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新しい関係性
全てにおいてうかつ
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ズキズキする頭を揉みながら、私はふらつきながらベッドから降りた。昨日は仕事がひと段落した気の緩みと、コスプレの話で盛り上がった事もあっていつもより飲みすぎたのかな?飲む量はそんなに変わらないから、疲れが溜まっててお酒が回ってしまったのかも…。
今日が土曜日で良かったと思いながら私は頭痛薬を飲んだ。でも、何かを忘れている気がした。でもそれが何かを思い出せずに、早々に諦めるとシャワーを浴びにいった。温かいシャワーですっかり気分がリセットされた私は、鏡に写る自分の首すじに違和感を覚えた。
虫刺されのような跡。でも痒く無いし。ぶつけたとか?うーん、酔ってるとうっかりぶつけても記憶がなかったりするよね。昨日は一人で帰った…、いや、隣に征一が居なかった?そっか、いつもの様にタクシーで送ってくれたんだった。
やばいかも。またこんな調子だと色々言われそう。何か私色々要らないこと話した気がするけど、それが何だったのか覚えてない…。記憶にございませんで押し通るしか無いわね。
日曜日は裕樹さんとコスプレの最終打ち合わせをしたけれど、流石に前回のあのギリギリの雰囲気を思い出して、外のお店でお昼を食べた。裕樹さんも夕方の便で出張先にとばなくちゃいけないらしくて、ご飯の後ちょっと街中を歩いてお別れした。
別れ際に少し迷うような様子の後、私の唇にチュってキスして手を振って立ち去って行った…。ここ結構な駅前なんだけど、不意打ち過ぎて心臓がバクバクするやら、恥ずかしいやら。近くにいる女子高生がコソコソ言ってるのが居た堪れない。
でも実際、あんな不意打ちのキスもちょっと絆されるっていうか…。でも裕樹さん、爽やかそうなのに女慣れしてるのかなぁってちょっと思ったりする。
こうやって裕樹さんの事色々考える事が多くなるってのは、私が裕樹さんに惹かれてるって事なのかな?そんな事を考えながら花屋の店先で見るともなしに部屋に飾る用のお花を見ていたら、スマホが震えた。
美波かな?とチェックすると、橘弟から電話。
『今暇かな、お嬢さん?お花が欲しいなら俺が買ってあげようか?』
私がハッとして周囲を見回すと、人目を引くスタイルのいいサングラス男が車道の側に立っていた。尚弥は私に手を上げると、にこやかに近づいてきた。
「何用の花?」
私は驚きでぼんやりしながら家に飾る用だと言うと、さっさと選んで買ってしまった。そしてハイっと私に渡すと、戸惑う私の手を引いて車まで連れて行く。車は路上パーキングエリアに停めていたみたいだ。まだ状況が飲み込めない私に、尚弥は片眉を上げて言った。
「さて、路上キスとは見せつけてくれるね?美那。」
裕樹さんにお別れのキスされたの見てたの?私は思わず眉を顰めた。
「ハハハ。そう言えば征一のことストーカーだって言ったんだっけ?俺のこともそう思うのかな。たまたま、そこに停めて電話してたら、美那っぽい女性がいるから目で追ってたら、いきなりキスされてるから。
…まさか本物の美那だとは思わなかったけどね。やばいね、あのマッチョ。随分美那に食い込んでいるんだ。俺にも美那にアピールチャンスくれないかなぁ。ね?」
相変わらず軽やかな物言いはするけど、結構強引だ。でも自分の手の中の花束を眺めてふと尋ねた。
「尚弥さん、どうしてこのアレンジ選んでくれたんですか?」
尚弥は私の手を引っ張って、近くに引き寄せると言った。
「このアレンジの前に立ってる時間が1番長かったからね。間違ったかな?」
私は首を振って、ちょっと諦めに似た気持ちで微笑んだ。
「いいえ。これがやっぱり1番気に入ってたんです。ありがとうございます。…遅くまでは無理ですけど、一緒にお茶でもしましょうか?私、お花のお礼に奢ります。」
すると、花が咲きほころんだ様な笑顔を見せて、尚弥はやった!と子供の様に喜ぶと意気揚々と車の助手席まで私を連れて行った。私はこの人好きする無邪気な明るい尚弥に、ついガードが下がってしまうんだと密かにため息をついた。
結局、都心のホテルの洒落たティールームに連れて行かれて、美味しいデザートをしあわせな気持ちで頂いた。気づけば支払いも終わっている。ホテルの有名な庭園をそぞろ歩きながら、私が少しむくれて奢るって言ったのにとぶつぶつ言うと、尚弥は面白そうな顔で私を見た。
「何かさ、兄貴が美那に惹かれるのも分かるっていうか。美那って凄く感覚が普通っていうか…。俺たちに近づいてくる女の子たちって、基本非常に女の子的?なんだよね。美那みたいに、奢られて怒る子って見た事がないっていうか。ふふ。
まぁ、俺は向こうでパワーウーマンも相手にしてきたから、こっちの女の子的なものも悪くないと思う。今はね。
でも兄貴はちょっとうんざりしてるんだろうなって。そんな時に美那みたいな子が登場したら、クラクラしちゃうんだろうな。…聞いたよ?美那、兄貴の部下になったんだってね。俺それ聞いて、兄貴の本気を見た気がしてさ。
だから俺、兄貴を応援しようと思って。後は兄貴とマッチョの一騎打ちなのかな?
