから、僕のことあまり警戒しないで頂けると嬉しいですね。」
玲はじっと瑞貴のことを黙って見つめていたけれど、小さなため息をつくと私をチラッと見て諦めた様に言った。
「俺も景の事を息苦しくしたい訳じゃ無いんで、貴方が常識を持って友人として接してくれるなら文句は無いんです。どちらかと言うと貴方と言うよりは、景の方が心配ですよね。俺の気持ち分かるでしょう?」
瑞貴が賛同する様に苦笑すると、なんか二人で私を見つめて来る。
「…えーと。取り敢えず二人は友達になったって事で良いのかな?ああ、良かった!また修羅場になったらどうしようかと思っちゃったよ。」
あれ、二人してため息ついてるけど、取り敢えずこれからも瑞貴と会えるって事で大丈夫そう?
「…玲、来たの?」
テーブルの側に立ち止まった玲は、チラリと先輩が離した私の手を見てからドカリと横の椅子に座った。
「ああ、景の側にいる相手は把握しておいた方が良いと思って。」
そう何でもない様に言うと、注文を済ませてから当然の様に目の前で成り行きを見守っている瑞貴に向き直った。私はさっきの瑞貴の言葉もあったので、苦笑しながら言った。
「えーと、こちらは司瑞貴くん。うちの大学の医学部なの。ほら、話したでしょ?馬鹿弟の身代わりで寮生活してた時に色々助けてくれた先輩の事。弟は学年ひとつ下だったから、あの時は先輩だった訳。
瑞貴くん、こちらは私の幼馴染で同じ経済学部の阿久津玲くん。」
「初めまして、司瑞貴です。丁度君の話を景と話してたところなんですよ。これからもお会いする機会があると思いますけど、どうぞよろしく。」
そう穏やかな表情で手を差し出した瑞貴に、玲は普段見せたことのない様な人好きする笑みを浮かべて握手した。
「景の彼氏の阿久津玲です。こちらこそ、こいつが無謀な寮生活してるのを助けて貰った様でありがとうございました。もう早々ご迷惑はお掛けしないと思いますのでご心配は無用です。」
うん?なんか微笑みあっているけれど空気がピリついているのは流石に私も気がつく。
「でも彼氏だからって、景の交友関係にまで出しゃばるのはどうかと思いますけどね。嫉妬深いのかな?」
笑顔のまま、瑞貴がそんな事を言い始めた。すると玲も笑みを貼り付けたまま、さっきまで瑞貴に握られていた私の手を掴むと自分の口元に持っていって唇を押し付けた。
「嫉妬以前に景は隙だらけで簡単に手を握らせちゃうから、俺も心配なんですよ。分かるでしょう?」
あれは不味かったのかと思わず引き攣る私に瑞貴は苦笑すると、同情めいた表情を浮かべて玲に言った。
「ああ、確かに景は隙だらけですよね。その大らかさが彼女の魅力でもあるのは間違いないけれど、彼氏の気持ちからしたら心配が尽きないかもしれないですね。…でも丁度景には君が彼氏だと教えて貰った所ですし、別に今二人の間に強引に割り込む気は無いですよ。
景とはこれからも良い友達でいたいと思ってますから、僕のことあまり警戒しないで頂けると嬉しいですね。」
玲はじっと瑞貴のことを黙って見つめていたけれど、小さなため息をつくと私をチラッと見て諦めた様に言った。
「俺も景の事を息苦しくしたい訳じゃ無いんで、貴方が常識を持って友人として接してくれるなら文句は無いんです。どちらかと言うと貴方と言うよりは、景の方が心配ですよね。俺の気持ち分かるでしょう?」
瑞貴が賛同する様に苦笑すると、なんか二人で私を見つめて来る。
「…えーと。取り敢えず二人は友達になったって事で良いのかな?ああ、良かった!また修羅場になったらどうしようかと思っちゃったよ。」
あれ、二人してため息ついてるけど、取り敢えずこれからも瑞貴と会えるって事で大丈夫そう?
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連日の投稿嬉しいです♪ありがとうございます
作中の季節が合ってきましたね~
もうケンケンって呼べなくなってきた景ちゃん相変わらずの小悪魔…
お気に入り司先輩との再会も楽しみですが、和也以外のメンバーとも、例えばオープンキャンパスでの怒涛の展開等、待っております
並行されている作品もあってお忙しいと思いますので、お身体ご自愛下さいね
感想嬉しいです♪読者様が更新を待ってて下さってる、それだけで涙が…!
ケンケンこと景は、うむ、動きが分からないのが現状です。とりあえず目の前の事をコツコツクリアしていきたい!そしてドツボにハマる⁉︎ご期待ください笑
魔性の女になりたい。(ˊᗜˋ)
感想嬉しいデス♡ありがとうございます(°▽°)
鈍感力が必須ですよね笑 しかし、ケンケンはビッチこの上なしですけど、周囲の男どもがそれで良いって言うんだからお手上げです!私も先が読めないんですが、ケンケンについていきたいと思います♪
ついにここまで来ましたね、、!!
ドキドキワクワクです🥺🥺
感想いつもありがとうございます♡
健斗が実は被害者だった⁉︎展開はいかがでしたか?笑