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引き寄せられる運命
ヴィンセントside過去と現在
エリザベスからの招待への承諾のカードを執務机に置いて、私は窓際に立ってぼんやりと屋敷の庭園を眺めた。咲き誇る白い薔薇のアーチを眺めながら、私の行方が把握出来ない間も庭師は薔薇の手入れを欠かさなかったのだと気がついた。
それは無事に帰ってくると家令や従者たちが信じてくれていた想いのような気がして、心の奥が温かくなる。一方で、エリザベスとの事は自分の中でも全然整理ができていなかった。
私があの辛い捕虜生活で、心の拠り所にしていたひとつがエリザベスだった事に間違いは無い。あの突然の嵐と共に私にもたらされたエリザベスとの燃える恋は、色恋沙汰に慣れた私にも覚えのない情熱をもたらした。
だが、ここから出たら真っ先にエリザベスに会いに行こうと思えていたのは、せいぜい半年だった。戦乱は膠着状態が続き、私たちの捕虜生活も長くなりそうな勢いだったからだ。いつになったら、この生活から抜け出せるのかも一向に見通しが立たなかった。
私の身分を明かせば良いように利用されてしまうのを防ぐために、私は他の捕虜と同じように過ごしていた。周囲の人間が死んでいく中、騎士たちが私を助けるために危険な橋を渡って、奪還作戦を決行して無事にこの国へと戻る事ができたのは、4年も経ったつい最近の事だ。
あの日、帰国早々兄王との謁見を済ませた私は、通り掛かった学院の側で偶然にもエリザベスを見かけた。エリザベスと一夜を供にしたのは4年も前の事だったのに関わらず、私の眼の中に飛び込んできたその姿は紛れもなくエリザベスだった。
そしてエリザベスは後ろから歩み寄ってきた若い貴族の男と楽しげに馬車に乗り込むと、王都の街中へと出立した。私は考える間も無く御者にあの馬車の後を追えと命を下していた。
冷静になってみれば、エリザベスは私と一夜を過ごしてから4年も月日が経っていた。結局エリザベスを迎えにいくと言ったきり、囚われの身になった私がエリザベスに何を約束できたと言うのだろう。
けれど、あの一夜は私にとっては忘れ難い特別なものだった。だからエリザベスもまた同じように私の事を想い続けてくれているのだとなぜか信じきっていた自分が、まるで初めて恋をした若造のようだと嫌気がさした。
そう思うのに、こんな後をつける真似をしている自分の惨めったらしさに苦笑して、御者に馬車を出すように言いつけようとした矢先、御者が聞いてきた。
「王弟閣下、あの馬車が出立する様です。いかがいたしますか。」
私は結局思いを振り切ることも出来ず、エリザベスの乗った馬車を諦めきれずに後をつけたあげく、彼女と対峙したのだった。4年ぶりに私の目の前に立つエリザベスは私の記憶の中の彼女より美しさを増していた。
4年前の純真無垢の、それでいてまるで誘惑の天使の様だったエリザベスは、相変わらず清らかな雰囲気を纏っていたものの、可愛らしさより美しさが増していた。
艶のある黒い巻毛が緩やかに肩を撫でて背中に流れ落ちて、透き通る様な緑色の瞳は、仮面を取って私を見つめたあの時と同じように私を身動きさせなかった。一瞬であの時の気持ちが蘇って来て、胸がドキドキと不確かな音を立て始めた。
そんな私にエリザベスが言い放ったのは、恐ろしいくらい冷たい言葉だった。私があたかもエリザベスを弄んだ様な言われっぷりに、あの苦難な捕虜生活を思い出して、冷たい怒りが湧き上がって来た。
私はきっとエリザベスから歓喜の涙をもたらされると何処かで期待していたのかもしれない。人間の心などあっという間に変わってしまうというのに、エリザベスだけはそうでは無いとなぜ思い込んでいたのか。
そこからは思い出すのも苦々しい言葉の応酬で、私はもう二度とエリザベスに会わないと啖呵さえ切って後も見ずに馬車に乗り込んで立ち去った。こんなに酷い気持ちは初めてだった。それほどまでに私はエリザベスに何かを期待していたのかもしれない。
その日から数日、私は途切れる事のない来客を捌きながら、交わす酒に溺れていた。流石に心配した家令が押し寄せる客を堰き止めて、私は酒の匂いをとる様にゆっくり一人夜を過ごした。
一人になれば、あの日の強張ったエリザベスの美しい顔が浮かんで、なんとも女々しい自分に溜息が出た。そんな私の元に懐かしい悪友らが押しかけて来て、結局酒宴になった。それは格式ばらない楽しい酒なので、家令も程々にと一言小言を残しただけで目を瞑った様だった。
四人で盃を掲げた後は、この4年の噂話が面白おかしくお披露目されて、私は驚きや揶揄い、笑いながら楽しく酒を飲んでいた。その時、友人の一人マキベリー公爵の話に、私は盃をあおる手が止まった。
「しかし、天文学のパーシー老先生の研究室へ通って来ているあの美しい令嬢は、噂では未婚の子持ちだと言う話だが本当なのか?」
…天文学?研究室。私の脳裏にその言葉に連想される一人の令嬢が浮かび上がって来た。
「ああ、エリザベス嬢だろう?彼女は本当に美しいな。まだ21歳の若さだと言うのに、悪い男に騙されて小さな子供がいるようだ。流石に父親のビクトール伯爵が修道院へ送るのは回避した様だが、別宅で生活させているらしい。伯爵夫人も亡くなって後妻を迎えた手前致し方なかったのだろうよ。」
私の手からグラスが滑り落ちて、絨毯敷の床に落ちてグラスがゴトリと転がった。私は溢れでる酒が絨毯を濡らして広がるのを呆然と見下ろしていた。それは私がエリザベスの真実を知った始まりだった。
