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公私混同は禁止
気がつけば誘惑を
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私は今の状況をひとごとの様に見つめていた。そう、私たちは鏡の前で抱き合っている。なめらかな柔らかい生地に浮き出るミハエル司祭の筋肉を感じながら、私は裸に近い格好で抱き締められているのだ。
って脳内実況中継してる場合じゃないかもしれない。裕樹さんは私を熱い眼差しで見つめているんだもん。これって、これって食べられちゃう⁉︎
私は何も知らない初心な乙女ではない。いや、どうだろう。お付き合いの経験は何度かあるけど、結局尻込みしてしまって、それほど相手が好きじゃなかったのか、最後までいかなかったから乙女かな…。
まさか翼も私が処女だとか思ってないよね。裕樹さんはどうだろう。簡単にキスした私のこと、まっさらだとか思ってないよね、きっと。
私はこの状況に軽くパニクっていたに違いない。そんな私を裕樹さんはクスっと笑って、抱き締める腕の力を緩めて言った。
「美那ちゃんの百面相見てたら、なんかこのまま押しちゃうのも可哀想な気がしてきたよ。美那ちゃんが俺を本気で誘惑するまで待ってようかな?」
私は強ばらせた身体から力を抜いて裕樹さんを見上げて言った。
「ごめんなさい。今の状況って、私が誘惑してるって思われてもしょうがないですよね…。」
裕樹さんは悪戯っぽい顔をして私に尋ねた。
「…じゃあ、誘惑してくれる?」
裕樹さんの表情は冗談ばかりと言うわけでも無さそうで、私は裕樹さんの胸元に頬を寄せて言った。
「…キスだけなら。」
私の身体に回した裕樹さんの腕の力がグッと増して、私はキツく抱き締められると裕樹さんは私の首筋に顔をうずめた。
「はぁ。ほんとに美那ちゃんは小悪魔だ…。分かってて言ってるのか、言ってないのか、本当困るんだけど。」
そう言って私の顔を仰向かせると、優しく唇を押し付けた。私は裕樹さんの優しいキスが癖になるくらい好きだ。私を誘う様にゆっくり誘導していく様な口づけは、ともすると焦ったくて、私は思わず舌を伸ばして裕樹さんの唇を舐め上げた。
裕樹さんはビクッと身体を強張らせると、私の舌にさせるがままに柔らかく唇を開いた。私は最近立て続けに経験した、覚えたての本気のディープキスを無意識のうちに繰り出してしまったみたいだ。
気がつけば私は裕樹さんの分厚い舌に翻弄されて、絡め取られて、なだめるように柔らかく食まれていた。裕樹さんはつと離れて、私の閉じた瞼が開くのを見つめていたけれど、私にねだる様な甘い声でささやいた。
「もっとキスして良い…?」
そう言って私の首筋から指先を撫で下ろして、胸の膨らみに優しく指を這わせた。
裕樹さんの指先が胸元の素肌を撫でるのを感じた。私はその指先がもっと奥へ進むのがダメな気がして、でも微かにもっと進んでみたいという気持ちも何処かにあって…。そんな時に私のスマホが鳴った。
私たちは二人でテーブルの上のスマホを見つめた。さっきまであった濃厚な時間はあっという間に霧散してしまった。二人でモゴモゴと謝ると私はスマホを持って電話に出た。
着信は美波からで、今からマンションに帰るという連絡だった。私が美波とやりとりしていると、裕樹さんは着替えてくるとジェスチャーで私に伝えて美波の部屋へ入っていった。
私は壁に寄りかかって、セシリーの後付けアイテムを外すと上から緩めワンピースを着た。リビングを片付けていると衣装を持った裕樹さんが部屋から出てきた。裕樹さんは少し困った顔で私を見つめて言った。
「美那ちゃんのコスプレが似合いすぎて、普通にワンピース着てるのに残像を感じるな。」
私は裕樹さんを椅子に座らせるとメイクをクレンジングシートで拭って、青いコンタクトレンズをそっと外した。レンズを外した時に、裕樹さんは何か言いたげに私をじっと見つめていたけれど、結局何も言わなかった。
