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巻き込まれて
気怠い月曜日の始まり
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いつもより重い頭を持ち上げて、私は恨めしげにスマホの目覚ましを止めた。昨日は楽しいコスプレに邁進できる日だったはずなのに、色々想像もしなかったことがあり過ぎて良く眠れなかった…。
こんな時に、いつも愚痴れる従姉妹の美波は海の向こうで帰国するのは二週間後だったはず。それってもしかして、美波は二股してたのかな?あの子は情熱に流されて何でもありだから、あり得る。そしてそのとばっちりをモロに喰らってるのは私だ。はぁ。
私のため息は会社のデスクでも繰り返されたみたいで、隣の席の中川先輩がコーヒーブレイクに私にチョコレート専門店のチョコをひとつこっそりお裾分けしてくれた。
「わぁ~、ここのチョコレート美味しいんですよね!ありがとうございます。」
満面の笑みでチョコレートを満喫する私を見つめながら、中川先輩が肩をすくめて言った。
「いつも田辺さんは月曜日でも元気いっぱいなのに、今日は珍しく疲れてるみたいだから心配になって。大丈夫?」
私は中川先輩の優しさに思わず抱きつきたくなったけれど、ここはオフィス。ぐっとこらえた。そして私生活を会社で引きずってしまった事に反省して、中川先輩に心配かけたことを謝って、お昼までいつものように頑張った。ああ、高級チョコレートの威力すごい。私も特効薬として常備しておこうかな。
お昼には、同期の清水翼が私のフロアまで誘いに寄ってくれた。入社時から気が合った私たちは、フロアは違うものの機会があれば一緒にお昼を食べている仲良しだ。翼は私のコスプレの趣味もよく知っていて、仕上がり具合を客観的に指摘してくれるのもありがたい。
「美那、お昼行くよ~。もう出られる?」
そう言ってミニバックをぶらぶらさせて部署の入り口で手を振る翼は、あちこちから声が掛かる人気者だ。私と違っていつもニコニコして、ちょっと小動物的な雰囲気のある翼は何となく頭を撫でたくなる魅力がある。私も翼のニコニコ顔を見るだけで肩の力が抜けるので、癒し効果があるに違いない。
私はデスクをサッと見て片付いてるのを確認すると、チーフに挨拶して席を離れた。私たちは一緒にエレベーターへ向かいながら顔を見合わせた。翼は私の顔を少し長く見つめると眉を顰めた。
「ん?美那、調子悪いの?顔色が悪いみたい。」
私は先輩にも、翼にも指摘されるほど分かりやすくダメージを負ってるのかと、気落ちして言った。
「そうなの。昨日酷い目にあってね…。ご飯食べたら聞いてよ。」
翼はちょっと丸い目をきらりと光らせて声を顰めて言った。
「え、何なに?気になる!美那っていつも行動がクリーンなのに、相当弱ってるって、ヤバい事があったって事でしょ?美那には悪いけど、好奇心が抑えられない…。ふふふ。」
そう、この癒し系の翼は、実はとっても心が黒い。毒舌でもあるし。そんな飾らない、ちょっと黒い翼が私にはツボで、私の事をバッサリ切ってアドバイスしてくれるので頼りにしてるのだ。今回のことも、翼ならどう思うかを聞いてみたかった。
社員専用レストランは相変わらずの盛況で、美味しそうなものが並んでいる。私は朝の鬱うつとした気分も忘れて、メニューに目を凝らした。私たちは知り合いに時々挨拶すると、端の方のテーブルに座って早速食べ始めた。
「翼は羨ましいほど好感度高いよね。私には、みんな挙動不審というか、あんまり声かけてくれない…。でも私も翼が大好きだから、みんなの気持ちがよくわかるんだけどね?」
翼はクスリと笑うと、悪そうな顔をして言った。
「私の本当の性格知ってたら、きっとみんな引くわよ。反対に美那は綺麗過ぎて近寄り難いだけじゃないの?こんなに小心者なのにね?ふふふ。それより週末にあった事を話して。何があったの?」
私はかいつまんで昨日あった事を、翼に声を顰めて話した。翼は、時々目を見開いたり、眉を顰めたりしながら聞いていたけれど、私が話し終えると満面の笑みで言った。
「凄いわ。美那が巻き込まれるにしては凄い展開よね?相変わらず従姉妹の美波ちゃんはやらかし系なのね。私はあんな従姉妹とは物質的にも離れた方が良いと思うけど…。まぁ、それは美那の決める事だからね。
その橘…征一?お兄さんの方、日向コーポレーションの課長さんだっけ?いきなり家に押しかけるなんて随分な非常識よね?普通ありえないでしょう?」
私はコスプレ中だとか、ましてキスされたとかは流石に言えなかったので、騒ぎ立てて連れ出されたことだけ話していた。
「そうは言っても、実際弟さんに会ったら、酷い怪我で意識も朦朧としていて…。ちょっと気持ちわかるっていうか。」
翼は私の返事に呆れた様な顔で聞いてたけれど、ふと悪い顔をして聞いてきた。
「ねぇ、もしかしてその橘って人、イケメンなんでしょ。」