それは無事に帰ってくると家令や従者たちが信じてくれていた想いのような気がして、心の奥が温かくなる。一方で、エリザベスとの事は自分の中でも全然整理ができていなかった。
私があの辛い捕虜生活で、心の拠り所にしていたひとつがエリザベスだった事に間違いは無い。あの突然の嵐と共に私にもたらされたエリザベスとの燃える恋は、色恋沙汰に慣れた私にも覚えのない情熱をもたらした。
だが、ここから出たら真っ先にエリザベスに会いに行こうと思えていたのは、せいぜい半年だった。戦乱は膠着状態が続き、私たちの捕虜生活も長くなりそうな勢いだったからだ。いつになったら、この生活から抜け出せるのかも一向に見通しが立たなかった。
私の身分を明かせば良いように利用されてしまうのを防ぐために、私は他の捕虜と同じように過ごしていた。周囲の人間が死んでいく中、騎士たちが私を助けるために危険な橋を渡って、奪還作戦を決行して無事にこの国へと戻る事ができたのは、4年も経ったつい最近の事だ。
あの日、帰国早々兄王との謁見を済ませた私は、通り掛かった学院の側で偶然にもエリザベスを見かけた。エリザベスと一夜を供にしたのは4年も前の事だったのに関わらず、私の眼の中に飛び込んできたその姿は紛れもなくエリザベスだった。
そしてエリザベスは後ろから歩み寄ってきた若い貴族の男と楽しげに馬車に乗り込むと、王都の街中へと出立した。私は考える間も無く御者にあの馬車の後を追えと命を下していた。
冷静になってみれば、エリザベスは私と一夜を過ごしてから4年も月日が経っていた。結局エリザベスを迎えにいくと言ったきり、囚われの身になった私がエリザベスに何を約束できたと言うのだろう。
けれど、あの一夜は私にとっては忘れ難い特別なものだった。だからエリザベスもまた同じように私の事を想い続けてくれているのだとなぜか信じきっていた自分が、まるで初めて恋をした若造のようだと嫌気がさした。
そう思うのに、こんな後をつける真似をしている自分の惨めったらしさに苦笑して、御者に馬車を出すように言いつけようとした矢先、御者が聞いてきた。
「王弟閣下、あの馬車が出立する様です。いかがいたしますか。」
私は結局思いを振り切ることも出来ず、エリザベスの乗った馬車を諦めきれずに後をつけたあげく、彼女と対峙したのだった。4年ぶりに私の目の前に立つエリザベスは私の記憶の中の彼女より美しさを増していた。
4年前の純真無垢の、それでいてまるで誘惑の天使の様だったエリザベスは、相変わらず清らかな雰囲気を纏っていたものの、可愛らしさより美しさが増していた。
艶のある黒い巻毛が緩やかに肩を撫でて背中に流れ落ちて、透き通る様な緑色の瞳は、仮面を取って私を見つめたあの時と同じように私を身動きさせなかった。一瞬であの時の気持ちが蘇って来て、胸がドキドキと不確かな音を立て始めた。
そんな私にエリザベスが言い放ったのは、恐ろしいくらい冷たい言葉だった。私があたかもエリザベスを弄んだ様な言われっぷりに、あの苦難な捕虜生活を思い出して、冷たい怒りが湧き上がって来た。
私はきっとエリザベスから歓喜の涙をもたらされると何処かで期待していたのかもしれない。人間の心などあっという間に変わってしまうというのに、エリザベスだけはそうでは無いとなぜ思い込んでいたのか。
そこからは思い出すのも苦々しい言葉の応酬で、私はもう二度とエリザベスに会わないと啖呵さえ切って後も見ずに馬車に乗り込んで立ち去った。こんなに酷い気持ちは初めてだった。それほどまでに私はエリザベスに何かを期待していたのかもしれない。
その日から数日、私は途切れる事のない来客を捌きながら、交わす酒に溺れていた。流石に心配した家令が押し寄せる客を堰き止めて、私は酒の匂いをとる様にゆっくり一人夜を過ごした。
一人になれば、あの日の強張ったエリザベスの美しい顔が浮かんで、なんとも女々しい自分に溜息が出た。そんな私の元に懐かしい悪友らが押しかけて来て、結局酒宴になった。それは格式ばらない楽しい酒なので、家令も程々にと一言小言を残しただけで目を瞑った様だった。
四人で盃を掲げた後は、この4年の噂話が面白おかしくお披露目されて、私は驚きや揶揄い、笑いながら楽しく酒を飲んでいた。その時、友人の一人マキベリー公爵の話に、私は盃をあおる手が止まった。
「しかし、天文学のパーシー老先生の研究室へ通って来ているあの美しい令嬢は、噂では未婚の子持ちだと言う話だが本当なのか?」
…天文学?研究室。私の脳裏にその言葉に連想される一人の令嬢が浮かび上がって来た。
「ああ、エリザベス嬢だろう?彼女は本当に美しいな。まだ21歳の若さだと言うのに、悪い男に騙されて小さな子供がいるようだ。流石に父親のビクトール伯爵が修道院へ送るのは回避した様だが、別宅で生活させているらしい。伯爵夫人も亡くなって後妻を迎えた手前致し方なかったのだろうよ。」
私の手からグラスが滑り落ちて、絨毯敷の床に落ちてグラスがゴトリと転がった。私は溢れでる酒が絨毯を濡らして広がるのを呆然と見下ろしていた。それは私がエリザベスの真実を知った始まりだった。
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⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。