そうこうしているうちに美波が帰ってきた。美波は裕樹さんを紹介すると、私を意味深に見つめた。
結局裕樹さんは慌ただしく帰ってしまったのだけれど、私は正直ホッとしたのが本音だ。まだ、あれ以上進むのには躊躇いを感じるから。
「ふーん。美那もちょっと留守にしてる間に随分イロイロ致してるのね?」
私は美波のその言い方が意味深で首を振って、言った。
「致してません。…それより急に帰ってくるなんてどうゆうことなの?」
美波は顔を顰めて言った。
「ああ、彼氏が出張でしばらく居ないから、仲良しの従姉妹の顔でも見ようと思っただけ。一人で人の家にいても落ち着かないから。…それより、どーゆう事か色々聞かせてもらわないとね?」
私は聞き出そうとする美波にコスプレの新作写真を見せるやらで誤魔化そうと思ったけれど、結局美波の知りたい情報は聞き出されてしまったみたいだ。ああ、恐るべし。
私はこの際だから、経験豊富な美波に聞いてみることにした。
「…美波に聞きたいんだけど。もし、まだ付き合うってハッキリしてない人と、キス以上の雰囲気になったら流されても良いのかな?でも最後まではしないよね?」
って脳内実況中継してる場合じゃないかもしれない。裕樹さんは私を熱い眼差しで見つめているんだもん。これって、これって食べられちゃう⁉︎
私は何も知らない初心な乙女ではない。いや、どうだろう。お付き合いの経験は何度かあるけど、結局尻込みしてしまって、それほど相手が好きじゃなかったのか、最後までいかなかったから乙女かな…。
まさか翼も私が処女だとか思ってないよね。裕樹さんはどうだろう。簡単にキスした私のこと、まっさらだとか思ってないよね、きっと。
私はこの状況に軽くパニクっていたに違いない。そんな私を裕樹さんはクスっと笑って、抱き締める腕の力を緩めて言った。
「美那ちゃんの百面相見てたら、なんかこのまま押しちゃうのも可哀想な気がしてきたよ。美那ちゃんが俺を本気で誘惑するまで待ってようかな?」
私は強ばらせた身体から力を抜いて裕樹さんを見上げて言った。
「ごめんなさい。今の状況って、私が誘惑してるって思われてもしょうがないですよね…。」
裕樹さんは悪戯っぽい顔をして私に尋ねた。
「…じゃあ、誘惑してくれる?」
裕樹さんの表情は冗談ばかりと言うわけでも無さそうで、私は裕樹さんの胸元に頬を寄せて言った。
「…キスだけなら。」
私の身体に回した裕樹さんの腕の力がグッと増して、私はキツく抱き締められると裕樹さんは私の首筋に顔をうずめた。
「はぁ。ほんとに美那ちゃんは小悪魔だ…。分かってて言ってるのか、言ってないのか、本当困るんだけど。」
そう言って私の顔を仰向かせると、優しく唇を押し付けた。私は裕樹さんの優しいキスが癖になるくらい好きだ。私を誘う様にゆっくり誘導していく様な口づけは、ともすると焦ったくて、私は思わず舌を伸ばして裕樹さんの唇を舐め上げた。
裕樹さんはビクッと身体を強張らせると、私の舌にさせるがままに柔らかく唇を開いた。私は最近立て続けに経験した、覚えたての本気のディープキスを無意識のうちに繰り出してしまったみたいだ。
気がつけば私は裕樹さんの分厚い舌に翻弄されて、絡め取られて、なだめるように柔らかく食まれていた。裕樹さんはつと離れて、私の閉じた瞼が開くのを見つめていたけれど、私にねだる様な甘い声でささやいた。
「もっとキスして良い…?」
そう言って私の首筋から指先を撫で下ろして、胸の膨らみに優しく指を這わせた。
裕樹さんの指先が胸元の素肌を撫でるのを感じた。私はその指先がもっと奥へ進むのがダメな気がして、でも微かにもっと進んでみたいという気持ちも何処かにあって…。そんな時に私のスマホが鳴った。
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結局裕樹さんは慌ただしく帰ってしまったのだけれど、私は正直ホッとしたのが本音だ。まだ、あれ以上進むのには躊躇いを感じるから。
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