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楽しさの極み、郊外演習二日目

僕らの戦利品

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風を切り裂く音の直ぐ後にプスプスとオークに矢が刺さる音が聞こえた。オークが手で矢を振り払い、ボキボキと折れる音がこちらまで聞こえてくる。

凄まじい咆哮と共に、オークがこちらに向かってドシドシと走ってきた。ケルビンとミッキーも同時に武器を振りかざして、オークへと向かっていった。僕とテディは周囲を警戒しながら、彼らの闘いを見守った。


オークは戦闘モンスターだけあって、力任せに重量のある大きな剣を振り回している。ミッキーとケルビンが交互に囮と攻撃に役割を変えながら、少しづつオークにダメージを与え続けた。すると突然オークが叫びながら膝をついて、手をだらりと落とした。

すかさずケルビンがオークの首目掛けてギロチンを振り落とした。オークが悲鳴をあげる間もなく、ゴトリと首が転がった。僕たちは手を突き出して喜んだが、そうしてばかりも居られない。


「オーク肉は美味しいけど、解体する時間は無さそうだね。別のオークが来る前に立ち去った方がいいだろう?」

テディがそう言うと、ミッキーが悲しげにオークを、いやオーク肉を見つめた。

僕はニコニコと皆に近づくと、腰に手を当てて咳払いして言った。

「ゴホン。皆僕のマジックバックをお忘れじゃないかな?解体はどこか時間があるところでしよう。とりあえずテディ、魔石だけ取り出してくれる?ああ、ちょっと血が出過ぎかな。凍らせておこう。ミッキー、後でオーク肉パーティしようね!」

急に元気になったミッキーをニコニコ見つめていると、ケルビンが僕の側に来て言った。


「あの痺れ薬、良く効いたな。助かったよ。ありがとな。」

僕はケルビンを見上げてニヤリと笑って言った。

「ケルビンとミッキーが居たからこその作戦だったんだよ?こちらこそありがとう。」

それから僕たちは急いでオーク肉を回収すると、ゴブリンロードを脱した。鬱蒼とした道はいつの間にか草より岩が多くなってきて、道の脇に川が見えると、足元もまた砂や小石の道に変わって行った。


見晴らしが良くなってくると僕たちの警戒も緩んで、それと同時に山肌にぽっかりと口を開けた洞窟のようなものが見えてきた。

僕たちは必須経由地点の洞窟にたどり着いたんだ。僕たちが立ち止まると、テディが目の前に地図を展開して言った。

「経由地点のチェックが終われば、その後は草地の平原コースだよ。ここは特に手強いモンスターも聞かないし、楽勝じゃないかな。どうする?ここで解体していっちゃう?丁度川もあるし、場所としたらいいと思うんだけど。」

ミッキーも大きく頷いて頷いた。

「そうしようぜ!オーク肉を切り分けておけば直ぐに食えるだろう?」

僕たちはミッキーらしい賛同の仕方に、岩肌に笑いを響かせたんだ。


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