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親密さとは
野村さんとドライブデート
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到着したと野村さんから電話が来て、急いでマンションの玄関ホールへ降りて行った。出口付近に白い車が横付けされているのが見える。丁度その車から降りてきた野村さんは、私を見ると満面の笑顔で手を上げた。
私は小走りで向かうと、この人はいつでもこんなに爽やかなんだろうかってちょっと可笑しくなって、ニコニコと微笑んで挨拶した。
「おはようございます、野村さん。私は残念ながら車に詳しくないんですけど素敵な車ですね。野村さんの車なんですか?」
野村さんは助手席のドアを開けて、私の手を引くとドアの上部に手を置いて私を乗り込ませながら言った。
「ああ、そうなんだ。やっぱり車があると便利だから、去年手に入れたんだ。」
そう言いながら私に覆いかぶさってシートベルトをしてくれた。ちょっと身体が近寄ってドキッとしたけれど、一方で私好みのグリーンノートのコロンを感じて、またひとつ好感度が上がった。
運転席に乗り込みながら、野村さんは私にピーチティーのペットボトルを渡してくれた。自分も無糖のティーをひと口飲むと、シートベルトをつけてこちらを向いた。
「さて、今日はドライブって事で俺のオススメでいいかな?とりあえず、美味しいランチを目的地に出発しよう。大丈夫そう?」
私はコクンと頷くと、手の中のピーチティーを見つめて、もう一度野村さんの方を見た。
「…あの、どうしてこれを選んでくれたんですか?」
野村さんは少しイタズラっぽい顔をして言った。
「最初の食事会の時、田辺さん、ピーチ系のお酒飲んでたでしょ?好きなのかなって思って。あれ?違ったかな?」
私は首を振ると、にっこり微笑んで言った。
「ええ、私このフレーバーティー、大好きなんです。ありがとうございます。」
野村さんはニコっと笑うと、出発するよと言って車を出した。こうして男の人と二人でドライブするのって久しぶりだ。学生の頃、何度か先輩たちに乗せてもらったけれど、運転が怖くて話に集中出来なかった思い出がある。
野村さんはよく運転してるのか危なげない運転で、私はすっかりリラックスしてきた。
街中を抜けて海沿いの高速道路に出ると、私は普段の生活とは全く違う景色や雰囲気にすっかり気持ちが良くなって、野村さんに弾む気持ちで言った。
「気持ちいいですね。いつも街中にいるので、こんな感じは久しぶりです。日頃のストレスが解消されそうです。」
野村さんは私をチラッと見ると口元を緩めて言った。
「ふふ、田辺さん随分ストレス溜まってるみたいな言い方だね。何か原因があるの?良かったら聞くけど?」
野村さんが私のストレス話を聞くと言ってくれたけど、なんて言うか言いにくいよね…?
「…色々事情が複雑なんですけど、ふって湧いたようなトラブルに巻き込まれたって感じです。私、従姉妹とルームシェアしてて、その従姉妹のやらかしに巻き込まれちゃって…。ちょっとした人助けもする羽目になって、今までの平穏な日常を返してって感じです。ふふ。」
野村さんは運転しながら、相槌を打って聞いていたけれど、考え込みながらボソリと言った。
「…なんか、もしかして男とか絡んでる?」
私は、なんで分かったのだろうと野村さんを見た。野村さんは私をチラッと見ると緩く笑って言った。
「考えなくても分かるよ。キッカケはどうであれ、田辺さんみたいな人に会ったらその機会を逃すなんて、普通の男だったらしないだろうさ。田辺さんて一見華やかな美人なんだけど、実際話とかするとそれ以上っていうか…。
俺も商社勤務だし、若い頃は合コンみたいのも多かったんだ。綺麗な人も沢山いたけど、なんていうかそれだけっていうか。でも田辺さんは少しでも話すると、中身が凄く魅力的だって分かるんだ。
…だから俺としても、ちょっと放っておけないな。そのストレスの素。」
そう言うと、黙り込んで運転に集中していた。私は流れる景色を見つめながら、野村さんは私を買い被りすぎではないかと思った。
洒落た海沿いのレストランでのランチは本当に美味しくて、私はもうひたすらニコニコと機嫌よく食べていた。
「ふふ。田辺さんて分かり易いよね?幹事の清水さんが、田辺さん美味しいものに目がないってアドバイスしてくれたんだけど、良いアドバイスだったみたいだ。でも確かにこの店の料理は美味しいね?」
そう言って柔らかく微笑んだ野村さんの、爽やかなスポーツマンの裏側にある繊細な一面が見えた気がした。そんな事を感じながら香りの良い紅茶を楽しんでいると、野村さんは急に私に向き直って話し始めた。
「さっき、車の中で話してた事だけど。田辺さんのストレスの素の話。俺、3回デートしたらお付き合いするかどうか考えてほしいって言ったけど、あれ、撤回してもいいかな。」
