獣人てやつは本能に抗えない問題

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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晩餐会

衣装合わせ

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「これなんかどうだ?」

そう言って衣装を合わせたバートが幕の中から出てきた。黒混じりの短めの金髪に、金色めいた瞳のバートは、顔立ちがはっきりしているので、華やかな衣装が似合う。最初は乗り気じゃなかったのに、幾つか試し着したせいで、だいぶノリノリだ。
金の縁取りのついた黒いジャケットは短めで、バートの足の長さを引き立てていた。


「うん、良いと思う。バートは背が高いから、何でもそこそこ見れるよね。」

僕が憎まれ口を叩くと、バートが逃げる僕を捕まえて言った。

「素直にカッコいいって言わないと、その悪い口を塞ぐぞ?」

僕はバートの色っぽい眼差しに囚われて、モゴモゴと口籠もってしまった。それを見ていたギャビンが、呆れたように別の幕から出てきて言った。


「はいはい、イチャつくのはそこまでにして。どうよ、俺様の似合い過ぎる晴れ姿。最高じゃ無い?」

そう言って僕らの前に立った。確かにギャビンは白鷹族だけあって、スマートさが際立っていた。銀色に藍色が滲んだような長い髪を撫で付けると、貴人の様だ。切長の瞳は色素が薄いなかに瞳孔が黒くはっきり見えるので、威圧感が半端ない。
冴えた青いジャケットがよく似合っていた。


「その腰のスカーフは何?」

ウエストの位置に垂れ下がっている美しいスカーフを指差すと、ギャビン白鷹一族の正装のアイテムなのだと言った。自分にはそんなかっこいいものがないなと思いながら、店の人が見立ててくれた衣装を手にした。

「パトリック様、アーサー様より細々と申しつかっておりますので、こちらを着て見てくださいませ。」


ちょっとヒラヒラしている気がする衣装を悪い予感と共に着て、僕が幕から出ていくと、なぜか皆何も言わずに僕を見つめた。

「変かな?」

そう言って鏡に姿を写すと、そこには何だか繊細な何処かの深窓な令息らしき雰囲気の僕がいた。新緑色のジャケットは美しいな刺繍が施してあって、インナーのブラウスはシフォン素材で仄かに透けていた。白いピッタリとしたズボンは金色のボタンで腰にアクセントをつけていた。


「うわっ。何これ。」

僕が顔を顰めて後ろ姿を覗いていた時、店の人がアーサー兄さんから預かったというメッセージカードを僕に差し出した。

『これを着てこないと参加させてやらないからな?』

僕はカードを二人に渡すと、鏡に写った自分の軟弱な姿を苦々しく見つめて言った。

「これが兄上の条件なら、呑むしかないよね?」







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