男装令嬢は溺愛許嫁から逃げ出したい!だって中の人は僕ですから!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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辺境の地で

お父様のお話

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「やあ、私の可愛いお姫様。ご機嫌はどうかな。」

僕から見てもお父様は素敵な方だ。惚れ惚れする様な見事な身体と、厳しくも慈愛に満ちた眼差しで、この辺境の地を外敵から守っているのだから。

僕はお父様が喜ぶだろう令嬢スイッチに切り替えて、美しいカテーシーで膝を曲げて礼をとった。

「お父様、ご機嫌よう。お待たせして申し訳ありません。シモンお兄様と乗馬して参りましたの。」


お父様は満足気に頷いていたけれど、不意に眉を上げて言った。

「そうなのかい?私がシモンに迎えに行く様に頼んだのだがね。さぁ、今は猫かぶりはやめなさい。必要な時にちゃんと出来るなら良いのだから。マリーもいつも世話を掛けるね。今からアンドレアと二人で話をするからね、30分後に来てくれないか。」

僕はお父様がこんな風に人払いするのは余程の時だと知っていたので、神妙に言葉を待っていた。


「アンドレア、明日は10歳の誕生日だね。アンドレアにとっては、他の令嬢よりも大きな意味があるのは分かっているつもりだ。お前は飛び抜けて動くのも、剣を振るうのも好きなたちだからね。けれども10歳を超えて男装して歩き回るのは流石に許されないよ。10歳と言えばレディには違いない。

それに明日から、アンドレアには許嫁が出来る。これは内定ではあるけれど、決定ではない。私もアンドレアに無理強いしたい訳ではないからね。実は今回の許嫁の話は、先方から王家を通して来た正式の申し込みなんだ。

10歳では早過ぎると言う向きもあったが、強い先方の望みがあって、この辺境伯にとっても決して悪い話ではなかったんだ。もちろんお前にとってもね。」


そこまで言われて僕も黙ってはいられなかった。僕は繊細なカップをそっとソーサーに置くと、お父様の濃い青い瞳を見つめて訪ねた。

「僕の様な、男女と評判の令嬢に申し込む様なもの好きは、どなたなんですか?僕の知っている方でしょうか。」

すると、お父様は複雑そうな表情でため息をついた。

「アンドレア、お前が思うよりはアンドレアを男女と思っている令息たちは居ないと思うよ。お前はどう見たって可愛らしいからね。最近の剣の稽古を見ていると、彼らもお前をどう扱って良いのか迷ってしまう様子が窺える。そろそろ剣の稽古も潮時なのではと思うが…。」


僕は一瞬で余裕が無くなった。僕から剣の稽古を取り上げられたら、もうすっかり女の子じゃないか。そんなのは耐えられないよ。僕はムキになってお父様に言った。

「僕に許嫁をあてがうのは我慢しますから、剣の稽古まで取り上げないでください!」

僕がドレスをぎゅっと掴んでる姿を見つめながら、お父様はため息をついて言った。

「そこまでいうのなら、剣のレッスンは個人で行うののみを許そう。許嫁については、このまま進めるが良いね?」

僕は剣の事で頭がいっぱいで、肝心の許嫁が誰だったのかを聞く事を忘れてしまったと、ベッドに入ってから気づいたのだった。
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