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引き寄せられる運命
伯爵家へ
取っておきのドレスを手に取ったのは、お父様と対峙するのに必要な気がしたからだ。朝の身支度を済ませて、私は何か言いたげな侍女のマリーと乳母のナンシーにテオの事を頼むと、懐かしの伯爵家に馬車を走らせた。
2年ぶりに足を踏み入れる事になる伯爵家は、もはや私の生家では無かった。表玄関に毎年美しく咲いていた真っ白な薔薇は、シンメトリーの格式ばった植栽に代えられていた。後妻である彼女の趣味なのか、玄関に入って匂ってくる香料さえ妙に纏わりつくものだった。
昨夜のうちに下男のビルに伝言を頼んで、お父様との約束は取り付けておいてあった。すんなり約束が取れたところを見ると、お父様も私がこうして話を聞きにくることを予想していたのだろうか。
玄関を入ると、執事と後妻が顔を揃えていた。後妻であるマリエッタは私を見ると、いつもの様に笑顔も無く冷たい素振りで型通りの挨拶をして立ち去った。
私はそんな彼女の後ろ姿を見送りながら、私の事を軽蔑している事を隠そうともしない今でも美しいマリエッタに苦笑するしかなかった。
「エリザベス様、お元気そうで何よりです。テオ様はきっと随分大きくおなりになられたんでしょうね。旦那様がお待ちです。こちらへどうぞ。」
そう言って優しく微笑んだのはこの伯爵家の筆頭執事であるセバスチャンだった。小さな頃から可愛がってくれていたセバスチャンは、私が家を出る時も何も言わなかったけれど、随分辛そうな表情で見送ってくれた事を思い出した。
家を出て行く様にと伝えられたあの時以来のお父様の執務室へ、あれから随分時間が経ったのだと感傷的な気持ちになりながら入っていった。けれども昔の様な優しい表情のお父様の顔を目の当たりにして、私は不意を突かれてしまった。
「エリザベス!よく来てくれたね。お前が来ないなら今日私がエリザベスの所へ行こうかと思っていたところだ。…こんな気持ちでお前の顔を見ることが出来る事など、もうないかと思っていたよ。
私はね、お前が陥った困難な状況に、手をこまねいて何も出来ないことに随分辛く感じていたんだ。家名のためとはいえ、お前を家から追い出した事も胸が張り裂けそうだった。だが、もうその心配は無くなったと思うと本当に嬉しいよ。」
そう言ってお父様は呆然としている私を昔のように抱きしめた。私は混乱しながらも、お父様の言葉をなぞっていた。お父様は思っていたよりも私の事を心配してくれていたのだ。けれど私は最後の言葉にハッと目を見開いた。
私はお父様の腕の中から身体を引き剥がすと、睨みつける様に見返して尋ねた。
「お父様、私は昨日の話を聞きたくて今日ここに来たんです。昨日一緒に私の屋敷に連れて来たのはどなたなのですか?」
すると、お父様は私を優しく見つめて部屋のソファに座る様に言うと、ベルを鳴らして執事のセバスチャンを呼んだ。
「例のものと、お茶の用意を頼む。」
そう言うと、私の前に座って口を開いた。
「エリザベス、お前が17歳の仮面祭りの日に出会ったのはヴィンセント様だろう?」
私が凍りついた様に身を硬くしていると、お父様は私の手を取って優しく話し始めた。
「お前は決して相手が誰なのか話をしなかったね。それはヴィンセント様から話を聞けば致し方がなかったと私も思うよ。これはヴィンセント様の状況がそうさせたのだし、まだ子供のお前に取っては大いに傷付けられたのだと理解は出来る。」
私は、お父様から手を引き抜くと顔を背けて言った。
「私はあの人がどこの誰か未だに知らないんです、お父様。」
するとお父様は申し訳なさそうに私に微笑んで言った。
「すまない。あまりにも喜ばしい事だったので、ついつい気が急いてしまったね。テオの父親は王弟のヴィンセント様だ。」
それはあまりにも衝撃的な話だったので、私は思わず目を見開いてお父様を見つめた。予想もしないその言葉は私を混乱に陥れた。
「そんな…。王弟は他国にずっと外遊中だと…。私はそう聞いています。」
お父様は頷くと、難しい表情で頷いた。
「そうだ。表向きはそうなっていた。元々王弟は表向きにも、秘密裏にも難しい交渉などをもっぱら引き受けていたんだ。だから成人してからはあまりこの国に留まっている事が無いくらいだった。
それは兄である国王へ気を遣ってそうしていたのかもしれないし、元々の行動力によるものかもしれない。だから、17歳のお前が王弟の事をほとんど知らなかったのもしょうがない事だ。
先日王弟から聞いたところでは、丁度お前に出会ったあの祭りの直ぐ後に、急を要する交渉ごとが起きて王弟はギルベイ国へ急遽発つことになった。元々直ぐに戻る予定だった様だが、あの国で戦乱が起きたのは覚えているかい?」