私は翼の顔をまっすぐ見られなくて、目をそらしながら答えた。
「…うん、多分イケメンの部類だと思うわ。体格はいいわね。でもどっちかって言うと圧が強いっていうか、怖い感じよ。」
私はその怖い奴と、キスしたり抱きしめられたりしてしまった事は棚に上げて、翼のアドバイスを求めた。
こんな時に、いつも愚痴れる従姉妹の美波は海の向こうで帰国するのは二週間後だったはず。それってもしかして、美波は二股してたのかな?あの子は情熱に流されて何でもありだから、あり得る。そしてそのとばっちりをモロに喰らってるのは私だ。はぁ。
私のため息は会社のデスクでも繰り返されたみたいで、隣の席の中川先輩がコーヒーブレイクに私にチョコレート専門店のチョコをひとつこっそりお裾分けしてくれた。
「わぁ~、ここのチョコレート美味しいんですよね!ありがとうございます。」
満面の笑みでチョコレートを満喫する私を見つめながら、中川先輩が肩をすくめて言った。
「いつも田辺さんは月曜日でも元気いっぱいなのに、今日は珍しく疲れてるみたいだから心配になって。大丈夫?」
私は中川先輩の優しさに思わず抱きつきたくなったけれど、ここはオフィス。ぐっとこらえた。そして私生活を会社で引きずってしまった事に反省して、中川先輩に心配かけたことを謝って、お昼までいつものように頑張った。ああ、高級チョコレートの威力すごい。私も特効薬として常備しておこうかな。
お昼には、同期の清水翼が私のフロアまで誘いに寄ってくれた。入社時から気が合った私たちは、フロアは違うものの機会があれば一緒にお昼を食べている仲良しだ。翼は私のコスプレの趣味もよく知っていて、仕上がり具合を客観的に指摘してくれるのもありがたい。
「美那、お昼行くよ~。もう出られる?」
そう言ってミニバックをぶらぶらさせて部署の入り口で手を振る翼は、あちこちから声が掛かる人気者だ。私と違っていつもニコニコして、ちょっと小動物的な雰囲気のある翼は何となく頭を撫でたくなる魅力がある。私も翼のニコニコ顔を見るだけで肩の力が抜けるので、癒し効果があるに違いない。
私はデスクをサッと見て片付いてるのを確認すると、チーフに挨拶して席を離れた。私たちは一緒にエレベーターへ向かいながら顔を見合わせた。翼は私の顔を少し長く見つめると眉を顰めた。
「ん?美那、調子悪いの?顔色が悪いみたい。」
私は先輩にも、翼にも指摘されるほど分かりやすくダメージを負ってるのかと、気落ちして言った。
「そうなの。昨日酷い目にあってね…。ご飯食べたら聞いてよ。」
翼はちょっと丸い目をきらりと光らせて声を顰めて言った。
「え、何なに?気になる!美那っていつも行動がクリーンなのに、相当弱ってるって、ヤバい事があったって事でしょ?美那には悪いけど、好奇心が抑えられない…。ふふふ。」
そう、この癒し系の翼は、実はとっても心が黒い。毒舌でもあるし。そんな飾らない、ちょっと黒い翼が私にはツボで、私の事をバッサリ切ってアドバイスしてくれるので頼りにしてるのだ。今回のことも、翼ならどう思うかを聞いてみたかった。
社員専用レストランは相変わらずの盛況で、美味しそうなものが並んでいる。私は朝の鬱うつとした気分も忘れて、メニューに目を凝らした。私たちは知り合いに時々挨拶すると、端の方のテーブルに座って早速食べ始めた。
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「私の本当の性格知ってたら、きっとみんな引くわよ。反対に美那は綺麗過ぎて近寄り難いだけじゃないの?こんなに小心者なのにね?ふふふ。それより週末にあった事を話して。何があったの?」
私はかいつまんで昨日あった事を、翼に声を顰めて話した。翼は、時々目を見開いたり、眉を顰めたりしながら聞いていたけれど、私が話し終えると満面の笑みで言った。
「凄いわ。美那が巻き込まれるにしては凄い展開よね?相変わらず従姉妹の美波ちゃんはやらかし系なのね。私はあんな従姉妹とは物質的にも離れた方が良いと思うけど…。まぁ、それは美那の決める事だからね。
その橘…征一?お兄さんの方、日向コーポレーションの課長さんだっけ?いきなり家に押しかけるなんて随分な非常識よね?普通ありえないでしょう?」
私はコスプレ中だとか、ましてキスされたとかは流石に言えなかったので、騒ぎ立てて連れ出されたことだけ話していた。
「そうは言っても、実際弟さんに会ったら、酷い怪我で意識も朦朧としていて…。ちょっと気持ちわかるっていうか。」
翼は私の返事に呆れた様な顔で聞いてたけれど、ふと悪い顔をして聞いてきた。
「ねぇ、もしかしてその橘って人、イケメンなんでしょ。」
私は翼の顔をまっすぐ見られなくて、目をそらしながら答えた。
「…うん、多分イケメンの部類だと思うわ。体格はいいわね。でもどっちかって言うと圧が強いっていうか、怖い感じよ。」
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