御曹司の恋〜君は悪魔か天使か〜

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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巻き込まれて

誤解です!

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 「…君がミナか?」

 久しぶりの休日に突然現れた嵐だった。うっかり玄関ドアを開けたら、そこには圧の塊が佇んでいた。人より大きな身長、きっと190cm近くだろう。横にもガッチリしていて、圧が凄い。そして厳しい顔つき。日本人にしては彫りが深くて、怖い感じだ。

「あ、あのどちら様…?」

 目の前の男は、更に高圧的に言い放った。

「君がミナなんだな?」


 私は思わず相手の男の圧に負けて頷いてしまった。これが全ての間違いだと思わずに。男は眉間に皺を寄せて私を睨みつけた後、玄関から見えるリビングを覗いてつぶやいた。

「…人を食い物にする割に片付いてるじゃないか。もっと汚部屋かと思ったが…。」

 私の耳は地獄耳。特に悪口は聞こえるんですからね⁉︎ 私は頭に血が昇って、この無礼な男に指を突きつけると言った。


 「貴方誰なの⁉︎いきなり人の家に訪ねてきて、無礼な口の聞き方ね⁉︎ しかも失礼な事言って。私は身も知らずの貴方にそんな事言われる筋合いないわ!」

 私は普段出した事のない大きな声で、普段言ったことのない文句を言い放った。私は会社でも菩薩と言われてるのに!私はこんな嫌な自分を引き出したこの男を憎たらしく思った。男は片眉を上げるとニヤリと笑って言った。


「…私の聞いた通りのミナだったら、そうでなくちゃな。いいか、私をあいつのように簡単に騙せると思わない事だ。あいつは君に弄ばれたおかげで、ヤケになって、前後不覚に酔っ払って階段から落ちたんだ。

 一時は意識不明だった。昨日、やっと目を覚ましたと思ったら、君に会いたいって言うじゃないか。酷い目に遭わされたって言うのに…。

 君に会わせたら良くなるとは思えないがね、医者の言うには事故のせいで記憶があやふやらしい。ここで、また君に弄ばれた事を思い出したら、治るものも治らない。

 良いかい、自業自得だと思って着いてきなさい。あいつの為にまだ付き合っているふりをするんだ。今日だけで良いから。落ち着けばあいつも冷静になるだろう。今は、全く手がつけられないんだ。」


 私は、この人の言うあいつが誰なのかも分からなかったし、そもそも心当たりが無かった。でもちょっと階段から落ちた「あいつさん」は可哀想に思った。

「あの、本当に『あいつ』が誰なのか分からないんですけど。私、田辺美那って言うんですけど、本当にそのミナって人とは別人だと思います。

 大体、私、付き合ってる人はいません!それに貴方誰ですか!私だけ名乗らせておいて名前も言わないなんて!」


 私は冷静に話してたはずが、段々腹が立ってきて、どんどん喧嘩腰になってしまった。そんな私をじっと見つめていた男は、腕を組むと私を頭の上から下までじっくりと見た。

 その目つきが服の下までのぞくような眼差しで、私は肌がピリつくようだった。そして、自分が今どんな格好をしているのか急に思い出した。


 私はコスプレが趣味なのだ。久しぶりの何もない休日、私は友人と一緒に参加する、次のお披露目イベントで着るためのコスプレの試着とフィッティング調整をしていたのだ。

 よりにも寄って、今は胸と脚が露出した、身体に張り付く小悪魔キャラの衣装だった。男は面白そうな顔をすると、素早い動きで私の悪魔の尻尾を掴むとグイっと引っ張った。


 「ちょっと!千切れちゃうでしょ⁉︎」

 私は慌てて千切られないように、男に身体を寄せた。私は、急に男の体温を感じるほど近づいてしまったことにハッとして、男を見上げると、男はギラつく眼差しで私を憎々しげに見つめてつぶやいた。

「…そうやって、あいつもものにしたのか?クソっ。‥良いだろう、私も君の手練手管に乗ってやろう。」

 私の手練手管に乗ってやるとか訳のわからない事を言うと、男は私を抱きしめて抵抗する間も無くキスしてきた。私は見も知らずの怒りっぽい男、何か勘違いした男にいきなりキスされて、びっくりし過ぎて呆然としてしまった。


 だけど、男のキスで私はあっという間に訳が分からなくなってしまった。私の唇を柔らかく、でも力強く征服する、男そのものの口づけは巧みで、気づけば口の中に舌を突き入れられて、咥内を柔らかく撫でられていた。

 少し感じるミントの爽やかさと、ほんのり感じる甘さはどちらのものかも、もう分からなかった。私は口の中を、息をする暇がないほど堪能されて、苦しくなって男の胸を叩くと、男は微かに赤らんだ顔を離してささやいた。

「…こんなに甘いキスなのに、息の仕方も知らないのか。君は何だか矛盾してる…。」


 私はこの男のキスでうっとりしてしまった事を恥じて、男を突き飛ばすとドアの外を指差して怒鳴った。

「出ていって!私は貴方の言うあいつも知らないし、貴方の言うミナでもない!おまけにキスするなんて…!」

 男は肩をすくめて太々しい態度を崩さずに言った。

「…君だって楽しんだくせに。分かった、キスしたのは悪かった。私だってこんなにいきなりキスなんて、普段したことがないんだ。…とにかく頼むから病院へ来てくれないか。

 ここの住所のミナなのは間違いないんだ。…それに、君じゃなければ誰なんだ?」

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