私はハッとして口を手で押さえた。あの時私は自分の事で精一杯だったけれど、確かに誰かがギルベイ国できな臭い事が起きていると言う話をしていたのを聞くともなしに聞いた覚えがあった。まさかそれがヴィンセントと関わりがあったなんて。
けれどもそれで驚く話は終わらなかった。お父様の発した言葉に私は何も言えなくなってしまったのだから。
「エリザベス、王弟はその戦乱に巻き込まれて、あろうことか捕虜になって何年も囚われの身になってしまっていたのだよ。」
2年ぶりに足を踏み入れる事になる伯爵家は、もはや私の生家では無かった。表玄関に毎年美しく咲いていた真っ白な薔薇は、シンメトリーの格式ばった植栽に代えられていた。後妻である彼女の趣味なのか、玄関に入って匂ってくる香料さえ妙に纏わりつくものだった。
昨夜のうちに下男のビルに伝言を頼んで、お父様との約束は取り付けておいてあった。すんなり約束が取れたところを見ると、お父様も私がこうして話を聞きにくることを予想していたのだろうか。
玄関を入ると、執事と後妻が顔を揃えていた。後妻であるマリエッタは私を見ると、いつもの様に笑顔も無く冷たい素振りで型通りの挨拶をして立ち去った。
私はそんな彼女の後ろ姿を見送りながら、私の事を軽蔑している事を隠そうともしない今でも美しいマリエッタに苦笑するしかなかった。
「エリザベス様、お元気そうで何よりです。テオ様はきっと随分大きくおなりになられたんでしょうね。旦那様がお待ちです。こちらへどうぞ。」
そう言って優しく微笑んだのはこの伯爵家の筆頭執事であるセバスチャンだった。小さな頃から可愛がってくれていたセバスチャンは、私が家を出る時も何も言わなかったけれど、随分辛そうな表情で見送ってくれた事を思い出した。
家を出て行く様にと伝えられたあの時以来のお父様の執務室へ、あれから随分時間が経ったのだと感傷的な気持ちになりながら入っていった。けれども昔の様な優しい表情のお父様の顔を目の当たりにして、私は不意を突かれてしまった。
「エリザベス!よく来てくれたね。お前が来ないなら今日私がエリザベスの所へ行こうかと思っていたところだ。…こんな気持ちでお前の顔を見ることが出来る事など、もうないかと思っていたよ。
私はね、お前が陥った困難な状況に、手をこまねいて何も出来ないことに随分辛く感じていたんだ。家名のためとはいえ、お前を家から追い出した事も胸が張り裂けそうだった。だが、もうその心配は無くなったと思うと本当に嬉しいよ。」
そう言ってお父様は呆然としている私を昔のように抱きしめた。私は混乱しながらも、お父様の言葉をなぞっていた。お父様は思っていたよりも私の事を心配してくれていたのだ。けれど私は最後の言葉にハッと目を見開いた。
私はお父様の腕の中から身体を引き剥がすと、睨みつける様に見返して尋ねた。
「お父様、私は昨日の話を聞きたくて今日ここに来たんです。昨日一緒に私の屋敷に連れて来たのはどなたなのですか?」
すると、お父様は私を優しく見つめて部屋のソファに座る様に言うと、ベルを鳴らして執事のセバスチャンを呼んだ。
「例のものと、お茶の用意を頼む。」
そう言うと、私の前に座って口を開いた。
「エリザベス、お前が17歳の仮面祭りの日に出会ったのはヴィンセント様だろう?」
私が凍りついた様に身を硬くしていると、お父様は私の手を取って優しく話し始めた。
「お前は決して相手が誰なのか話をしなかったね。それはヴィンセント様から話を聞けば致し方がなかったと私も思うよ。これはヴィンセント様の状況がそうさせたのだし、まだ子供のお前に取っては大いに傷付けられたのだと理解は出来る。」
私は、お父様から手を引き抜くと顔を背けて言った。
「私はあの人がどこの誰か未だに知らないんです、お父様。」
するとお父様は申し訳なさそうに私に微笑んで言った。
「すまない。あまりにも喜ばしい事だったので、ついつい気が急いてしまったね。テオの父親は王弟のヴィンセント様だ。」
それはあまりにも衝撃的な話だったので、私は思わず目を見開いてお父様を見つめた。予想もしないその言葉は私を混乱に陥れた。
「そんな…。王弟は他国にずっと外遊中だと…。私はそう聞いています。」
お父様は頷くと、難しい表情で頷いた。
「そうだ。表向きはそうなっていた。元々王弟は表向きにも、秘密裏にも難しい交渉などをもっぱら引き受けていたんだ。だから成人してからはあまりこの国に留まっている事が無いくらいだった。
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⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。