俺としては兄貴を応援したいけど、美那は心から好きだって思う相手を選べば良いんだ。簡単だよ。それが兄貴やマッチョじゃなくてもね?あ、もし俺を選びたくなっったら、二人に遠慮しなくていいからね?」
尚弥はイタズラっぽく言うと、私にあの綻ぶような笑顔を向けた。
今日が土曜日で良かったと思いながら私は頭痛薬を飲んだ。でも、何かを忘れている気がした。でもそれが何かを思い出せずに、早々に諦めるとシャワーを浴びにいった。温かいシャワーですっかり気分がリセットされた私は、鏡に写る自分の首すじに違和感を覚えた。
虫刺されのような跡。でも痒く無いし。ぶつけたとか?うーん、酔ってるとうっかりぶつけても記憶がなかったりするよね。昨日は一人で帰った…、いや、隣に征一が居なかった?そっか、いつもの様にタクシーで送ってくれたんだった。
やばいかも。またこんな調子だと色々言われそう。何か私色々要らないこと話した気がするけど、それが何だったのか覚えてない…。記憶にございませんで押し通るしか無いわね。
日曜日は裕樹さんとコスプレの最終打ち合わせをしたけれど、流石に前回のあのギリギリの雰囲気を思い出して、外のお店でお昼を食べた。裕樹さんも夕方の便で出張先にとばなくちゃいけないらしくて、ご飯の後ちょっと街中を歩いてお別れした。
別れ際に少し迷うような様子の後、私の唇にチュってキスして手を振って立ち去って行った…。ここ結構な駅前なんだけど、不意打ち過ぎて心臓がバクバクするやら、恥ずかしいやら。近くにいる女子高生がコソコソ言ってるのが居た堪れない。
でも実際、あんな不意打ちのキスもちょっと絆されるっていうか…。でも裕樹さん、爽やかそうなのに女慣れしてるのかなぁってちょっと思ったりする。
こうやって裕樹さんの事色々考える事が多くなるってのは、私が裕樹さんに惹かれてるって事なのかな?そんな事を考えながら花屋の店先で見るともなしに部屋に飾る用のお花を見ていたら、スマホが震えた。
美波かな?とチェックすると、橘弟から電話。
『今暇かな、お嬢さん?お花が欲しいなら俺が買ってあげようか?』
私がハッとして周囲を見回すと、人目を引くスタイルのいいサングラス男が車道の側に立っていた。尚弥は私に手を上げると、にこやかに近づいてきた。
「何用の花?」
私は驚きでぼんやりしながら家に飾る用だと言うと、さっさと選んで買ってしまった。そしてハイっと私に渡すと、戸惑う私の手を引いて車まで連れて行く。車は路上パーキングエリアに停めていたみたいだ。まだ状況が飲み込めない私に、尚弥は片眉を上げて言った。
「さて、路上キスとは見せつけてくれるね?美那。」
裕樹さんにお別れのキスされたの見てたの?私は思わず眉を顰めた。
「ハハハ。そう言えば征一のことストーカーだって言ったんだっけ?俺のこともそう思うのかな。たまたま、そこに停めて電話してたら、美那っぽい女性がいるから目で追ってたら、いきなりキスされてるから。
…まさか本物の美那だとは思わなかったけどね。やばいね、あのマッチョ。随分美那に食い込んでいるんだ。俺にも美那にアピールチャンスくれないかなぁ。ね?」
相変わらず軽やかな物言いはするけど、結構強引だ。でも自分の手の中の花束を眺めてふと尋ねた。
「尚弥さん、どうしてこのアレンジ選んでくれたんですか?」
尚弥は私の手を引っ張って、近くに引き寄せると言った。
「このアレンジの前に立ってる時間が1番長かったからね。間違ったかな?」
私は首を振って、ちょっと諦めに似た気持ちで微笑んだ。
「いいえ。これがやっぱり1番気に入ってたんです。ありがとうございます。…遅くまでは無理ですけど、一緒にお茶でもしましょうか?私、お花のお礼に奢ります。」
すると、花が咲きほころんだ様な笑顔を見せて、尚弥はやった!と子供の様に喜ぶと意気揚々と車の助手席まで私を連れて行った。私はこの人好きする無邪気な明るい尚弥に、ついガードが下がってしまうんだと密かにため息をついた。
結局、都心のホテルの洒落たティールームに連れて行かれて、美味しいデザートをしあわせな気持ちで頂いた。気づけば支払いも終わっている。ホテルの有名な庭園をそぞろ歩きながら、私が少しむくれて奢るって言ったのにとぶつぶつ言うと、尚弥は面白そうな顔で私を見た。
「何かさ、兄貴が美那に惹かれるのも分かるっていうか。美那って凄く感覚が普通っていうか…。俺たちに近づいてくる女の子たちって、基本非常に女の子的?なんだよね。美那みたいに、奢られて怒る子って見た事がないっていうか。ふふ。
まぁ、俺は向こうでパワーウーマンも相手にしてきたから、こっちの女の子的なものも悪くないと思う。今はね。
でも兄貴はちょっとうんざりしてるんだろうなって。そんな時に美那みたいな子が登場したら、クラクラしちゃうんだろうな。…聞いたよ?美那、兄貴の部下になったんだってね。俺それ聞いて、兄貴の本気を見た気がしてさ。
だから俺、兄貴を応援しようと思って。後は兄貴とマッチョの一騎打ちなのかな?
俺としては兄貴を応援したいけど、美那は心から好きだって思う相手を選べば良いんだ。簡単だよ。それが兄貴やマッチョじゃなくてもね?あ、もし俺を選びたくなっったら、二人に遠慮しなくていいからね?」
尚弥はイタズラっぽく言うと、私にあの綻ぶような笑顔を向けた。
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