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こんにちは日常
ケルビンside秘密
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「ケルビン、久しぶりだな。元気にしてたか?叔父さんは元気か?」
そう言って、テーブルいっぱいに次々に料理を運ばせたのは、俺の5歳上の従兄弟だ。伯父は若い頃から家を飛び出して国内外を特殊ギルド員として活躍していたから、俺の父上がロウェイ家を継ぐ事になった。
だから従兄弟のジャックは生まれながら特殊ギルドとしての英才教育を施されていたお陰で、訓練所をトップで卒業した後、自分で組んだチームで次々に実績を上げた。
しまいにはレアな火蜥蜴を討伐して、チーム火蜥蜴と呼ばれる様になった。若くして王都でも一目置かれた特殊ギルト員だ。ロウェイ家の印のグレーの瞳を意味深に光らせて口を開いた。
「王都で凄い噂になってるぞ。パトリック、パトリック マジェスタ。知ってるんだろう?」
俺はジャックがパトリックの事を知りたいのだと、腑に落ちた。
「何?パトリックの事が知りたくて、俺にこんなにご馳走様してくれるってわけ?」
俺が眉を上げると、ジャックは少し気まずそうに頭を掻いた。さっぱりと黒髪短髪のジャックは凄腕のギルド員である証拠に、そんな顔をしながらも隙が全然感じられなかった。俺はこんな時でも気を緩めないのが実力の内なのかと内心舌を巻いた。
「いや、俺もな?ケルビンに頼らざるを得ない状況になるなんて考えもしなかったんだ。怪鳥ギャロスの卵の欠片に、鬼蜂の毒袋だろう?どちらも難易度が高いのに演習で手にれたとか聞いたら、そりゃあ誰がリーダーだったのか気になるってものだ。ケルビンは、パトリックの事を知ってるのか?」
ジャックにこう聞かれて、俺は本当の事を言うべきか迷った。けれど俺も卵の欠片も、毒袋も持っていて父上に預けたばかりだった。いずれそのことはジャックも知ることになるだろう。俺はため息をつきつつも、俺の話にジャックがどう反応するのかが楽しみだなと思いながら何気ない様子で言った。
「知ってるよ。知ってるも何も、俺はパトリックのチームで、好むと好まざるを得ず一緒に行動してたからな。」
そう俺が言うと、ジャックは目を見開いて身を乗り出した。
「本当か!?じゃあ、ケルビンは一緒にあのお宝ゲットしたってことなのか!かー!なんて事だ。俺の従兄弟がそんな体験をしてたなんて!教えてくれ。一体どうやってあれらを手に入れたのか。」
俺は案の定食いついてきたジャックにニヤリと笑うと、目の前のご馳走を引き寄せて言った。
「まぁ、まずはせっかくの美味しそうな食事が食べたいな。いただきます。」
ジャックの顰めた顔を眺めながら、日頃何かと偉そうに振る舞う従兄弟の顔を面白い気持ちで眺めた。
そう言って、テーブルいっぱいに次々に料理を運ばせたのは、俺の5歳上の従兄弟だ。伯父は若い頃から家を飛び出して国内外を特殊ギルド員として活躍していたから、俺の父上がロウェイ家を継ぐ事になった。
だから従兄弟のジャックは生まれながら特殊ギルドとしての英才教育を施されていたお陰で、訓練所をトップで卒業した後、自分で組んだチームで次々に実績を上げた。
しまいにはレアな火蜥蜴を討伐して、チーム火蜥蜴と呼ばれる様になった。若くして王都でも一目置かれた特殊ギルト員だ。ロウェイ家の印のグレーの瞳を意味深に光らせて口を開いた。
「王都で凄い噂になってるぞ。パトリック、パトリック マジェスタ。知ってるんだろう?」
俺はジャックがパトリックの事を知りたいのだと、腑に落ちた。
「何?パトリックの事が知りたくて、俺にこんなにご馳走様してくれるってわけ?」
俺が眉を上げると、ジャックは少し気まずそうに頭を掻いた。さっぱりと黒髪短髪のジャックは凄腕のギルド員である証拠に、そんな顔をしながらも隙が全然感じられなかった。俺はこんな時でも気を緩めないのが実力の内なのかと内心舌を巻いた。
「いや、俺もな?ケルビンに頼らざるを得ない状況になるなんて考えもしなかったんだ。怪鳥ギャロスの卵の欠片に、鬼蜂の毒袋だろう?どちらも難易度が高いのに演習で手にれたとか聞いたら、そりゃあ誰がリーダーだったのか気になるってものだ。ケルビンは、パトリックの事を知ってるのか?」
ジャックにこう聞かれて、俺は本当の事を言うべきか迷った。けれど俺も卵の欠片も、毒袋も持っていて父上に預けたばかりだった。いずれそのことはジャックも知ることになるだろう。俺はため息をつきつつも、俺の話にジャックがどう反応するのかが楽しみだなと思いながら何気ない様子で言った。
「知ってるよ。知ってるも何も、俺はパトリックのチームで、好むと好まざるを得ず一緒に行動してたからな。」
そう俺が言うと、ジャックは目を見開いて身を乗り出した。
「本当か!?じゃあ、ケルビンは一緒にあのお宝ゲットしたってことなのか!かー!なんて事だ。俺の従兄弟がそんな体験をしてたなんて!教えてくれ。一体どうやってあれらを手に入れたのか。」
俺は案の定食いついてきたジャックにニヤリと笑うと、目の前のご馳走を引き寄せて言った。
「まぁ、まずはせっかくの美味しそうな食事が食べたいな。いただきます。」
ジャックの顰めた顔を眺めながら、日頃何かと偉そうに振る舞う従兄弟の顔を面白い気持ちで眺めた。
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