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モテ期到来
差し入れられた指
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私は、エレベーターの扉に差し入れられた指に反応して、もう一度扉が開くのを諦めの気持ちで見つめていた。目の前には険しい顔をした征一が立ち塞がっていた。
「…何かあったのか?」
私は征一に尋ねられて、さっきの尚弥とのキスを思い出して顔が熱くなるのを感じた。私はエレベーターの扉が閉まらない事に、こんな混乱した状況に私を巻き込んだ目の前の征一にムカムカしてきて、思いの外冷たい口調になってしまった。
「いいえ。…帰りますのでエレベーターを閉めて下さい。さようなら。」
そう言ったのに、征一はスルリとエレベーター内へ入ってくると、ボタンを押してエレベーターは下降し始めた。
「何かあったんだろう?尚弥に何か言われたのかい?」
私は全ての始まりがこの男だと恨めしく思いながら、征一を睨みつけて言った。
「もう私、病院へ来なくても良いですよね?あんなに元気になったんだし、きっとこれ以上側にいたら私が美波じゃないって気づくわ。」
征一は眉を顰めていたが、ハッとすると低い声で尋ねてきた。
「…尚弥に何かされたのか?」
丁度その時にエレベーターが停まって、扉が軽いベル音と共に静かに開いた。私は征一の方を見ないようにしながら早足で歩き去った。捨て台詞を置き去りに。
「…弟さんに聞いてみれば?でも恋人なら当たり前だわ。だから罪は、私を恋人に仕立てた貴方のせいよ。」
私は征一の顔を見たわけじゃなかったけれど、扉が再び閉まる直前に罵りのような言葉が聞こえた気がした。
私は駅へ向かいながら、こんなに複雑な事になった最近のあれこれにすっかり疲れ切っている事に気づいた。しかもよく考えたら、二人の兄弟に思いっきり他人行儀じゃないキスされたんじゃない?うわ。私が安易に絆されて美波のフリをしたせいだ。
こんな状況を美波が知るはずもなくて、私は誰にこのモヤモヤを吐き出していいのか分からなかった。よく考えたら不可抗力とはいえ、私のやってることは尻軽…。
私は、もう一回大きくため息をつくと、もうこの駅には来ないかもしれないと思いながら電車に揺られて、夜のビルの夜景を眺めていた。
家に着いて疲れた身体をベッドに投げ出すと、バックからはみ出たスマホが点滅しているのが見えた。今はもう何も反応したくなくて、私は壁側に向き直ると目を閉じた。現実逃避だろうが、今の私にはそれが必要だわ。
「…何かあったのか?」
私は征一に尋ねられて、さっきの尚弥とのキスを思い出して顔が熱くなるのを感じた。私はエレベーターの扉が閉まらない事に、こんな混乱した状況に私を巻き込んだ目の前の征一にムカムカしてきて、思いの外冷たい口調になってしまった。
「いいえ。…帰りますのでエレベーターを閉めて下さい。さようなら。」
そう言ったのに、征一はスルリとエレベーター内へ入ってくると、ボタンを押してエレベーターは下降し始めた。
「何かあったんだろう?尚弥に何か言われたのかい?」
私は全ての始まりがこの男だと恨めしく思いながら、征一を睨みつけて言った。
「もう私、病院へ来なくても良いですよね?あんなに元気になったんだし、きっとこれ以上側にいたら私が美波じゃないって気づくわ。」
征一は眉を顰めていたが、ハッとすると低い声で尋ねてきた。
「…尚弥に何かされたのか?」
丁度その時にエレベーターが停まって、扉が軽いベル音と共に静かに開いた。私は征一の方を見ないようにしながら早足で歩き去った。捨て台詞を置き去りに。
「…弟さんに聞いてみれば?でも恋人なら当たり前だわ。だから罪は、私を恋人に仕立てた貴方のせいよ。」
私は征一の顔を見たわけじゃなかったけれど、扉が再び閉まる直前に罵りのような言葉が聞こえた気がした。
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こんな状況を美波が知るはずもなくて、私は誰にこのモヤモヤを吐き出していいのか分からなかった。よく考えたら不可抗力とはいえ、私のやってることは尻軽…。
私は、もう一回大きくため息をつくと、もうこの駅には来ないかもしれないと思いながら電車に揺られて、夜のビルの夜景を眺めていた。
家に着いて疲れた身体をベッドに投げ出すと、バックからはみ出たスマホが点滅しているのが見えた。今はもう何も反応したくなくて、私は壁側に向き直ると目を閉じた。現実逃避だろうが、今の私にはそれが必要だわ。
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