私は野村さんが酷く真剣な眼差しで話し出したので、どこに話が転がっていくのか分からずにカップをソーサーに置くと椅子に座り直した。野村さんは真っ直ぐに私を見つめると言った。
「俺としてはもっと自分の事良く知ってもらいたい。それじゃあ、3回会うだけじゃ全然足りないと思うんだ。それに君のストレスの防波堤になりたい。だから、俺をお試しで良いから彼氏にしてくれないか。」
私は小走りで向かうと、この人はいつでもこんなに爽やかなんだろうかってちょっと可笑しくなって、ニコニコと微笑んで挨拶した。
「おはようございます、野村さん。私は残念ながら車に詳しくないんですけど素敵な車ですね。野村さんの車なんですか?」
野村さんは助手席のドアを開けて、私の手を引くとドアの上部に手を置いて私を乗り込ませながら言った。
「ああ、そうなんだ。やっぱり車があると便利だから、去年手に入れたんだ。」
そう言いながら私に覆いかぶさってシートベルトをしてくれた。ちょっと身体が近寄ってドキッとしたけれど、一方で私好みのグリーンノートのコロンを感じて、またひとつ好感度が上がった。
運転席に乗り込みながら、野村さんは私にピーチティーのペットボトルを渡してくれた。自分も無糖のティーをひと口飲むと、シートベルトをつけてこちらを向いた。
「さて、今日はドライブって事で俺のオススメでいいかな?とりあえず、美味しいランチを目的地に出発しよう。大丈夫そう?」
私はコクンと頷くと、手の中のピーチティーを見つめて、もう一度野村さんの方を見た。
「…あの、どうしてこれを選んでくれたんですか?」
野村さんは少しイタズラっぽい顔をして言った。
「最初の食事会の時、田辺さん、ピーチ系のお酒飲んでたでしょ?好きなのかなって思って。あれ?違ったかな?」
私は首を振ると、にっこり微笑んで言った。
「ええ、私このフレーバーティー、大好きなんです。ありがとうございます。」
野村さんはニコっと笑うと、出発するよと言って車を出した。こうして男の人と二人でドライブするのって久しぶりだ。学生の頃、何度か先輩たちに乗せてもらったけれど、運転が怖くて話に集中出来なかった思い出がある。
野村さんはよく運転してるのか危なげない運転で、私はすっかりリラックスしてきた。
街中を抜けて海沿いの高速道路に出ると、私は普段の生活とは全く違う景色や雰囲気にすっかり気持ちが良くなって、野村さんに弾む気持ちで言った。
「気持ちいいですね。いつも街中にいるので、こんな感じは久しぶりです。日頃のストレスが解消されそうです。」
野村さんは私をチラッと見ると口元を緩めて言った。
「ふふ、田辺さん随分ストレス溜まってるみたいな言い方だね。何か原因があるの?良かったら聞くけど?」
野村さんが私のストレス話を聞くと言ってくれたけど、なんて言うか言いにくいよね…?
「…色々事情が複雑なんですけど、ふって湧いたようなトラブルに巻き込まれたって感じです。私、従姉妹とルームシェアしてて、その従姉妹のやらかしに巻き込まれちゃって…。ちょっとした人助けもする羽目になって、今までの平穏な日常を返してって感じです。ふふ。」
野村さんは運転しながら、相槌を打って聞いていたけれど、考え込みながらボソリと言った。
「…なんか、もしかして男とか絡んでる?」
私は、なんで分かったのだろうと野村さんを見た。野村さんは私をチラッと見ると緩く笑って言った。
「考えなくても分かるよ。キッカケはどうであれ、田辺さんみたいな人に会ったらその機会を逃すなんて、普通の男だったらしないだろうさ。田辺さんて一見華やかな美人なんだけど、実際話とかするとそれ以上っていうか…。
俺も商社勤務だし、若い頃は合コンみたいのも多かったんだ。綺麗な人も沢山いたけど、なんていうかそれだけっていうか。でも田辺さんは少しでも話すると、中身が凄く魅力的だって分かるんだ。
…だから俺としても、ちょっと放っておけないな。そのストレスの素。」
そう言うと、黙り込んで運転に集中していた。私は流れる景色を見つめながら、野村さんは私を買い被りすぎではないかと思った。
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そう言って柔らかく微笑んだ野村さんの、爽やかなスポーツマンの裏側にある繊細な一面が見えた気がした。そんな事を感じながら香りの良い紅茶を楽しんでいると、野村さんは急に私に向き直って話し始めた。
「さっき、車の中で話してた事だけど。田辺さんのストレスの素の話。俺、3回デートしたらお付き合いするかどうか考えてほしいって言ったけど、あれ、撤回してもいいかな。」
私は野村さんが酷く真剣な眼差しで話し出したので、どこに話が転がっていくのか分からずにカップをソーサーに置くと椅子に座り直した。野村さんは真っ直ぐに私を見つめると言った。
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