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新しい関係性

イベントディ

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もう最高なんだけど!私はすっかりミハエル司祭に成り切った裕樹さんを従えてコスプレ会場にいた。あちこちで写真を頼まれて、ご機嫌にポージングをしたり。なぜか来場者の人と一緒に写真を撮るのはミハエル司祭が許してくれなかったけれど。

『この悪魔の手先に魅入られたら、我が主でも救えぬ!』

そんなゲームでのセリフを飛ばして阻止するのもだから、反対に妙にウケてたけど…。


私たちがくっついたポージングのリクエストには随分嬉々として反応してたから、裕樹さんてノリノリだわね?チャット仲間たちの評判も凄く良かった。問題が起きたのは、イベントが始まって1時間過ぎた時。

会場の入り口が騒ついているなと思ったら、イザッキゲームのキャラクターのコスプレイヤーが現れた。それがなんと、魔王デリーム。美魔王で有名なこのキャラクターは、人気抜群なのに美魔王過ぎるせいか完成度の難易度が高くて、やりたい人は多いけれど、なかなかなのよね?


でも入場して来たその魔王は、本当にキャラ降臨という具合で、完璧だった。惚れ惚れする様な美しくも強い魔王デリームに会場中が盛り上がった。

私がソワソワしてそちらの魔王コスの方を見つめていると、その魔王が私たちの方に向かって来た。周囲もキャラクターが揃ったって大盛り上がりで、凄い人だかりになっちゃって。

魔王が近づいてくるにつれて、私はなんかデジャヴ感じてしまった。この知ってる感じ…、何だろう。私に近づいた魔王は、私の尻尾を掴んで言った。


『セシリー、君は私の下僕だろう?』

私の驚愕の表情と、ミハエル司祭の訝しげな顔と、周囲の熱狂と、正にそこは今日のイベント1番の盛り上がりだったのかも知れない。遅れて来た翼曰く、こんな出し物見れなかったら一生後悔したって興奮して話してたから…。

私は訳がわからないまま、裕樹さんにチラッと私の上司なんだと耳打ちして、何事もなかった様に3人でイベントを続けた。私の背中を流れる汗は、暑かったせいなのか、この修羅場めいた熱狂にゾっとしたせいなのか、どっちなのか判断できなかった。


ゲームでは魔王と小悪魔セシリーはセットだから、ポージングもどうしても魔王とくっつく事になっちゃって、段々ミハエル司祭の機嫌が悪くなってるのが手に取るようだった。それがまたキャラクターとしてはリアルな感じで、人気が出っちゃって…。

私は混乱したまま、イベントが無事に終わるのを祈るしかなかった…。
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